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⑤今だからこそ考えてみたい。ジャッキー・チェンがハリウッドで成功したわけを。

はい。前回はこちらでしたね~

今回の作品までに製作、公開された作品の話を書きました。だって「プロジェクトA」と「スパルタンX」ですよw 書かないわけにはいかんーー

そして今回はこちら↓ 「プロテクター」!!

製作総指揮:レイモンド・チョウ

監督、脚本:ジェームズ・グリッケンハウス

監督(改訂版):ジャッキ・チェン

脚本(改訂版):エドワード・タン

主演:ジャッキー・チェン

共演:ダニー・アイエロ、ビル・ウォレス、ロイ・チャオ、ムーン・リー、サリー・イップ

アメリカでの配給会社は今回もワーナーでございます。


「アメリカでキュートというのは駄目なんです。特にアクション・ヒーローの場合は。アメリカでは感情に動かされない男性が好まれます。タフ・ガイです。クリント・イーストウッドが良い例です。」 ーI AM JACKIE CHAN 僕はジャッキー・チェンよりー

前回のアメリカ進出主演作品「バトルクリーク・ブロー」で問題として捉えられたのが、ジャッキー(アクションスター)をキュートに見せようとしたからアメリカ市場には好まれなかったのではないか。という事と、

監督ジェームズ・グリッケンハウスは、ジャッキー版ダーティハリーみたいなものを作りたかったようですね。(私たちはジャッキーのスタイルからは大きくかけ離れている事を知っているけども)


当時のアメリカでのアクション・ヒーローはある意味冷徹で、かつ超人的パワーの持ち主。一撃で勝敗が着くようなものが好まれてましたからね。


ダーティハリーが悪いわけでもない。しかしそれはクリント・イーストウッドが演じるから様になる。

しかし「I AM JACKIE CHAN 僕はジャッキー・チェン」と「スクリーンアーカイブス」の記事を読み比べてみると、温度差がすごいなw

日本のジャッキーに期待する熱量が度を越えてきている部分がチラホラ見られるし(密着取材多かったんだろうな~)それに反して納得のいかない作品を作り続けなければいけないジャッキー自身の葛藤。>もうほんと申し訳ございません!!と言いたくなってしまうのですよ。


しかし、面白そうな部分も見つけました。


「スクリーンアーカイブス」によりますと

イースト・リバーからニューヨーク上湾に展開していくボートvsボート、ヘリコプターvsボート、ボートにぶら下がるスタントなどの撮影はニューヨーク中の目ぼしいマス・メディアが大挙押しかけて取材する騒ぎになったそうで

そんなに大挙押しかけたのだったら、少なくとも他のアメリカの映画関係者の目に留まっててもおかしくはないような。。。>記事の扱われ方によるかな~

いやしかし、やはり当時のハリウッドでは主演の俳優にスタントをやらせる事はできなかった(本職の方がやらなければいけない契約なのかな)

ヘリコプターから宙づりのシーンなのですが

テストをジャッキーがやり、本番をスタントマンがやるというw(本末転倒

そんな事もあったそうな。


ジャッキー初の、外国人とのバディ映画

というのはもう少々評価されても良いんじゃないかなと。

※厳密に言うと、「キャノンボール2」でリチャード・キールとコンビを組んでいますが、こちらは主役としては組んでいないので外しています。

バディの相手はイラストにも描いてありますダニー・アイエロですね。

下品で粗野なキャラクターから、ユーモラスな役、親切な小市民まで幅広い役柄を演じる脇役として活躍した俳優さんです。

「ゴッドファーザー PART II(1974)」のトニー・ロサト役が一番有名なのかな~。アドリブで言った「Michael Corleone says hello!」の台詞が有名です。

後は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(1984)」の警察署長ヴィンセント・アイエロ、「レオン(1994)」のカフェの主人など。

あ、ウディ・アレン監督の「カイロの紫のバラ(1985)」にも出演されてるんですか!!>撮影前後してたのかな💦

「ドゥ・ザ・ライト・シング(1989)」でアカデミー賞助演男優賞候補にもノミネートされております~

この方凄いですよ。ビリー(ジャッキー)をサポートしますもん

もちろん、役の上でというのはあると思いますが。立場が逆で、ジャッキーが相棒の側だったら…?当時のジャッキーにはできなかった部分なのかも知れないですね。

良くも悪くも、ダニー・アイエロへ対するネガティブな言葉が見つからない

結構ジャッキー・チェンという人は、自分が気に入らない事があると包み隠さず話しているというイメージはあります。

「キャノンボール」でのサミー・デイヴィスJr.からの応対とかね

ダニー・アイエロについてはどう思っていたのかは、私が持っている本の中には書かれてませんでした。それはやはり、ある意味ダニー・アイエロという方が職人として役をきっちりやり遂げたからなんじゃないのかなと思います。>不可の部分が感じられなかったというべきなのか~

ネガティブな印象を残さないというのは、簡単なようで案外難しい。

ましてや白人至上主義の考えがまだまだ蔓延していて、名も知らぬアジア人の主演映画を撮影するとなれば。ね。

英文でもなんか残ってないのかしらん?と思いましたが。見つかりませんでしたね~

ニューヨークタイムズのこの記事しか。(「プロテクター」の紹介記事のようですね)

ジャッキー・チェンはクリント・イーストウッドの領域に踏み込もうとしている

ジャッキー・チェンは、誰も守らずに100の死体を残している>なぬ!?w

作品中に、独創的なアイデアはありません>これは多分監督のせいw


そして。ジャッキーは作品の完成度に納得がいかなかった

そこでジャッキーが取った行動は

エドワード・タンに追加で脚本を書いてもらい、サリー・イップを登場させるシーンを作り

出演者を再び集め、追加撮影を行い自分で再編集した

というわけで、この作品はグリッケンハウス版(オリジナル)、ジャッキー版(改定版)の2種類のバージョンが存在する作品となったのです。

日本では当然のごとくジャッキー版を公開。NGシーンも日本独自のものなんですね。

近年では、グリッケンハウス版の再評価(撮影技術の未熟さなどはさておき)も少々ありますね。

グリッケンハウス版でのビリーの性格がとにかく女性に対して冷たいのですよ。ソー・リン(ムーン・リー)に対してはものすごく冷たいのに、ジャッキー版で追加で撮影されたサリー(サリー・イップ)にはとても思いやりのある言葉をかけ、紳士的に振る舞っていて温度差にあり?ってなったり

最後のビル・ウォレスとのバトルも、少々つぎはぎ感がはあります。>しかしまぎれもないジャッキーアクションになっているけれど。


もしも、次があるとしたら、今度こそ、他の人が歩んだ道をなぞらない。ブルース・リーも、クリント・イーストウッドも偉大な俳優だが、模倣の対象、あるいは越えようとする対象として、彼らをとらえるべきではない。いつか、世界的に成功する日が来たとしても、それは、ジャッキー・チェンだからこそできたことを、成し遂げたからだ。さもなくば、意味がない  ージャッキー・チェン自伝 永遠の少年よりー

香港と日本の観客には辛うじて好評だったけれど、「プロテクター」はジャッキーにとって大いなる挫折の一つだったようですね。

しかしこの経験が次なる大ヒット作品を生み出すのですよね。

最後に、主題歌なのですが

王道のアメリカ、カントリーミュージックかつ染み入る曲「ONE UP FOR THE GOOD GUYS」シンガーソングライターのチップ・テイラー。

この主題歌は探し出せませんでしたが、今年7/22に起きたノルウェーのテロで亡くなった方々の追悼としてライブをした動画がUPされていました。

同じく哀悼の意を表するとともに

侘しい思い、帰ってきたような感覚や、受け入れられている安堵感などが感じられ、そう感じるのは人種や性別など関係ないと思わせてくれる、良い動画でした。


これまでの記事、①~④まで収録しているマガジンになります。是非読んでみて下さい~

最後まで読んで頂き、ありがとうございます(^^)




私はジャッキー・チェンを良く知らない、最近知ったばかりの方へ向けて記事を書いていきたいな~と思います。 メリケンコさんのYouTubeで訳詞を提供しております。そちらもどうぞ https://www.youtube.com/c/moriatomerikenko/videos