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NTL鑑賞。大好きなハムレットに浸る年末

『ナショナル・シアター・ライブ(祝)10周年記念
アンコール上映』を観てきた

12/29、初日の初回はベネディクト・カンバーバッチ主演の『Hamlet』。オンラインチケットが即完売するほどの人気公演は、日本でもファンが多く、今回のチケットもすぐに売り切れていた。
(年始から追加がでるほど!)
海外俳優オタクの友人がとってくれていたチケットで日本橋のTOHOシネマズへ。

実はもう何度も観ているのだが、何度観ても圧巻、感動し、400年以上上演され続ける『ハムレット』がさらに愛しくなる。
ベネディクト自身の個性を生かした勢いのある表現(汗だくでシャツがびしょびしょ)と、シャーロック・ホームズの早台詞を思い出さずにはいられない滑らかで明瞭な口跡に、うっとり。
さらにリンゼイ・ターナーが手がけた、バービカン劇場の奥行きをダイナミックに活かした演出は照明やセットを含め映画を思わせるほどの迫力がある。
その舞台を駆け回り、飛び跳ね、くるくると表情を変え天を仰ぎ、朗々と言葉を紡ぐ。孤独でありながら狂った芝居で周囲を翻弄するベネ様のハムレットが見せる無邪気な表情に、ハッと胸を掴まれた。

おそらく今年最後の鑑賞作品になることだけれど、ベネ様のハムレットを選んでよかった。

「やっぱり生で観たかったねえ」と、叶わぬ希望をつい漏らしてしまうほど焦がれる舞台。
人形町でクリームティーセットを楽しみながらNTLならではの感想に花を咲かせて。

イギリスでは紅茶とスコーンのセットを
クリームティーと呼ぶのだそう。

もちろんいつかは英国で観てみたいけれど、劇場にいる感覚とはまた違った没入感で舞台鑑賞ができる機会がありがたい。来年の1/11まで各作品上映があるので10周年の機会にまだまだ観に行こうねと予定を立てている。


その友人がオススメの映画を紹介してくれた。

ティルダ・スウィントンとトム・ヒドルストン主演『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』

インディ映画界の巨匠ジム・ジャームッシュ監督がヴァンパイアを主人公に描く
異色のラブ・ストーリー。

「好きそうだから!」とだけ言われて、友人の推し俳優トムヒ主演なら間違いないなと観てみたらもうどツボだった。

音楽とともに流れていく二人の時間。美しくどこか現実離れした吸血鬼は、現代の日常に馴染みながらひっそりと生きている。
ミュージシャンとして天才的な才能をもち、多くのファンにも支持されるアダムは、しかし憂鬱を抱えていた。人間の創り出す文化や学問を愛しながらも破壊的な行動に嫌悪感を抱き、悩み、塞ぎ込む。
まるでハムレットのようだと最後まで楽しんでから特典を観ると、「監督に『シド・バレットが演じるハムレット』というイメージをもらった」ことを、トムヒが話していて腑に落ちた。

「繊細な魂を宿し、物悲しげな詩人」

ロマン主義的なハムレットの解釈だけれど、英国でシェイクスピア俳優としてもたくさんの功績を残す彼の言葉はしっくりと、心に落ちてきた。

「人間とはなんて素晴らしい自然の傑作だろう」
「だが俺には塵のかたまりとしか思えない」

ハムレット二幕二場でのせりふは作中でも引用されアダムの内憂外患をわかりやすく物語っていた。
知性があり才能にも恵まれるがゆえの孤独。
王子という立場、大切な人を失い、裏切られ、
ハムレットは悩み、美しい顔に暗い雲が陰る。
アダムもまた、永遠の命を愛する人と生きながら、壊れゆく運命にある現実を憂いている。

退廃的でありながらオシャレで観るものを惹きつける映画との出会い。
完全に好みを熟知されている友人に感謝が止まらないが、そんな彼女と大好きなNTL『Hamlet』鑑賞で充実の年末になった。

今年もたくさん舞台や映画を観たし、本を読めた。
来年、年明けはさっそくまたNTLを観に行って、
2月からは愛しいひとの歌舞伎への挑戦が楽しみ。

どうかゆっくり休めていますように。


帰りがけ、有楽町駅でパシャリ。
美しすぎるなぁ