愛とか、もしくは情とか。【創作】
友達のおじいちゃんは、声がでかい。
友達の家は、うちから3軒くらい離れているんだけど、
たまに外で話すおじいちゃんの声がきこるくらいには
とても大きな声で話す、快活な人。
実家を離れて数年。
友達のおばあちゃんの物忘れが激しくなったらしい。
あと、耳が遠くなって、耳の近くに顔を寄せて話さないと、
声が聞き取れなくなっているらしい。
うちはおじいちゃんおばあちゃんと別居だし、
耳の遠い人や、物忘れが激しくなっている人と
あんまり接したことがないから、なんだか不安になる。
久しぶりに友達の家に遊びに行くと、あの声の大きなおじいちゃんがいた。
いたと言っても、奥の部屋から相変わらず朗々とした声でお話ししている。
誰とお話ししているんだろうと部屋を覗くと、おばあちゃんとお話ししていた。
耳の聞こえないおばあちゃんと、顔を寄せ合わないで、会話していた。
「なんかね、おじいちゃんの声だけは、おばあちゃんに聞こえるんだよね。」
私はそれを聞いて、愛だなぁと。
また、何年も一緒にいるから湧いた情なのかもしれないな、
と、思った。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?