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日本、こんな所に都会人。ぽつんと山の中。(3)(台詞のみ)

「帰ったよぉ~、迎えに来てぇ~」
「なあ~んだ、3日間だけかよ。もっとゆっくりしてくりゃ良いのに、、、」
「だって、英会話教室あるもん!」
「おお~、責任感、出てきましたねぇ~」
「良いから、早く来て。」

「チャットのオフ会、面白かったか?」
「うん、面白かったっ!」
「実家の方はどうだった?」
「やっぱ、変だった。」
「はぁ?……何が?、、、」
「家族みんな、変だった、、、あのね、うちの家族ってね、上か下かのものさしで考えてるみたい。」
「……何を見るのに?人?」
「そっ、仲良くなった家族とか、お兄ちゃんの新しい彼女とか、お父さんの取引先とか、お母さんの趣味仲間とかね、
 あの人の年収はパパより上とか、あの娘さんのお祖父さんって資産家で、うちよりお金持ちとか、、、食後の語らいがそんなの。」
「へえ~、、、お金持ってそういうもんなのか?」
「知らなぁ~い。私、話しについて行けてなかったからかなぁ~?、、、そういえばさあ、私がおかしいって言われ始めたのって中学でね、
 『世の中はお金じゃないわっ!愛よ。恵まれない人に愛を与える人になるの!』って、ボランティア始めた時からだったの。」
「ボランティア、、、何の?」
「ホームレスの支援活動。お弁当配ったりとか、お風呂の車を呼んだりとか。そのお手伝い。」
「ふ~ん、、、誰が主催?」
「政治家さん。K産党の国会議員さんだって。」
「K産党ですかぁ~」
「その人に共鳴した人たちが手弁当で参加してたらしいのね。っで私も、、、」
「いくらか持参して参加した。っと。」
「うん、お年玉とかお小遣いの貯金とか持ってった。」
「ほほう、、、幾らぐらい?」
「100くらい。」
「……少ない時の俺の年収と一緒じゃん。ハハっ、、、」

「チャットのオフ会って、何人くらいだった?」
「6人。東京の人が3人でぇ~、東北とか名古屋から来てた。」
「男と女の割合は?」
「へへっ、気になるぅ~?」
「その中の良い女とお前が仲良くなれば、ここに来てくれるかな?って思いました。」
「じゃ、教えないっ!プンプンっ。」
「イケメンも来て頂けましたか?」
「居ましたよぉ~。私より若いのに、社長さんだって言ってた。」
「仲良くなれた?」
「なれません。でした。」
「何で?勿体無え事したな~。」
「だって、うちのお兄ちゃんと同じ匂いがしたんだもん。クラブとかで良く香ってくる匂い、嫌いなんだもん。」
「……なかなか愉快なモノサシですねぇ~。」
「汗臭いのは嫌だけどさ、ボディソープ位のが香るのが良いのっ。」
「ほほお、、環境の変化が趣味趣向まで影響してますかぁ、、、」
「違うも~ん。あんたの匂いが今、一番良いんだも~ん。」
「バ~カ。……照れるやんけ。」

「なあ、家立てるか?ログハウス。」
「はぁ?……やな予感、、、まさか、、、あんたが、、、自分で?」
「さすがです。良く分かりましたね。」
「やっぱり、、、、、、、何処に建てんの?」
「納屋に仮の台所と寝る所を作り、母屋を壊す。そう、ここに建てる。風呂は裏にログハウスの別棟を建てる。」
「……何年かかる?」
「2年くらいじゃね?」
「……ログハウス、、、売ってんの?」
「うん、売ってる。隣の□□市で。今度、行ってみよう。でさっ、台所とかお風呂とか寝室とか、お前の思い通りにして良いぞ。」
「えっ!、私の好きにしていいのっ!どんなのでも良いの?」
「良いよ。ピンクでも紫でも、お好きな色をどうぞ。」
「やったぁ~!、、、昔ねぇ、夢見てた事あったの~。少女マンガとか、ラノベとか読んでさぁ、勝手に想像してイラスト描いてたりしてたのっ。」
「良いねぇ~。その頃を思い出して、今の感性を足せば、面白そうじゃん。」
「あんたの趣味は?、、、ちょっとは入れてあげても良いよ~」
「俺は、外側に拘る。ウッドデッキとか、カフェテラスとか、サンルームとか。」
「良いねぇ~、、、あっ、完成したらさぁ、教室のみんなを呼んでも良い?」
「良いんじゃね。たまには、ここで教室開いても良いんじゃね。美味しいお菓子とお茶で、もてなしてあげましょう。」
「うわっ!、面白そうっ!、、、わくわくして来た。」
「お喜び頂き、恐悦至極に存じます。」
「うん、おじさんっ。いえ、ダーリンっ。ありがとっ。……なんか、ここの方が面白い事いっぱいあるっ!」
「都会より面白い?」
「断然、面白いっ!」
「ハハっ。それは俺のおかげです。忘れない様に。」
「ハイっ。肝に銘じますっ!」
「それじゃ、これからもよろしくな。お嬢さん。」
「うん、よろしくね。だっさい中年のおじさん。」
「よしっ。おいでっ。」
「ハ~イ。」


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