アロマンスとか恋愛とか

 私は生来好奇心が強く、ある程度の年齢になって自分用の端末を与えられてからはとにかく知らない言葉があれば調べまくった。そうやって調べてどうするのかというと、大抵は「なるほど、そういうものがあるのか」と納得して終いとなる。
 LGBTQもそういう流れからひとしきり調べた。喫緊で調べる必要があった方々と比べると私の好奇心は無責任で下世話なものに思えるが、残念ながら好奇心こそが私の原動力であることは間違いないため捨てることの出来ない悪癖である。この蓄えた知識がどこかで誰かを助けることを願うしかない。

 それで、アロマンスとアセクシャルについてはその頃に知った。中学生だったので「私もアセクシャルだったりするのだろうか」などと考えては自己分析に使っていた。多分違うというのが当時の結論で、自分はシスヘテロかつ恋愛もセックスもできる世の中に一番多いとされているタイプの人間らしいということに落ち着いた。なので私はこのあたりの話題に関してはひどく鈍感だと思う。無自覚に多くの人を傷つけそう(というか既に傷つけていそう)で怖い。
 とはいえアロマンスやアセクシャルに関してはそれきり忘れていて、SNSのプロフィール欄でその文字列を見たときには思い出す程度のものになっていた。

 そんな中、最近、そのあたりについて深く考えている方を見かけてふと「私はアロマンスなんじゃないか?」という疑問が戻ってきたのだ。
 繰り返しになるが「多分違う」が私の答えだ。「多分」をつけるのは未確定だからだ。全く恋愛をしたくないという人とは違い、少なくとも私の中でそれは未確定な問題である。
 そう思っていたら「グレー」というカテゴリもあると知った。恋愛をしたいという欲求は一般的な人(アロロマンスというらしい)ほどは強くないけど忌避感も少ないとか、そういった人が使うようだ。このnoteは解説ではなく日記なので、詳しくは調べてほしい。実態はいまいち分からないもののアセクシャルやアロマンスの人たちの集いの中で「でも恋人いるじゃん」とか「でも好きな人いたんでしょ?じゃあアロロマンスじゃん」とかっていう話があった結果生まれたカテゴリなんじゃないかな思う。それでいうと私はグレーなのかもな、と思った。そもそもアロマンスの同士と話したいと思うほどアロロマンスの社会で困っていないのでわからないが。
 それでも、恋愛欲求が強くないからこの「何歳くらいには彼氏がいるといいよね」の文脈に乗れていないのかもしれない、とは思う。めっちゃ困るってほどではないから違うのかもしれない。どちらにせよ、アロマンスを名乗らないと困るといったことはないので今後も名乗らないと思う。
 ただ私が他者に向ける好意は「いい人だな」か「エロいな」であり、その先にあるのは「一緒に暮らしたいな」と「セックスしたいな」だ。「付き合いたいな」はない。付き合うって私にとって一緒に暮らすまでのお試しorセックスの安全性の確保以外に意味がないんだけど、皆はそうじゃないような気がする。私が恋バナをしたことあるのが大学生くらいの年齢の相手までなのでもう少し歳をとると変わるのだろうか。
 あと「セックスしたい相手」と「いい人だなと思う相手」が一致してないのが困る。いい人には興奮しないしセックスする相手には少なくとも危ない人じゃないという確信が欲しい。この矛盾を繋ぐ存在が「好きな人(恋愛的に興奮できる相手)」という概念なのではないかと思うのだが、中学高校の頃に相手の気持ちも考えず盛り上がって以来好きな人なんてものはできていない。かっこいい男性を見ても「かっこいいな」「エロいな」とは思うが「好き!」とは思わない。近くにいる人も「この人は一緒に暮らせそうだな」と思うことはあっても好きではない。中学や高校の頃のそれも偶像に恋をしていたようなものなので「人を好きになるってああいうことだよね」と自信を持って言えないような思い出しかないし。なんなら巻き込んで申し訳ないとすら思うくらいだし正しい「好き」とはなんなのかわからない。

 言いたいことがわかんなくなってきたのでまとめるが、親に結婚を急かされていたり収入に不安があったりはしないためそこまで社会との摩擦がなくて自己主張する必要もなく生活できているものの、恋愛やら性行為やらというところに関してはなにかしらの問題が起きている気がするという話だった。いまのところ私はそんなに困っていないのでどうであれ構わないのはありがたいことである。
 いつかこのあたりを話し合えるくらいに親しい人ができるといいが、恋愛の場がマッチングアプリなどに移り性的指向や恋愛的志向があからさまになった現代ではあまりいい方法が浮かばない。恋愛の場にいるのは恋愛をしたい人達だという共通認識が生まれた結果、「人を好きになれるかわからない」という状態で恋愛関係になれる「かもしれない」相手を探すのはハードだ。
 まあ、いつか上手い方法が見つかるといいなと思う。

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