瓜を破るを読んだ

 「瓜を破る」を読んだ。
 前々からLINEマンガで名前は知っていて、そのタイトルから破瓜を題材にしているんだろうということは想像がついていた。ただLINEマンガの作品はピンキリで悪意ある展開からのカタルシスを描いたものも多いため読むのは避けていた。でも「瓜を破る」は全然そういうのじゃなかったし、むしろ安心感を生む漫画だなと感じたのでメモしておく。

 「瓜を破る」は処女であることに悩む32歳の会社員の女性を中心に、彼氏に対して強く当たってしまう先輩、感情的な人を見下してしまう後輩など、色んな人の人間関係や恋愛関係について書いた作品である。登場人物たちは仕事が忙しくてイライラしたり、好きな人の気持ちがわからなくて不安だったりしながらも人生に向き合っていく。

 恋愛漫画なんだけど、不安感を煽る構造をしていないのが好感が持てる。多少嫌な人はいるものの、それも余裕のなさが由来なことが多く、そして作中でその余裕のなさや不安定さは大抵解消される。
 さらに彼らはあまり現実逃避をしない。作者さんの趣味か登場人物の性格か大人向けの恋愛漫画の特徴かはわからないが皆悩み事があっても朝起きて働き、ご飯を食べ、寝ている。そういうところが結構良い。登場人物が30歳近い人が多いからか生活を送るっていうことに慣れている感じがして「こんなふうになれたらなぁ」と思わされる。
 夫が育児しなくてワンオペとか彼氏とのセックスが嫌だとかネットに溢れるそういう暗い話よりこういう充実した生活や信頼と安心を確保したセックスの話を聞いてる方が精神的に良い。そういう意味でも買ってよかったなと思う。

 さらにもうひとつ良いのが主人公と同じ悩みを私が持っていて、主人公の悩みが作中で解決したということだ。
 年齢こそ違えど私も処女で彼氏がおらず、性欲はあるが警戒心もありあまり軽々に性行為をできない状態にある。基本的にはあるがままを受け入れようと思っているけれど不安と寂しさはあり、このまま何もせず待つだけでいいのだろうかとも思うときがあった。
 そこにこれ。作中で主人公は波長の合う相手と出会ってこの人ならと思ってセックスする。
 それを見てなんというか、「やっぱりそうだよな」と思えた。したくない相手とするのって良くないしムリは良くない。そして合う人はいずれ現れる。多分。

 私は一度勢いで高校時代の元彼とセックスしようとしたが笑えるくらい濡れず、半笑いで穏やかに断固として拒否して帰ったことがある。
 私はこの頃まだ自分を大切にする練習中だったので、この件までは何事に関しても「多少嫌で辛くても我慢すべきなんじゃないか」という気持ちがあった。が、カウンセリングで自分を大切にするということを学んだおかげで「ムリかも!」と思えて断ることができ、その後はこの件と同じくらい「ムリかも!」という気持ちになったら一旦引くようにできるようになったので良い経験である。
 閑話休題(はなしをもとにもどしますが)。
 そんな感じで無理は良くないなーと思ってはいるものの、それでも「ムリしないとセックスするチャンスってないんじゃない?」という考えが頭から離れなかった。なので、「瓜を破る」を呼んで良かったなーと思う。

 正直言って私は「瓜を破る」の主人公ほど可愛くはないし穏やかでもないし、運よく私と波長の合う人が現れることってある?とも思う。それでも人間関係の構築を怠らず素直に丁寧に自分として存在していれば可能性はある。それは生活を送るということや自分を大切にするということと同義だろう。なので明日からものんびりと自分のペースでよりよい生活を送れるよう努めようと思う。


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