セクハラで悩んでいる人の力になれる記事を書きたい

先日、圷由美子弁護士にセクハラ被害に遭ったらどう対応したらいいのかというテーマで取材させていただきました。

(長田杏奈さんにおすすめしていただけて嬉しい…!!)

この記事を企画した思いや、どんな社会を望んでジェンダーの記事を書いているかについてお話します。

今まで取材したそれぞれの記事に思いがあるのですが、ツイッターの140字では伝えきれないですし、誤って伝わったら嫌だなと思ってあまり書いてきませんでした。

時間の都合上、全部には触れられなくても、これからは少しずつnoteに残していきたいと思っています(こういった記事を書くことは、編集さんには確認をとっています)。


簡単に自己紹介

私のnoteを初めて読んでくださった方のために、簡単に自己紹介をします。

雪代すみれと申します。2019年からフリーライターとして働いていて、Webメディア「wezzy」を始め、ジェンダーやフェミニズムに関する記事を中心に20本以上書いています。

私自身、セクハラ被害に悩んだことがあります。今も不調と付き合いながらお仕事をしています。
その経験から、読者がどのような情報を必要としているか想像して、社会を変えるためにはどんな記事が必要か、企画を考えています。

既にジェンダーやフェミニズムに関心のある方だけでなく、少し興味がある人や関心のない方が関心を持つきっかけになる記事を目指しています。

(「wezzy」で私が今まで書いた記事はこちらから読めます↓)

https://wezz-y.com/archives/authors/yukishirosumire

セクハラ被害に遭う→相談してもだめなら転職しましょうの流れに疑問

私が今回の記事を企画した理由は、自分が悩んでいた当時、必要としている情報をネット上で見つけられなかったからです。(本も結構読んだけれど、見つけられませんでした。)

検索上位に表示されるセクハラの悩みの記事には「相談しても解決しない場合には転職した方がいい」とよく書いてある気がします。

間違ってはいないとは思うのですが……。

最近も、自分だったらこれで検索するだろうな、というKWで検索したら1位は転職アフィリエイトの記事でした。

私自身も悩んでいたとき、ネットで検索して解決方法を考えました。その中で転職アフィリエイトの記事も見ていたと思います。

「思います」と書いているのは、当時、アフィリエイトの仕組みを全く知らず、アフィリエイトだと思って見ていなかったからです。

辞めずに解決できる方法を知りたいのに、会社の相談窓口が頼りにならないときの対策を詳しく知りたいのに、転職ばかり勧められることにがっかりした記憶はあります。

自分も物販アフィリエイトをやっていますし、アフィリエイトを否定するわけではありません。
ただ、悩んでいる人の気持ちにもう少し寄り添った記事も必要なのでは…と思っていました。

取材記事自体、SEOでKWをがっつり狙って…というわけではないものだと認識しているので、検索結果を変えることは難しいかもしれません。


ですが外部相談のコツとか、信頼できる弁護士さんの見つけ方とか、辞めるにしても会社への権利主張の仕方とか……そういうことを知識として持っている人が増えて、いずれはググらないとわからないことではなくなればいいなと思っています。
(例えば、物を盗まれたら警察に連絡する、みたいな。「物 盗まれた 相談」という感じでググる人はあまりいないのではないかと思います)

記事の中では、離職されている方のほうが多いというお話もお伺いしたのですが、離職するという結果が同じでも、「私がやめるしかない」と泣き寝入りの感じでやめるのと、権利を主張したうえでやめるのでは違ってきますよね。

どのような選択をするかは一人ひとりの自由ですが、当時の自分だったら…と考えて、後者の選択がよく知らないから怖いといった感覚もあったので、選択肢が増えたらいいなと思います。

どうしても今日明日の、短期的なことを考えると被害者側がどう対応するか、という話が必要になってきてしまうのですが、あくまで変わらなくてはいけないのはセクハラする側や、適切な対応ができないなら会社の環境や体質だと思っています。

周囲がどういったフォローができるかというお話も伺っていますので、参考にしていただけたら幸いです。


性暴力が原因でキャリアを失った人の受け皿がないのでは?

ここからは私が問題だと感じている社会の構造のお話です。

繰り返しになりますが、セクハラした方が悪いですし、会社側が適切な対応をとっていないなら組織としての問題もあると思います。なので変わらなくてはいけないのは、セクハラする人や組織の体質です。被害者が望むなら、辞めなくていい・安心して働き続けられるのが理想だと考えています。

ですが、短期的に考えたときに、被害に遭っても生活基盤を失わないような受け皿が必要なのではないかと考えています。
(前提として治療が必要な人が安心して休めることが必要だと思っています。)

性暴力被害者は被害に遭ったときだけでなく、長期的に影響を受けることが珍しくありません。

自分の例を挙げると

・男性と仕事をするのが怖い
・加害者と似た風貌の人が怖い
・眠れなくなることが増えた

ほかにも、外出自体が怖くなった、仕事への自信がなくなってしまった……などさまざまな影響があると聞いたことがあります。

「被害に遭ったあなたは悪くないんだよ」という言葉にはパワーをもらいました。
でも……悪くないのに結局職場にいづらくなってしまう、私もそうでしたが職場にいることで体調が悪くなってしまい、転職せざるを得ない場合もあります。


私にとって転職活動は怖いものでした。

「転職活動のときになんて説明したらいいんだろう」
採用する側のことを考えたら、メリットがわからないと採用しにくいのはわかります。
私は公務員だったということもあって、他の業種にそのまま活かせる専門性を持っていたという感じではなかったですし、未経験業種で歓迎される年齢でもありませんでした。(ちなみに公務員→公務員の転職だと試験の受け直しが必要でそれも負担が大きい)

ブラック企業を辞めて転職した友人は正直に「ブラック企業だったので…」と話したそうです。でもまだ正直に「セクハラされたので…」とは言いにくいなと感じています。

「転職してもまたセクハラされるかもしれない」
比較的軽い(被害に重い軽いはないけれど、自分的な辛さの度合の話)セクハラも含めたら、複数人にセクハラされたので、自分は舐められやすいのだと思っていました。
「またセクハラされるかもしれない」という恐怖心が変わらず、公務員への転職も民間企業への転職も選択できませんでした。

結局、自分で何とかしなくてはいけないのは”自己責任”と言われているみたいで辛かった

心身の不調を抱え、その中でできる仕事を自分で見つけなくてはならない。
今の社会では当たり前なことですが、被害に遭った方は悪くないのに、結局社会側の型に当てはまらないと、いわゆる普通の働き方をすることが難しいという構造は、自己責任と言われているみたいで辛いなと感じていました。

「公務員の経験なんて外では役に立たない」なんて言われたこともありますが、未経験でフリーライターになって1年ちょっと、バリバリ稼いでいるわけではないものの、お仕事はいただけています。
安心して働ける環境があれば、持っている力を活かして働ける人って結構いるのではないかと考えています。

なので、例えばですが
・スキルアップの機会がある
・何がしんどいのか安心して話せる(○○ができるけれど、男性が怖いので、ハラスメントの知識がある女性上司の下で働きたいなどと伝えられる)

そんな風に社会が変わっていけば、働きたいのに働けない人は減るのではないかと考えています。(もっと色々有効な方法はあると思うけれど、これから考えていきます)

働きたい気持ちはあるのに、社会の型に合わせた働き方が難しい人達がいることはまだまだ社会には見えていないし、被害が言いにくいとか被害の話をしたらセカンドレイプされるとか、辛い世の中だなと思うことがあります。

性暴力被害をなくし、起きてしまってもきちんと対応がされたり受け皿のある社会にしていくためには、さまざまジェンダーの問題が地続きだと感じています。

「性暴力被害者は悪くない」「性暴力は被害者に長期的にさまざまな影響がある」「被害者の受け皿が必要だ」そんな認識や考えを広げていけるように、これからも記事を書いていきます。