新春!一人山城反省会!

昨年末に書いていた雪山編の続編です。


山城歩きでも色々やらかしてます。というより、毎回何かしらやらかしがあります。
舐め切ったスケジュール管理、忘れ物、体力・技術不足、遺構の見落とし、解釈誤り…etc

今回はXにポストした「読図」に関するやらかしを一件振り返ってみようと思います。

読図とは

そもそも「読図」とはなんでしょう?
色々な言葉で定義されていますが、おおよそ「地図から山の地形や状況を読み取る技術」(「山旅旅」さんより)と理解してよいかと思います。


地形図から尾根や谷の配置、斜面の傾斜具合、森林なのか岩場なのかなどの山肌の状況…色々な情報が読み取れます。
その情報を元に計画中の登山ルートのリスクを把握したり、体力配分をシミュレーションしたりといったことができるようになるわけです。
詳しくはこちらのサイトもご参考に。


杜撰な縦走計画だった油山城・安平楽城攻め

さて、私の失敗談です。時は数年前、地元福岡の城を見て回ってる時でした。この日のターゲットは油山を中心とした山塊。この山塊には3つの城が知られています。東から油山山頂の油山城、荒平山山頂の安楽平城、さらにその西に莵道岳城。全て尾根続きで縦走可能ですが、この日は東の二つ、油山城と安楽平城を目指すことにしました。この二城の位置関係を地形図で見ると下のようになります(アプリ「スーパー地形」より引用)


スーパー地形より

ルートは無数にありますが、油山市民の森に駐車し、荒平山まで縦走して駐車場まで戻る計画を立てました。このルート、どう思われますでしょうか?
駐車場から油山山頂までが比高およそ300m強、油山と荒平山の標高差が200m、ちょっとした軽登山な様相です。300mと200mの二本勝負、そうた鷹を括って私はサクサク油山山頂に向けて登っていきました。結果、復路で撃沈。駐車場についた時には這々の体でした。さて、見落としていたのは何だったのでしょう。

スーパー地形のルート作成機能より

見落としていた、というより過小評価していたのはこの「鞍部」でした。更に詳しくこの鞍部を見ていきます。

スーパー地形のルート作成機能で高低差のグラフも出してみます。
この鞍部と荒平山山頂の高低差は75m程。実際大した高低差ではありませんが、往復で考えると累積で+150m。この分の体力配分を考えずに飛ばしてきた私は油山への登り返しで絶望的な気分を味わいました。更に悪いことに、このルートを舐め切っていたので行動食などの食料を十分に持参しておらず、エネルギー切れまで起こしてしまいました。急勾配を登り返そうにも力が入りません。
そして、別のルートにエスケープしようにも駐車場に車を置いているので必ず油山山頂を登り返さないといけない。
なんとか駐車場には帰りつけましたが、読図とコースシミュレーションの甘さを大いに反省することになりました。
たいしたことはない、と思ってしまうルートでも、地形図からつぶさに登山道の情報を読み取り、所要時間、体力配分、持参する装備や食料・水分を計算することの重要性を痛感した出来事でした。

今回は一般登山道利用の、日常的にありがちな、比較的さしさわりのないケースを紹介していますが、実際には公言しにくいようなエリアに踏み入ってしまったこともあります。道がわからなくなりシダまみれな岩場を涙目で降ったこともあります。一般登山道を必ずしも利用できるとは限らない山城巡りにはありがちなことかもしれませんが、できればそのようなリスクあるルートは避けたいものです。
では、先の事例とは少々状況は変わりますが、Xのポストで言及していた「ルートが一般に定かではない山城」に行く場合、何か手助けになる情報はないのでしょうか。
本来、ルートファインディングスキルを要する山は登山においては上級者向けとされています。一朝一夕では身につかない技術かもしれません。それを補うために役立つ情報…未熟者の身で語るべきではない話かもしれませんが、ちょっと考えてみたいです。


①様々なサイトでルート情報を探す

ルート情報がない城の話じゃん!と言われるかもしれませんが、探してみれば意外と行っている人がいるものです。城サイト・ブログさんに掲載がなくても、例えば登山サイト、アプリetc…手がかりがある場合があります。徹底的に探してみます。
ただし、この場合注意がいるのは、ルートのログが掲載されているからといって、必ずしも安全な登山が保証される訳ではないかもという点です。

・掲載情報が古い場合…その後の土砂災害や植生変化で通行不能になっている可能性があります。できれば最新情報を入手したいです。

・情報提供者が登山エキスパートの場合…その方が踏破していても実は難所があるケースがあります。当該記事だけではなく、書かれている方の背景も踏まえてルートの可否を考えていきます。また、文章中に難所情報を書かれているケースもあるので、具に記事全体を拝見します。


②Googleの航空写真やストビューも活用する

不幸にも何のルート情報もない場合…地形図からルートを検証していくことになると思いますが、それだけではなく航空写真やストビューも活用してみます。航空写真からは山肌の様子(薮になりそうな植生か、岩の多い山か等)、地図に描かれてない林道の有無等を確認してみます。ストビューでは取り付き候補箇所の様子を確認してみます。コンクリートで岸壁高く固められていれば取り付き不可ですね。
また、復路に違うルートを取ろうと考えているなら下山口の様子も確認しておく必要があります。ただ、安全性が担保されている一般登山道を辿る訳ではない場合、往路と同じルートを辿る方が基本的には無難だと思います。


③山麓の方に挨拶して話を伺う

城の麓にお住まいの方がいらっしゃれば、可能であれば挨拶をしたいところです。例え一般に有名な山城でなくとも、城の存在をご存知の方も多いです。「昔はよく登ってたものだけど〜」というお話を伺えることもあります。
また、無断で山に立ち入る不審な人物、と思われトラブルにならないためにも、(差し障りのない範囲で)出来る限りご挨拶はしたいところです(そして説明しても山への立ち入りにご納得いただけないようであれば、山入りは控えましょう)


④自治体に問い合わせてみる

自治体から直近で山城の調査報告が刊行されている場合、アクセス情報も把握されている可能性が高いです。私も何度か立ち入り可否について問い合わせたことがあります。ただ、お忙しい業務の中お手を煩わせることになるのでは、という懸念もあり、広く推奨してよい手段なのかは個人的には判断できてません。

以上、山城でのルート探しに役立ちそうな方法を数点取り上げてみました。
きっと猛者の皆様はもっと色々な検証方法ご存知かと思います。ツッコミどころ含め、何かございましたらXの方にでもコメント頂けますと幸いです(ノートでのコメント返しのやり方が未だにわかってないのでXの方が助かります💦)


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