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JTC/外資の3社で学んだマーケティング以前の話

どうも、コンニチハ。さかわきと言います。
僕は有難いことに1) 日系家電、2) 日系菓子、3) 外資消費財、と有形のtoC商材を持つ会社を渡り歩いてきました。(仕事は全て商品企画・マーケティング関係)
自分で言うのもなんですが、こんなに気色の悪いキャリアは日本中を探しても中々見つからない非常に稀有な存在と我ながら思います。

戦略系のコンサルティングの方や広告代理店の方には携わる業界の広さは劣るかもしれませんが、事業会社の内側にいて事業に携わってきたというのは財産な気がしています。

さてさて、今回この記事では僕のごっちゃ3社の経験から伝えたいマーケティングの大前提中の大前提を残します。
先に断っておくとノウハウ関係でも何でもないです。もはや、それがご要望でしたらX(旧Twitter)経由ででもDMください。たぶんそれ系は書いたとて実践に活かさないと役に立たないはずなので…。大まかなメッセージはコチラ。

  1. その訴求、お客さんは興味ありますか?いや、ない。

  2. ポエムすな。すな。すな。すな。すな。結局、売らんのかいっ!

  3. 自分のして欲しいことばっか言うのやめようぜ。

しつこいくらい先に断っておきますが、めっちゃ当たり前のこと書きます。むしろそんな当たり前のことすら大企業でもできないのねって反面教師にするくらいがちょうど良いです。

その訴求、お客さんは興味ありますか?いや、ない。

これは、思い返せば日系企業がとてもやりがちな症状です。皆さんはこんな訴求のコピーを見た記憶はないでしょうか?

  • 当社比○○%アップ!(もしくは、当社比○○分短縮!)

  • ○○産生クリーム増量!(原料とか)

  • 季節限定○○味!

平たく言うと「不毛な○○競争やめようぜ」って話です。
もちろん、これら全てを否定するわけではありません。しかし、それは消費者便益に繋がる訴求として機能する場合のみです。

この手の訴求が消費者便益となり得るケースは、性能競争で優位に立つことがPOD (Point Of Difference) になる場合だと思われます。例えば、場所によって繋がらないとか半日しか電池が持たない時代の携帯電話がそうだったかもしれません。

しばしば企業は自分たちの商品が優れているということを誇示するためだけに訴求をしてしまいます。誇示とは、つまり要らないものを見せつけるという状況とも言えるので、必要十分な性能 POP (Point of Parity) を通り越した消費者にとってのオーバースペックなのでいくら素晴らしい性能でも消費者に響くことはありません。

これが消費者に向けてならばまだマシですが、中間にいる卸や量販店バイヤーに向けての場合はとても残念な結果に終わります。そして、振り返るときに言うのです。「あの方向性や訴求は機能しなかった」「訴求がうまくターゲットに届かなかった」と。

ですが、ここまでだと今一つ深堀が足りません。もっと「本当に消費者便益とリンクさせ、認識と行動の変化を促すに値する内容だったか?」というところまで深く潜り込む必要があります。
むしろ、もっと手前に言うべきことはあるのですが、もう一旦このへんにしておきます。

もし、その消費者のお困りごとに刺すようなポイントがないのであれば、200%探し、生み出す必要があります。

ポエムすな。すな。すな。すな。すな。売らんのかいっ!

これは、ブランド論やマーケティングフレームワークに囚われすぎてマーケティングの本質が粗末になった会社の教訓です。
マーケティングの本質と偉そうに書いてしまったのですが、ここは権威あるアメリカ・マーケティング協会の言葉をお借りします。

マーケティングとは、顧客、クライアント、パートナー、社会全体にとって価値のあるものを製造、伝達、提供、および交換するための活動、一連の機能、およびプロセスです

アメリカ・マーケティング協会(AMA)

改めて見ると全国民に見てほしいくらいシュッとまとまっていますね。(たぶん、"マーケ"できますという人は、これ全部やったことないと本当の意味では言えない、、)

さておき、特に大企業の人間に限定されるのかもしれませんが、プロダクト及びブランドの何かスゴイ分析チックで要点チックなものがキレイに並ぶフレームワークという名のテンプレ資料 (PPT)が大好物です。(←偏見なら失礼)

これも、分析やフレームでの整理自体は関わる人間が多い事業では共通理解や認識や言葉を揃えるという意味ではとても役に立ちます。
ヤバイのは、a) 手段が目的化したとき、b) 現場を知らない人間が口出しや決定権を持つ場合、コレ地獄の始まりです。

a) 手段が目的化したときというのは「このレポートが終わらないと施策が実行できない!」と、言った具合に効果的にマーケティングをするためにまとめていたはずの資料が足枷になって肝心の施策が実行できない。机上で文をしたため続けるポエマーになります。

b) 現場を知らない人間が口出しや決定権を持つ場合ですが、a) をさらに複雑にしたものと考えてもらったら良いかと思います。複雑というよりも重篤です。何せ消費者理解から遠い人間がポエムに口出しをしてくるのですから、基本的にズレが出やすいですし、誰も終着点が見えません。よってアウトプットとしてのマーケティング活動が実行できない、という事態に陥りがちです。

もし、どうしても資料作りから抜け出せない場合は、もしかしたら根本的に消費者についての理解が足らない、もしくはビジネス課題が明確でないケースもあるかもしれないので、分からないことリストを作ることがオススメですね。

自分のして欲しいことばっか言うのやめようぜ

事業とはすべてのステークホルダーがWinにならないとうまく回らないのだと最近つくづく思うのです。
昔、近江の商人が「三方良し」という言葉を残していますが、これはとても大事な考え方です。

成果主義な姿勢が強ければ強いほど自分たちの(短期的な)利益を追いがちです。これは仕組みとしては当たり前なのです。現在の成果が上がらなければ数年後に自分が今のポジションにいるか分からないのですから。(反面ここらのファイティングスピリッツは凄い)

マーケティングを遂行するにあたり他社(他者)とパートナーシップ関係を築く必要性が出てくるケースもあります。このとき成果を急ぐあまり自分たちの要求ばかりを提示するのは経験上あまり良好な関係を最終的に築けていないのです。

例えば、意中の相手がいたとします。最終的には結婚して家庭を築くというのがゴールとします。お互いどんなに魅力的であることをアピールしてそれなりにスペックを理解できたとしても、「手を繋いでくれ」「こういう化粧をしてくれ」「服はキレイ系」「デート代は出すから周りに自分の良い評判を流してくれ」など一方的に要求してくる相手なんて100%ゴメンなはずです。(信じられないかもしれませんが、ビジネスに置き換えたケースで同様の意味合いの提案を散見します)

協力パートナーにも消費者にも内発的に動いてもらえるようにしていきたいものですね。

まとめ

今まで経験したマーケティング以前という話をさせてもらいました。
そして、突拍子もないのですが上記を満たして事業を創っていくのって、1) 裁量が完全に自分or意思決定者とツーカーな場合、2) 自分自身が事業主として創業する。この2択がベターなのではないかと考えています。

自分は冒頭のような大企業にしか在籍をしたことがないのですが、どうもカルチャーや現状のビジネスモデルとして新しく事業を起こしていくという面でバランスの良いところを見たことがないのです(得意先や同じ業界の会社を見渡しても)

という結論に至り、僕は「とりあえず自分でやってみよう!」と開始したのがクラフトナッツバー NUTZRISS のはじまりなのでした。

また関連することでご質問等々あればX (旧twitter) のDMでもください!では。

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