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バイタリティがあるって言われるやつ

 先日、というかしばしば似たような話が出るんですが、こんなことを言っていただきました。

「亀山さんって、バイタリティに溢れているよね」

 ……それ、何かの間違いじゃない?

 確かに僕は手広くいろんなことをしていますが、そのきっかけは全て他の人間なんです。例えば――

 小学生の頃の水泳教室はいまだに「習わされた」と口を滑らせて顰蹙を買います。
 中学で演劇部に入ったのは友達の勧誘を受けたからで、こんなにのめり込むとは思ってもいませんでした。
 始めて小説を書いたのは国語の授業で、その後ずっと興味だけはあった執筆活動を始めたのは高校演劇部の先輩が脚本と漫画を書いていたからです。
 大学は専門を決められなかったから教養学部に入ったところがあり、受験先を決めてから表象文化論なる分野を見つけました。
 生まれて初めて観た芸能人のイベントは、懸賞で当たったライブの「公開リハーサル」で本番は行ってません。
 自費出版で親のすねをかじったことは何度もnoteに書いていますね。うんうん考えていたら、やればいいじゃんと言われました。
 劇団の立ち上げは僕の戯れ言に後輩が食いついたからで、自分自身全くの予想外でした。
 スポーツセンターに通うようになったのはたまたまチラシをもらったからだし、アーチェリークラブに入ったのは熱烈勧誘してくる会長さんがいたからです。
 そして今の会社に就職できたのは、完全に就活しろと言った弟のおかげ。
 家庭教師もそう、ぜひウチの子をと手を挙げたお母様がいたからです。

 こうして振り返ると、一番大きいのは人間に恵まれていたということです。僕が「やりたい」と言った時に「やりなよ」「やろうよ」と返してくれる人が本当にたくさんいました。
 そもそも「やりたい」と話すのも、背中を押してもらえることを期待しているからです。物書き学校も内職のアルバイトも、広告を見つけては両親に見せていました。
 興味のある「募集」に手を挙げるのは、企画することができないから。僕は自分が一人では動き出せないと分かっているので、常にきっかけを探しているのです。

 それでも僕がバイタリティに溢れていると言ってくれる方には、四者四様の僕の姉弟を紹介しましょう。
 まずは姉上。彼女は思い付きと勢いで行動する人です。結構考えなしですが、他人を巻き込むのが得意なので多少の失敗は周囲がカバーしてくれます。ある意味最強です。
 次にすぐ下の弟。彼は行動しながら考えられる人間です。思い立ったが吉日、バイタリティという言葉は彼にこそふさわしい。その割に堅実な面を合わせ持つ世渡り上手です。
 それから末っ子のおちび。この子は考えてから行動するタイプです。姉貴兄貴に虐げられて育ったしっかり者で、行動しないと損することも学んでいるのでしょう。意外としたたかです。

 それに比べて僕は、ずっと考えている人間です。それに根が引きこもりで、車椅子ユーザーであることを利用している気があります。
 まあ、ずっと考えているからこれだけ文章を書けるんだろうとは思いますが。

 要するに言いたいことは――
 自分には行動力がないと思っている方、絶対に僕よりもあります。だから何かにつけてそれがきっかけだと思い込んでみてください。動けます。

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