『火遊びはすぐばれる』
登場人物
羽原千歳(18)高校三年生
成田洸平(18)同じく高三、千歳の彼氏
成田涼子(21)洸平の姉
SE 屋上のドアの音。
千歳 ホントに開いちゃった。
洸平 だから言ったろ、ウチは屋上に――
千歳 (被せて)鍵を掛けるほど立派なマンションじゃない。分かったけど、もしばれたら。
洸平 だからばれないって。
千歳 洸平くんのそういうところがホント心配なんだけど。
洸平 とか言って、千歳だって自分から花火持ってきてやる気満々じゃん。今更心配したって仕方ないんだから楽しくやろうぜ。
千歳 それはまあ……。
洸平 あ、バケツ忘れた。
千歳 え?
洸平 ごめん。ちょっと取って来る。
千歳 言ったそばから。
SE ドアの音。
千歳 なんだかなあ……。
涼子 いいね、青春だね!
千歳 え? わあ!
涼子 高校生が屋上で二人、花火ですか。
千歳 ……いつからそこに?
涼子 ずっとここにいたよ。君らがイチャイチャしていて気付かなかっただけ。
千歳 そうなんですか? っていうか、あなた誰ですか?
涼子 あたし? あたしはお姉さんでいいよ。
千歳 え?
SE ドアの音。
洸平 お待たせ。
涼子 来た来た、ヤッホー。
洸平 あ、姉貴!
千歳 お姉さん?
涼子 どうも、洸平の姉の成田涼子です。
洸平 どうして?
涼子 ふっふっふ。お姉さまを甘く見るんじゃありません。せっかくだし花火しながらお二人のなれそめでも聞こうかしら。
千歳 ばれたら……こうなるんだ。
〈了〉
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