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僕のルーツについて

僕は生まれも育ちも東京です。

 しばしばnoteにもそう書いていますが、これにはちょっと語弊があります。だからリアルで自己紹介をする際は、余裕があれば補足を入れます。

「生まれたのは東京の病院だけど、正確には母親が里帰り出産していて……」

 当時、我が家は埼玉県にありました。つまり僕の出生届はそちらの市役所に提出されているのです。
 姉と弟も同様で、我が家には「祝 誕生××市」の粗品が3つありました。

(ちなみに僕は4人姉弟ですが、末のおちびが生まれるのは東京に引っ越した後のことです)

 僕が3つになった頃、母の地元である東京のマンションに移り住みました。幼稚園にも入る前のことですからほとんど何も覚えておりません。
 ただ、引っ越し直前のがらんどうになったアパートと、姉の通う幼稚園まで祖父の車でドライブしたことだけは強く印象に残っています。卒園間近の一時、姉は祖父の送り迎えで東京-埼玉間を通園していたそうですからその際の記憶でしょう。

僕の本名は母方の姓です。

 この情報もnoteに書いたことがありますが、若干の語弊があります。
 そしてこちらは、リアルでも正確なところは他人様に話したことがないと思い至りました――。

 僕の両親は結婚した際、世の中の「普通」に倣って「夫の姓」を選択しました。
 僕も姉も弟も、生まれた時は違う名前だったわけです。

(ちなみに僕は4人姉弟で――以下略)

 ところが母の地元に引っ越す段になり、両親は「妻の姓」を選び直すことにしたのです。その方が何かと都合がいいという理由で。

 母は地元に根付いた家の生まれです。
 僕が小学生の頃、同級生にも先輩にも後輩にも同じ名字の児童がいました。近所には「本家」なる家が建っていて、祖父はこの本家とも関係が深く、地元ではかなり名の知れた人でした。

(ホント、祖父とお散歩するとよく声をかけられたんですよ。東京23区内の話ですからね)

 末っ子の父と第一子の母、上京した父と箱入り娘だった母、父の方が婿養子になったのは合理的な成り行きだと思います。
 しかし5人分の名前変更手続きは実に面倒で、結婚の際に名字を変える方がずっと簡単だろうと後に父は語っておりました。

「じゃあ最初からお母さんの名字にしとけば良かったじゃん」

 そう突っ込もうとしてやめたのは「夫婦同姓は男女差別である」という衝撃の事実を既に知っていたからでした。
 妻の家を守り、最終的にその家の墓に入っても構わないと思える父は、意外とすごい男ではないかと気付き始めていたからでした。

 母の名字で育った僕は、長いこと夫婦同姓は男女平等だと信じていました。どちらの姓を選ぶのかは当人たち次第だと。
 そして「普通」を知った後、ジェンダー問題に深く興味を持つようになりました。僕のnoteからはその片鱗が伺えると思います。

 しかし「普通」とは恐ろしいものです。

 母の名字で育った姉ですら、結婚した際どちらの名字にしたのか質問した僕に「何を言ってるんだこいつは?」という顔をしました。これには非常に悲しくなりました。
 もし自分が結婚することができたなら、その時はぜひともじゃんけんかクジ引きで――完全なる2分の1で名字を決めたいと心から思っております。

(こんなこと考える面倒くさい奴だから、結婚はできそうにありませんけどね)


 ちなみに、3歳まで名乗っていた父の姓と今現在の母の姓では、今の姓の方が響き的に好きです。
 ただ読み間違いの多い字である点がネックですね。下の名前も読み方が複数あるため、特に地の利がなくなった高校以降は一発で自分の名前を呼んでもらえなくなりました。

 父の姓は読み間違いのないことと「出席番号1番」が取れたかもしれない点が魅力的です。
 僕は幼稚園に入る前に今の姓になってしまいましたが、姉は園児だった頃、真っ先に名前を呼ばれていたことでしょう。

 そういえば僕は「夫婦同姓」と同じくらい「男女別名簿」が男女差別であることにもピンと来ていませんでした。
 僕の通っていた小学校では男女混合、中学校では男子が先、高校では女子が先の名簿であったため、これまた自分の中で2分の1だったのです。

 いろいろ書きましたが、僕は今、ペンネームを名乗ることが増えてきております。
 自作キャラクターのお気に入りから取った「亀山真一」
 女性名を求められ亀に対して鶴で作った「結月美鶴」
 どちらも本名よりもいい名前だと、屈託なく嘯ける僕に育てた両親は懐が深いなと本当に思います。

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