NiziU「Make You Happy」THE MUSIC DAYのカット割を分析

NiziUのテレビ初パフォーマンスとなった9/12「THE MUSIC DAY」での「Make You Happy」のカット割について、分析してみたいと思います。

グループアイドルのカット割については、全体のフォーメーションを見せるルーズショット(以下LS)と、メンバーの表情を見せるクローズアップ(以下UP)を、どう塩梅するかが基本となります。コレオグラファー(振付師)は、ステージで魅力的に見えることを前提にフォーメーションを考えるので、LSがベースとなりますが、その中で「テレビならではの表現」(人間の目はクローズアップしないので)として、UPをどのタイミングでどれくらい入れられるか?がカギと言えるかもしれません。

(例:日本では、ジャニーズや(かつての)モーニング娘。などを見ていると、振付の時点でコレオグラファーが「このタイイングでこのメンバーのUPを撮る」とゆーポイントを明確に想定していると思われるものもあります。一方K-POPの場合、「 Dance Practice 動画」とゆーダンス全体リハーサルの定点カメラ映像や「チッケム( Fan Cam)」とゆー推しメンバーだけをずっと映した動画がネット配信されてる文化があるように、フォーメーションとメンバーのUPは別物で楽しめばいいとされている印象があります。

振付は、ネット情報によるとKiel Tutinとゆー、BLACK PINKやTWICEの曲をやっている著名な方だそうで、確かにフォーメーション構成はめちゃめちゃ美しいですし、カメラマンの腕の見せ所も多い振付とゆー印象があります。また「Make You Happy」は、プレ・デビュー曲としてメンバーの顔見せの要素もあり、9人のメンバーが4小節ずつ順番に歌うことで成立しています(Aメロ=リマ・リオ・アヤカ・マコ、Bメロ=マヤ・マユカ、Cメロ=リク・ミイヒ・ニナ・全員)が、その4小節を歌っているメンバーがセンターにいるように基本フォーメーションが組まれているので、カット割の構成は作りやすい振付かとも思います。


では、具体的に見ていきます。

■イントロ
3小節・横一列でユニゾン + 1小節・上手から下手へウェーブで右手を上げていく振付ですが、カットを割っているのが、4小節目の頭ではなく、最も上手にいるリオが右手を上げる瞬間である1拍目のウラなところに、スイッチャーのこだわりを感じました(録画なので、編集で直したのかもしれませんが)。

■Aメロ
◎リマ・パート・・・リマUP・3小節  + LS・1小節
◎リオ・パート・・・リオUP・3小節  + LS・1小節
◎アヤカ・パート・・・LSからセンター5人にズームイン・2小節 + アヤカUP・1小節 + センター5人・1小節(このパート、アヤカをマヤとマユカが持ち上げた下をマコとリクがくぐり抜けるとゆー見せ場の振付なので、センター5ショットが多くなったぶん、UPが少なくなっています。ビジュアル・メンバーであるアヤカのUPが少なくなるのはもったいないですが。)
◎マコ・パート・・・前のカットから続いてセンター5人・2小節 + マコUP2小節

■Bメロ
◎マヤ・パート・・・LS・3小節 + マコUP・1小節(このパート、マヤをセンターにV字になってのユニゾンなので、LSを多くしたのだと思われます)
◎マユカ・パート・・・LS・2小節 + マユカUP・1と2/4小節 + LS・2/4小節(歌っているマユカが下手からセンターへ走ってくるのでアップが撮りづらく、カメラマン泣かせの振付かもしれません。今回は、マユカがセンターについた3小節目でUPに行き、カメラはそのまま固定で次のリクの歌い出し「Uh I just wanna〜」を入れ替わりで見せる形をとっています)

■Cメロ
◎リク・パート・・・そのままLS・2小節 + リクUP・1小節 + LS・1小節(見せどころの縄跳びダンスをLSで見せたあとに、リクのUP。本当はもう1小節UPで粘りたいところだが、最後の1小節でフォーメーション・チェンジをするので、リクのアップはこれしかないか。)
◎ミイヒパート・・・LS・2小節 + ミイヒUP・2小節
◎ニナ・パート・・・下手からセンターへのLS・3小節 + ニナUP・1小節
◎全員パート・・・LS・2小節 + マコUP・2/4小節 + リマ・マヤ・アヤカ2/4小節 + アヤカ・2/4小節

■2番
上記の通り1番は、全体を見せるLSの合間に、歌っているメンバーのUPが1〜3小節はさまれていく構成でしたが、2番は、横位置に並んで踊りを見せる振付のため、LSが多めになります。その中で、マユカの「この手つないで」のところでクレーン・カメラによる俯瞰からのカットに手を伸ばすところとか、アヤカの「一人きりにはさせないよ」でのマヤとの絡みとか、随所に印象的なカットがありました。

■ラップ・パート
マコ・リオ・マユカ・リマの順番でラップがリレーされていきますが、マユカだけ後ろにいたままなのでUPが撮れないんですよね。なんでこんな振付になったのかわからないですが、マユカ・パートはカメラマン泣かせのフォーメーションが多い気がします(それだけマユカが難しいパートを任されている、とゆーことなのかと思いますが)。
逆にリマのラップは、この歌のストロング・ポイントであり見せ場だと思うんですが、リマが下手からセンターに向かうのに対して、クレーン・カメラは逆にセンターから下手へすれ違うよーに離れてしまうので、迫力に欠けたカットになってしまって、もったいないと感じました。

■ラストCメロ
縄跳びダンスをアレンジした振付をLSで見せつつ、ミイヒのUPを入れつつ。
最後はステージLSになってますが、もっと近いカットで、歌い終わりで安堵したメンバーの表情が見たかったところです(後で、Huluやスッキリ独占で舞台裏を配信するのかもしれませんが)。


全体を通して。

基本的には「この振付・フォーメーションから、こーゆーカット割になるだろう」という、オーソドックスなものと思いました。

UPのカットでは、基本的にUPになっているメンバーの目線がちゃんとカメラに向いてたので、カメラ・リハーサルはかなりキチンとやったんじゃないかと思われ、完成度は高かったと思います。

一方で、新人ならではの元気さがイマイチ感じられなかったとゆーか、ステージを楽しめてないよーな印象もありました。理由は、一つはもちろん緊張してたからかとは思いますが、演出面でも理由がある気がします。

セットは、黒ベースにLEDの背景でしたが、全体的に暗い印象がありました。韓国から3分間の中継のために、幕張のセットのような豪華さを求めるのは予算的に無理とは思いますが、LEDはもう少し原色が多くカラフルでもよいと思いました。また衣装も、ブルーのツイードの衣装を新調していましたが、新人の初ステージで寒色系を採用するのにも疑問がありましたし、デザインも銀行員みたいで、JYPの伝統でどうしようもないかもしれませんが。あと恐らくプログレッシブ・モードで撮影されていたと思うんですが、日本のテレビで多く採用されているインターレースの中にプログレッシブの映像が挟まると、色味の深さは出る一方で、全体的に白っぽくて動きも滑らかさに欠けるので、白けるんですよね。それもあったかもしれません。

あと、放送後に「口パク」がトレンド入りしていましたが、CD音源とは明らかに違っており口パクではなかったです。ただ、収録後のミックスで音のメンテナンスをかなりやったと思われ、ライブ感に欠けた部分もあったかもしれません。Nizi Projectのラスト・ステージで「Make You Happy」を歌った時に入ってた、手を合わせる振付で出る手拍子音とか、もう少しライブ感のあるミックスにも出来たのではないかと思います。

偏見込みでいえば、日本テレビはプライムタイムにレギュラーの音楽番組を持っていない時代が長く、他局に比べて歌番組を制作する能力は高くないと思います。今後NiziUが、韓国の音楽番組に出るのか、それともどこかの時点で来日して日本の音楽番組に出るのかはわかりませんが、いろんな放送局で「Make You Happy」を、どう演出してどんなカット割になるのか、楽しみにしたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?