NiziUに売れてほしい理由

NiziUを生んだオーディション「Nizi Project」と、TWICEを生んだオーディション「SIXTEEN」を見比べると、いくつか違いがあって面白い。

Niziプロが、日本中から1万人余りが集まって行われたオープンなオーデイションだったのに対して、SIXTEENはJYP練習生16人からデビュー組のメンバーを選抜するとゆークローズドなものなので、前者が一人一人の成長物語を描いていたのに対して、後者は基本的に蹴落とし合いだし、J.Y.Parkも練習生相手なのでNiziプロより厳しいし、また前者がhuluでの配信が基本だったのに対して、後者は韓国のケーブルテレビ・Mnetの番組だったのでTV的なエグい演出も多い(第1話にはウンコも出てくるし)。

逆に言うと、こんなエグいオーディションで選ばれながら、今はみんな仲良さげなTWICEってスゲーなぁとも思うし、スキルの高さにもあらためて感心するのですが、それはいったん置いといて、もーひとつ両者の大きな違いとしてあるのが、Niziプロがミッションでパフォーマンスしているのが、TWICEやITZY・2PMなどJYPのグループ楽曲(またはソニーの女性アーティスト曲)なのに対して、SIXTEENで練習生たちが自分のミッション曲として選ぶのは、アヴリルラヴィーンやアリアナグランデ、レディーガガやファレルウィリアムス、マークロンソンなど、基本は洋楽が多いとゆーことだ。これには、MnetがTV局だから包括契約で洋楽が割と自由に使える(配信だとたぶん特別な権利処理が発生する)とゆー事情もあるのかもしれないが、とはいえNiziプロでもニナが韓国合宿の個人ミッションでチャーリー・プースの曲を選んでいたので洋楽を全く使えないとゆーことでもなく、理由はそれだけではないと思われる。

つまりは、TWICEのメンバーたちが憧れていたのが欧米の洋楽アーティストであったのに対して、NiziUのメンバーたちが憧れてたのはTWICEなどK-POPの先輩アーティストだ、とゆーことが言えるんじゃないかと。

グローバルな活躍を目指すにあたって、K-POPのアーティストたちは海外を直接的に視野に入れているのに対して、日本の女の子たちは韓国を目指している、とゆー現状は、個人的には少し思うところがある。


僕は昔から、アイドルに対して「ブレイク」とか「売れる」ことにこだわり過ぎ、と言われることがある。もちろん、売れてないアイドル、アンダーグラウンドなアイドルにも、優れた人・優れた楽曲がたくさんあることは知っているし、アイドルのあり方は多様であった方が絶対に面白いと僕も思っている。ただ、アイドルは売れなきゃいけない・メジャーな存在でなければいけないと思う理由の一つとして「アイドルが、たくさんの女の子たちに憧れられる存在でなければ、次の世代のアイドルが生まれてこない」とゆーのがある。「私もあんな風になりたい」と思われる存在でなければ、その才能は別の分野に流れてしまうのだ。90年代、売れてるアイドルがいなくなり、アイドルが女の子たちの憧れの存在でなくなった・ダサい存在になってしまって、その状況を変えたのが1998年のモーニング娘。だったわけですが、モー娘の初期メンバーはアイドル・オーディションで選ばれたのではなく「女性ロックボーカリスト・オーディション」の落選者の集まりだった、とゆーことは忘れてはいけない。つんくがあの時に「ロックボーカリストで集まった子たちに、アイドル楽曲を歌わせる」とゆー大きな解釈変更をしなかったら、今もなおアイドル不況だったかもしれないのだ。

京都の中学生だった美少女ミイヒが、TWICEに憧れてコンサート会場でスカウトされ、韓国にわたって練習生になる。日本のラップ・シーンを作った1人であるZeebraの娘・リマが、インターナショナルスクールの友達からK-POPを教えてもらい、夢をかなえるために韓国にわたってラップのスキルを磨く。これは今までなかったことで、今の日本に彼女たちの才能の受け皿がなかったとゆー事実に少し危機感を感じるものの、アジアの中で日本と韓国が力を合わせて世界を目指すことは、面白いことになるんじゃないかと、個人的には思う。

NiziUが売れてくれて、それを見た女の子たちがNiziUに憧れるよーになれば、新しい何かが生まれそうな気がするのだ。

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