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⑩季節について

信越トレイルのベストシーズンはいつですか?

と聞かれても、感覚的な個人差があると思うので、このページではそれぞれの季節の特徴だけを案内していきます。とはいっても歩きやすい季節は断然初夏と秋ですが。

それでは以下、単純な春夏秋冬ではなく、細かく季節を別けて記載していきます。通常のハイキングが可能となる5月下旬から順に説明いたしますが、テントサイトの利用期間は公式サイトで最新情報を確認してください。
 
■5月下旬~6月中旬
日本海側でも有数な豪雪地帯である関田山脈は、GW頃まで完全に雪が覆います。標高の低い里山エリアから順に5月下旬頃から通常のハイキングが可能となるでしょう。ただし、関田山脈の鍋倉山周辺には、稜線上でも雪がたっぷりと残るため、この時期は軽アイゼンを用意すべきです。雪質は硬く締まっているため、坪足でも問題ありませんが、アップダウンが多く、斜面のトラバースもあるので安全マージンは必要でしょう。雪の上を歩き慣れたハイカーや、ソールグリップのしっかりした登山靴を履いたハイカーならアイゼンなしでもかろうじて大丈夫なレベルかもしれません。滑落するような危険地帯は少ないですが、転倒による怪我などリスクは多少上がります。それでもこの季節が素晴らしいのは、雪と新緑のコントラストがあるからです。雪どけで水は豊富ですが、肝心の水場が雪の下というケースもあるので注意が必要です。団体のガイド付きツアー客はこの季節と紅葉の季節が一番多くなるため、週末の山は結構にぎやかです。鍋倉山では残雪のスキーを楽しむ人も多いでしょう。この時期はまだ整備が間に合わず、場所によりテントサイトはまだ使えません。グリーンパルテントサイトは例年6月初旬からオープンします。

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■6月下旬~7月初旬
ほとんどのトレイル上には雪はなくなりますが、渓谷の日の当たらない場所では6月下旬まで所々雪は残ります。それでもこの頃には安心してふかふかの土の上をハイキングできる筈です。ちょうど梅雨に入る頃なので、雨対策は充分に心がけましょう。雨具に関して言うと、樹林帯の中は風が無いので、山岳用の上下ゴアテックスの雨具でなくても充分通用します。傘やポンチョでも大丈夫。ただし雪の重みで捻じ曲がった木々が邪魔をするため、傘を差すスペースがない場合も多いでしょう。木々をまたぐことが多く、ポンチョだと足元が見えにくい場合もあります。それでも傘やポンチョは充分活躍するでしょう。この時期も水が枯れることはありません。霧のトレイルや、ぶなの幹を流れる雨水など、幻想的な光景が楽しめるでしょう。蚊の多い季節なのでモスキートネットは忘れずに。
※その他のテントサイトのオープンは雪どけの時期によりますが、例年6月後半以降となります。北部の野々海サイトが最も遅く、場合によっては7月に入ることもあります。

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■7月中旬~9月中旬
いわゆる盛夏です。低山ゆえに暑いです。樹林帯が多いため、稜線の爽やかな風も期待できません。当たり前ですが水の消費量が増えるので、最大で4リットル以上は水を持ち運べるように水筒を余分に持つべきです。この季節は桂池の水場が枯れることもあるので注意しましょう。水の補給に失敗してリタイアするハイカーも非常に多いと聞きます。逆に装備は思い切って少なく出来るので、水を多く持つ代わりに基本装備の軽量化が可能です。身軽な装備で歩けば疲労も抑えられるはず。多少雨に濡れたとしても、高山と違い低体温症になることはまずありません。テントの変わりにタープでも大丈夫ですが、虫対策をしっかりと。

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■9月下旬~10月中旬
涼しくなり虫も少なくなるのはこの季節。実は夏場よりもこの時期のほうがタープ泊にうってつけです。10月に入れば徐々に紅葉が始まりますが、紅葉のピークは周辺の高山より遅く、毎年10月下旬です。急峻な山岳エリアの紅葉と違い、森全体の紅葉が視界に入ってくるのが印象的です。気温もそれほど低くはならないため、過剰な防寒具は要りません。最低気温は10月中旬でも5度前後。トレイルに降り積もった落ち葉の上を歩き、タープやテントの隙間から、澄んだ星空を眺めることが出来ます。

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■10月下旬~12月初旬
寒くなるのはこの時期から。ダウン衣類を忘れずに。紅葉も終わりを迎えるころ、人も少なくなるので静かなハイキングが楽しめるでしょう。11月に入れば気温も零下まで下がり、初雪も降り始めます、12月に入らないと根雪になるようなことはないため、初冬でも安心感があります。幸運にも初雪が降れば、紅葉と雪上ハイキングが同時に味わえるでしょう。11月下旬から12月初旬の最低気温で-5度程度。日中太陽が出れば暖かく、汗ばむほどです。
※テントサイトの利用は10月いっぱいまでが通常。それ以降は事務局に問い合わせ。グリーンパルは例年10月30日で終了します。

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■12月中旬~2月下旬
この時期は雪が信じられないくらい降り積もるため、スルーハイクは出来ません。おとなしく春を待ちましょう。それでも日帰りのスノーシューやクロスカントリースキーを楽しむにはうってつけ。特に牧峠から関田峠の間や斑尾エリア周辺にはフラットな場所も多い為、雪遊びには最適です。ただし雪山に慣れたハイカーでも、この時期にテント泊をすることはお勧めしません。一晩に1m近く雪が降り積もることもあるため、テント内での酸欠や埋没に注意しましょう。関東近郊の山々とは降雪量が比べ物になりません。標高1000m程度なら厳冬期でも最低気温はマイナス15度くらいでしょうか。

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■3月上旬~4月上旬
この時期になると降雪日数も降雪量も少なくなるため、雪中テント泊やツアースキーなど、雪上の遊びが比較的安全に楽しめるでしょう。3月中旬になれば雪も締まり、スノーシューやスキーを使ったオーバーナイトハイクが可能になります。ただし平坦な地形が多い関田峠周辺や野々海池周辺など、ガスが出ると迷いやすいエリアではGPS装備が必須です。霧が出たら即停滞を心がけましょう。鍋倉高原森の家ではクロスカントリースキーやスノーシューのレンタルサービスもあり、ガイドツアーも行っています。

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■4月中旬~5月中旬
4月中旬になれば降雪はほとんどなくなります。いわゆる残雪期のスノーハイキングはこの時期が最適。積雪量も稜線上には5メーターほどあるため、テント泊はどこでも可能です。夏場は苦労する水の確保も、雪を溶かして作るので、燃料さえあれば困りません。展望を邪魔する木々は雪の下、ひたすら気持ちよく雪原を歩けるでしょう。夏場の信越トレイルのデメリットである、テントサイトの制約、水場の少なさ、展望の無さ、と言ったマイナス要素がすべて逆転するのがこの季節の魅力です。4月中旬までは気温が零下(-5度程度)になりますが、4月下旬以降は暖かく、寒くても零度前後です。
※南部は雪どけが早いため、鍋倉山以南は稜線に雪が無くなる可能性も考慮してください。涌井周辺などの里山エリアではトレイルが所々露出しています。

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■総論
低山の信越トレイルは気象リスクが少ないのが一番の魅力かもしれません。5月から11月までは安心安全に山歩きが楽しめますが、残雪対策として、軽アイゼンなど足回りの安全マージンは確保しましょう。6月ごろまではトレイル整備が間に合わないため、雪の重みで倒れた倒木や斜面の崩壊箇所も多くなります。また、雪に埋まった木の枝が急に起き上がる場合があるため注意が必要です。夏場は装備の面で実験的なことが可能です。軽量化にチャレンジするなら信越トレイルは良い練習場所になるでしょう。タープやフロアレスシェルターなど、開放的なスタイルにもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。テント類は正直何でも大丈夫です。寝袋も普通の3シーズン用で対応できます。特別な装備は要りませんが、低山ゆえ浄水器だけは準備してください。

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