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⑥水場の紹介

信越トレイルのマップ上に掲載されている水場は「浄水しなくてもそのまま飲める水場」しか掲載がありません。利用者には、水場がそこしかないかのような誤解を与えるかもしれません。この章ではではさらに、浄水すれば飲料可能な、マップには掲載されていない水場や、少しトレイルを外れれば給水可能な水場を積極的に紹介しています。その為、やはりハイカーには浄水器が必須アイテムとなるでしょう。夏場の水の消費量を例に挙げれば、行動時の摂取量と食事の際の使用量を併せて1日4リットル前後が大体の目安となります(行動時間の水の補給の目安はこちらを参照)。以下の情報を正しく活用すれば、1日毎に必ず何処かで給水できる筈です。

<公式サイトの水場情報>


以下、斑尾側より順番に表記。

①赤池キャンプサイトの水場
赤池脇にある小屋には水道があります。飲料不可と書いてあるため躊躇するハイカーも多いですが、単に塩素処理をしていないだけなので、公的には飲料水としての表示がないだけです。恐らくは池の水を利用していると思われるので、浄水すれば問題なく利用可能です。

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②沼ノ原湿原脇のトイレの水道
赤池同様にこちらも飲料不可の表示がありますが、当然浄水器を通せば飲料可能です。

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③涌井林道脇の湧き水(正規水場)
毛無山を下り林道を歩き始めるとすぐに左手下に水が湧いています。水量も多いので一年中枯れることはありません。そして何より冷たくて旨い!トレイルからは見えにくいため、素通りしてしまうケースが多く、その先100m程先にある畑の脇に設置された散水用の水道設備を水場だと勘違いするハイカーも多いので注意しましょう。水の音が聴こえるので間違うケースは少ない筈なのですが。。

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④太郎清水
桂池の脇にある湧き水(正規水場)
冷たくて旨い湧き水ですが、水量が細く夏場は枯れることがあります。雨の少ない年の8月は事前に事務局に確認しましょう。水量が少ない場合は底に溜まった水をくみ上げて利用する場合もあるため、その際には浄水器の使用を薦めます。残雪期(5月くらいまで)は水場が雪渓の下になる場合があるので注意が必要です。

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⑤戸狩スキー場手前の渓谷エリアの沢の水
桂池キャンプサイトから戸狩スキー場に向かう渓谷に入ると合計3本の沢があります。正規の水場ではありませんが、浄水すれば飲料可能です。場所によっては水量も多く、夏場は水浴びポイントに。南下ルートで桂池キャンプサイトに向かう場合は最後の沢で水を確保すると効率的です。

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⑥とん平キャンプサイト前のおさよの涙
キャンプサイト近くにはおさよの滝付近から引いた湧き水(おさよの涙)が出ています。管理期間を過ぎて冬の準備に入る頃はこの水場は撤去されますが、近くにあるスキー場施設のトイレの水道は使用可能です。

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⑦茶屋池脇のトイレの水道。
関田峠から10分ほど長野側に舗装道路を下ると茶屋池の休憩小屋と綺麗なトイレがあります。水道には飲料不可の表示がありますが、沢の水を利用しているので浄水すれば問題なく飲めます。尚、茶屋池の南側には本線と連結するサイドトレイルが通じているので、斑尾方向からは直接トレイルを歩いて到着できます。

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⑧牧峠から15分下った道路脇の湧き水(正規水場)
牧峠から長野方面に舗装道路を15分ほど下ると、ホースの先から出ている水場があります。ものすごく冷たくて新鮮な水場です。関田峠から天水山の間の稜線上には浄水無しで飲める正規の水場が無いため、この水場での補給は重要です。タイムロスにはなりますが利用価値の高い水場です。浄水器を持たないハイカーはここでたっぷり水を持つべきです。余談ですが、トレイル整備を担当するスタッフたちが、トレイル沿線上で最も美味しいと賞賛する水場です。

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⑨牧の小池
牧峠手前の池。水生生物たちの楽園のため、よほど水に困ったときに緊急用として考えましょう。浄水器がないと飲料不可です。

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⑩宇津野俣峠(アクセストレイル沿い)
牧峠~伏野峠の中間にある宇津野俣峠から、長野県側にアクセストレイルを歩いて5分下った場所にある沢の水が利用可能です。浄水は必要。斜面を下る際に右手に見える沢から下方に水が集まる地形です。この水場は光が原テントサイトから野々海テントサイト間の移動途中で比較的簡単に給水できる為、スルーハイカーにとっては戦略的に非常に重要な水場となります。

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⑪幻の池
宇津の俣峠と伏野峠の間にある池。牧の小池同様の緊急用。浄水は必須。

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⑫野々海池周辺の沢
野々海峠から野々海キャンプサイトに向かう舗装道路の脇には、何本か池に流れ込む沢があります。ここでも浄水が必要ですが、水量が一定で綺麗な水です。野々海峠側からは5分程度歩くと開けた沢があります。

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⑬野々海テントサイトの水場
テントサイト下の炊事場とトイレの前にそれぞれ蛇口あり
近くの沢の水を貯水タンクに貯めて利用されている水道ですが、塩素処理はされていませんので浄水が必要です。

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⑭深坂峠から野々海キャンプサイトへのアプローチルート上にある小川。
湿原の木道と森の境目にあり。流れが浅く渇水時は給水が困難。その場合はカップなどで汲み上げましょう。浄水は必要。キャンプサイトから歩いて5分の距離。

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⑮天水山から栄村口に降りた農業用水路
栄村口に向かい新しくつけられた県境沿いの下山トレイルを下ると林道に出ます。そこにちょうど用水路があり水が流れています。水は綺麗ですが浄水必要。

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以上が歩行中に利用できる水場ですが、緊急の場合、各峠と交差する一般道路を左右どちらかに下れば、たいてい用水路などがあり給水は可能です。ただし低山ゆえ浄水は必要と考えるべき。律儀に地図の水場だけを利用しようとすると、特に夏場は絶対に水不足になるため注意してください。脱水症状で救急車を呼んだハイカーも実在します。特に牧峠から野々海峠の間で水が足りなくなるパターンが多いそうです。

【浄水器の推奨】
ここ10年で浄水器も一般のハイカーに普及しました。浄水器を持たずに長期のハイキングに出かけることは現代では考えられません。

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【雨天時のテクニック】
強い雨が降るとブナの木が雨水を集めてくれるので幹を伝う水を汲むことが出来ます。


【注意】
6月初旬頃までは、水場が雪渓の下になるケースがあります。特に太郎清水や野々海周辺の水場は注意。ただし残雪が有る場合は雪どけ水が至る所から流れ出すので意外と水の確保は簡単です。また里に近いエリアでは上流に田畑がないか確認しましょう。農薬の混入も考えられるので要注意です。

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■免責事項
上記の水場以外にも非公式の水場はたくさんあります。ただし、浄水器が必ず必要な事と、安易に情報を公開するとミスリードが起こり、トラブルの原因になることで、必要以上の情報開示を避けているのが現状です。あくまで水問題は自己責任のもとで対処して下さい。

※通常なら正規の水場できちんと給水できれば、盛夏以外は特に問題ないと考えられます。


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