補助金申請で得られるお金以外のメリット

今回は補助金申請について少し書きたいと思います。今から書く話は私が補助金関係のセミナーや勉強会をお願いされたときに必ず話す話なのですが、折角なので記事にも残したいと思います。

小規模事業者持続化補助金申請での出来事

私はとある商工会議所さんで経営相談員の仕事もしているわけですが、あるとき私が担当の経営相談会に「小規模事業者持続化補助金の事業計画を作ったから見て欲しい」という社長さんが来られました。その方は以前にも補助金にチャレンジされた方で、その時は私も事業計画についてアドバイスをさせて頂きました。

事業計画を拝見すると、しっかりと分かり易くまとめられていたため、私は「この内容で申請しても良いと思いますよ」とアドバイスさせて頂きました。しかし、社長さんからは「計画書は作ったけど、今回は申請はしない」との応えが…。

折角良い事業計画書を作ったのにもったいないと思い、私が詳しく理由を聞くと、その社長さんはこう言いました。

「前回、持続化補助金の申請書を作ったことで自分の頭の中が整理出来た。こういう機会が無いと、普段の仕事に追われて自分の会社の今後の方向性や課題を考えることは無いから、今回は申請するつもりは無かったけど、計画書を作ってみた」

私はその姿勢に心を打たれ、その後じっくりとその会社さんの将来の計画について話し合いました。

ものづくり補助金申請での出来事

似たような事例は他にもあります。次はものづくり補助金の事例です。

ある日私の事務所に一本の電話が入りました。電話の主は鉄工所を営む会社の社長さんです。電話の内容は「ものづくり補助金を使って設備を導入したいからその手伝いをして欲しい」というものでした。その会社さんは今まで補助金等の申請をした経験は無かったため、出来る限り基本からじっくりアドバイスして欲しいとのこと。

そこで、申請までに何度も打ち合わせを行い、「どのような設備を導入するのか?」「設備はどのように活用するのか?」「今後の事業展開は?」といったことをじっくりと話し合いました。

そして、私もお手伝いをさせて頂きながら申請書を作り上げ、申請を行いました。結果は…。

残念ながら不採択でした…。

社長さんにはお時間を割いて頂いて何度も打ち合わせをして頂いたので、申し訳ない気持ちで結果を報告すると、その社長さんはこう言いました。

「結果は不採択だけど、それで良かった」

予想外の言葉でした。どういうことか聞くと、その社長さんは申請後に申請書を何度か読み返したそうです。そして、自分の会社の現状と将来についても考え、今必要なのは申請した設備では無いという結論に至ったようです。社長さんはもし採択されても辞退をするつもりだったとのことでした。

しかし、それでは申請に掛かった費用と時間が無駄になってしまいます。そのことについて社長さんに聞くと「自分の頭の中が整理出来て、今後の方向性も見えてきたから無駄ではない」と言われました。

その後、その会社さんとは顧問契約を結び、お付き合いさせて頂くこととなりました。

2つの事例から伝えたいこと

これら2つの事例から伝えたいことは、「補助金申請は自社の事業を見直す場でもある」ということです。もちろん、補助金の第1の目的は資金調達ですが、真剣に取り組めば自社の事業の方向性や課題を考える良い機会にもなり得ると思います。

今年からは補助金の公募が通年で行われるため、時間を掛けてじっくりと補助金申請に取り組めるので、補助金へのチャレンジを予定されている方は是非ともこの機会に自社の事業を見直してみて下さい。

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