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静岡県東部地域×スポーツ レバンテフジ静岡 二戸康寛代表

レバンテフジ静岡
二戸 康寛(にと やすひろ)代表
「地域に応援されるチームを目指したい」

レバンテフジ静岡の運営会社BCクリエイト合同会社代表。
2020年1月レバンテフジ静岡発足。チームの立ち上げに伴い、東京都内から静岡県富士市に移住。
レバンテフジ静岡は、2020年に発足した富士市を拠点にするチーム。JCLに参戦中。
JCL:UCI国際自転車競技連合に加盟している日本籍コンチネンタルチームおよび地域密着型ロードレースチームで構成されている日本プロロードレースリーグ

富士市サイクルステーションにて

[チーム立ち上げ] 2020年から富士市を拠点に。レバンテフジ静岡の立ち上げ経緯


-富士市でチームを立ち上げることになりましたが、それまで静岡県東部地域のイメージはどうでしたか。

「競技者として走っていた当時の拠点が、神奈川県秦野市でした。静岡県は近いじゃないですか。御殿場や、伊東、熱海辺りはよく走っていました。
自転車をやっていると、サイクルスポーツセンター(伊豆市)もありますし、静岡県東部地域に対するなじみはすごく前からありました。

富士市でチームをスタートするということにも、あまり抵抗がなく、昔から自転車で訪れているので、自転車を取り巻く環境については、他の土地よりもメリットはあるなと感じていました。逆に静岡に今までチームがなかったというのは、もったいなかったかな、とは思います。

チームの発足は2020年1月1日。伊豆でMERIDA X BASEを展開するミヤタサイクル(現メリダジャパン)さんが、静岡に地域型のプロチームを作り、自転車の普及促進活動をしていきたいという想いがあり、自分のところに相談がありました。
当時、自分は東京で同じようなチームの運営をしていましたが、東京オリンピックが近づくにつれて、ホームとして利用していた施設がオリンピックのために利用できなくなるなど制限が出てきました。このままでは、オリンピックが終わるまで何もできない、という雰囲気になり、チームを終わらせる話をしていました。
その時に、ミヤタサイクルさんから急きょこの話をいただき、静岡でプロチームを立ち上げることは、オリンピック開催がきっかけとなり、国内のサイクルスポーツの競技力の底上げにもつながると思いました。

 まだ、静岡県内(富士市以西)ではスポーツサイクルという認識があまり定着してなかったと思います。ただ「自転車活用推進計画」もあり、オリンピックもあり、各自治体が盛んに取り組まれていることをお聞きしていたので、その勢いを、逆にチームもお借りし、プロチームを発足して拡大に繋げられるいいタイミングなのでは、と思いました。そこからは、本当にあっという間。チーム設立まで半年位でした。ミヤタサイクルさんの構想があって、自分がフリーになったタイミングと、あとオリンピックとですね。色々なタイミングがマッチして立ち上げに至った感じですね。なので、すごく早かったですよ。」

[富士市] 富士市周辺の感想やオススメを


-富士市に住んで感じたことはどんなことですか。

「こちらに越してきた時は、土地勘がなかったです。
伊豆や御殿場辺りまではわかるんですが、この辺りはなかなか…。

初めて富士に来たときは、道がわかりにくかったですね。富士はナビがないと走れなかったです。1年位はGoogleに頼ってました。富士市の北部の方にある合宿所に、夜帰るときに携帯の電源が切れて、だいたいこっちかなと思って走っていたら、富士宮市の浅間さんの近くにいたこともあります。

でも、利便性考えたら富士市は良いですよね。東海道線ですぐ東にも西にもどちらの方面にもいける。車もあれば色々行けます。
サイクリスト目線で見ると、工業の街なので、大きい道はトラックの通りが激しいし、狭いところへ行くと本当に狭い、走りにくいっていうのは第一印象でありました。でも、市内は走りにくい、それってどこでも一緒ですよね。
郊外だと、富士山も駿河湾もあるし、富士川に沿っていけば身延とかにも越えていけるし、伊豆も走っていけちゃう。

ロケーションはすごくいい場所だというのを感じましたね。この海沿いもすごい走りやすいんだな、と感じていました。

おすすめの場所は、自転車目線で言うと、富士川楽座の上がすごくいいと思います。楽座辺りから、ぐっと上っていくと、丘の上に行きます。そこは、富士市や市街地と、海と富士山を全部一望できるんですね。そこは晴れた日に行くとすごいですね。全部独り占めできた、みたいな感じです。車だとあっという間に終わっちゃうので、自転車で行くといいと思いますよ。

あとは、富士山こどもの国(富士市)から富士宮市の方に抜けていく道路(富士山麓線)ですね。車は全く来ないです。まっすぐでアップダウンはほどほどなので、自転車で走るにはすごくいいと思います。気持ちよく走るには、最適だと思います。」

-富士市周辺の自転車の状況を教えてください。

「拠点を構えた3年ぐらい前は、自転車乗りが全然いなかったです。スポーツサイクルが全然いない ― 。スポーツサイクルということが、根付いていなかったのかなと思いました。ここの通り(富士市サイクルステーション前)は、全然いなかったんです。 

でも、今は土日になると結構走ってるんです。自分が来たときからの3年程で、だいぶ変わったと感じます。多分、コロナの影響が大きいのでしょうが、全国的な自転車ブームが地方に波及してきたのかなと感じます。
人が増えてきてるのがわかるので、なんか嬉しいですよね。

我々も自転車・スポーツサイクルの取り組みを、もっともっと地元に根づかせていかなきゃいけないなと思って活動しています。」

-静岡県東部でオススメの食べ物はありますか。

「食と言われると困るなあ。富士市って、つけナポリタンですよね。”つけナポ”は、すごく気になっている。いいと思います。
富士市から外れちゃいますが、御殿場の馬刺しもいいですね。」

-モンゴル人選手もチームに2人在籍されていますが、選手は日本食や日本を楽しまれていますか。

「彼らは、日本のご飯が好きですね。ほぼ自分が作っています。最近は鍋を食べていますね。あと納豆も食べますよ。最初は『う゛ぇ』って言ってたんですけど、食べ慣れたら食べられるって言ってました。

(二人は、)90%富士山にいますね。大好きですね。今、住んでるところが富士市の北部の方ということもあって、南部の方には来ようとは思わないんですね。

富士山といっても富士山一周(フジイチ)ですね、晴れた日は1週間のうちに2日とか行っています。『5合目行ってきた』とか言って帰ってきます。夏が過ぎてからは、寒くて駄目だと言ってましたけど。富士山というブランドイメージもあり、”富士山の周りで練習したい”ということもあると思います。

自分もここに来たときに見た富士市からの富士山は、別物という感じがしました。大きさといい形といい、これぞ富士山みたいなところがあります。自分は向こう(関東)から見てる富士山は見慣れていました。富士山自体は見慣れているんですけど、富士市に来て、特にこの富士市の新幹線沿いから見る富士山は別物ですね。」

レバンテフジ静岡 富士市を中心に活動するレバンテフジ静岡について

-チームに期待すること、今後目指すことを教えてください。

「地域に根ざしたチーム、地域に応援されるチームを目指したいです。

チームも、スポーツサイクルも、周知がまだ全然足りていないことはわかっています。より多くの市民・県民に、”レバンテ”って聞いたら”東部で活動しているプロチームだな”という印象がつくように、県民レベルで周知が図れるぐらいの大きなチームを目指したいです。

そういう意識が必要なので、イベントを行い選手を派遣しています。自転車はすごく身近なもの。イベントは、選手と参加者(一般の人)との距離が近いので、社会勉強の意味でも選手に機会を与えたいと考えています。嫌がらずにやってくれてるのはありがたいです。」


二戸代表

【二戸代表に質問】
選手が練習してる時、声をかけてもいいですか?
声をかけてほしいです。そういう声が出てくるようになったら、なんとなく地域に根付いてきたかなって思います。地元のチームが走っている、頑張れよ、みたいな感じで声かけられたら嬉しいですよね。練習してるときは、基本はオレンジのウエアを着ています。


-3月には、チームの拠点である富士市で富士クリテリウムというレースが開催されました。チームの高梨万里王選手が逃げて一時先頭に立つなど、会場を沸かせていましたね。

「万里王、逃げてましたね。いい見せ場を作ってくれました。

自転車のレースをやると、会場に来るのは関係者が多いんですよね。今回のレースに関しては観戦者は市民が多く、興味を持っていただけたことはすごく良いと思います。

チームのある場所でレースが行われ、しかも、今回のレースは本当の市街地での開催じゃないですか。ここまで市街地で開催できたのは宇都宮と大分ぐらい。観客も日本のイベントの中でも上位となるほど多かったと思います。

来年以降、もっと一般の人に周知が進めば、本当に大きいレースになるのではと思います。地域型のレースであれだけ人が来るということはなかなかないですね。

レースは観に行った方が良いですよ(笑)自転車じゃないような音がします。来年3月にまたやりますので、皆さんよろしくお願いします。」

[地域貢献]チームは稲刈り体験やサイクリングなど地域の活動に積極的


-レバンテフジ静岡は、地域の活動に積極的ですね。取り組まれている理由を教えてください。

「我々が地域密着型のサイクリングチームだからです。

我々が地域に支えられて活動が成り立っていることを、選手もわかっています。この地域がなければ我々の活動する場所もない、ということは、地域密着型チームなので当たり前ですよね。地域に応援されるために、我々の活動が地域にどう還元できるのかを考えています。

地域を巻き込んで、自分たちの存在価値を見出してもらって、その”地域プライド”に繋がるようなチームを目指しています。

その中で、選手なり我々スタッフなりが還元できる地域活動は何なのか、いつも考えています。応援されるチームを目指しているので、やはり地元に何ができるのか考えながら活動しているから、地域活動が増えてくるというところだと思うんです。

まだスポーツサイクル自体が、そんなにメジャースポーツではないので、市民の皆さんにはまだまだ馴染みが薄いと思うんですよね。スポーツサイクルを「見る自転車・見る自転車競技」、「体験して楽しい・体験型の自転車」この両側面でもっとアピールしていかなければと感じてます。

小学生向けのスポーツサイクル体験や一般人向けのサイクリングイベントを少しずつ増やしています。参加してもらえると、自転車の楽しさをわかっていただけるので、そういう機会をもっともっと増やして、自分たちが静岡県を拠点として活動しているチームだっていうことの周知と、より多くの人を巻き込んで自転車を使った地域活性などに繋げていければと思ってます。」

[東部地域]地域と一緒に盛り上げたい

「温かい目で見守っていただき、応援をお願いします」

-静岡県東部地域に期待すること、お願いしたいことがあれば教えてください。

「自転車、スポーツサイクルを始める人たちが増えてほしいと思っています。チームの活動も注目してほしいです。自転車は、道路を走るので、車や歩行者との共存がすごく重要になってきます。
我々も歩行者、自転車の共存、安全周知等は今後取り組んでいかなければならないですね。そういう面でで我々も努力しますし、市民の皆さんの協力も必要になってきます。やっぱり、地元で自転車のハンドルを握り、自転車による地域振興、地方創生と、我々はうたってますが、皆さんの協力もあってこそです。
自転車は、ドライバーから見ると、ちょっと邪魔な扱いになることもあります。自転車乗りも、自己中心的な考え方をしてしまう人もいます。みんなで楽しめる自転車環境を一緒に作っていきましょう。

自転車で、地域を盛り上げていきたいと思っています。皆さんも一緒になって、盛り上げていきましょう、温かい目で見守っていただき応援をお願いします。」

インタビュー実施:令和4年11月