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先日登壇したフォーラムの、德留の回答まとめ。

※この記事は2021年6月のフォーラム当時に有料で公開していた記事を若干の修正を加えて無料化したものです。(2023年9月現在)

先日、行政書士フォーラムというイベントに登壇させていただきました。
登壇した私自身も他の登壇した先生方からたくさん学ばせていただき、個人的にはとても実りの多い会でした。

さて、フォーラム宛にたくさん質問をいただいていて、その中にはもちろん私への質問ではないものもたくさん含まれていたのですが、せっかくなので、私なりの回答を全てまとめてみようと思い、このnoteを書きました。

実際にフォーラムで話した内容もあれば、短めに回答したもの、回答していないもの、フォーラムでは違う話をしたものもありますが、興味がある方はご覧ください。


自己紹介

はじめまして、こんにちは!德留さやかです。
大阪の梅田というところで行政書士法人つむぎという事務所を経営しています。

2014年7月15日開業なので、8年目を迎えます。
法人化してからだと現在2期目です。

個人的な得意分野は自動車登録業務、建設・宅建・福祉等の各種許認可等ですが、グループ全体としては、スケールメリットを活かした相続や後見業務を強みとしています。

今回のフォーラムでは相続分野の担当ということで呼ばれておりますので、グループ全体で相続業務についてどういった取組みをしているかについて話せたらいいなと思っています。

特化業務を選んだ理由・転換した理由

元々はゼネラル事務所として、やらないと決めている業務以外のご依頼は幅広くお受けしていました。
ただ、どうしても後見や相続業務に関しては、個人の行政書士事務所では私自身が本当に納得できる商品の提供が出来ないと感じていました。

例えば遺言書の作成と共に遺言執行人のご依頼をされた時に、私がその依頼者よりも絶対に先に死んだりしないとは言い切れないわけです。
仮に私が不慮の事故で引継ぎも出来ずに死んだ場合、この依頼者はどうなってしまうのか。

法人で依頼を受けていれば、私が死んでも共同代表がしっかり後を引き継いで、他のスタッフと共に問題なくご依頼を遂行してくれます。

例えば相続財産がほぼ実家の土地と建物だけだった場合、このご依頼を受けても行政書士に出来ることは、依頼者と司法書士さんや税理士さんを繋いだり、業際の隙間を埋めるアテンド業務が中心となります。

当然相談者のために最高のアテンドが出来るよう努めますが、では一体どういう名目でいくらの報酬をもらえば良いのでしょうか?
紹介料ですか?ディレクション料でしょうか?

いずれにしてもよほどの関係性でもない限り、身内がお亡くなりになって困っている相談者様からそんなよくわからない名目で料金をとれるわけがないですよね。

となると無償で対応するためには自分は間に入らずに、その依頼者にとってベストだと思われる司法書士さんや税理士さんを直接お客様に繋ぐだけというところに結果的に落ち着きます。

でもグループ法人であれば、行政書士法人としては数字が上がらなくても司法書士法人へのご依頼になるのであれば、ひいてはつむぎグループ全体のイメージアップに繋がりますのでベストのアテンドを提供できます。

現在はグループ全体で納得のいく商品の提供ができるようになったので、相続や後見業務に力をいれられるようになりました。

コロナによる影響(減った仕事増えた仕事)と見通し

ブローカー系の建設業者様は現場が止まったことでお金が回らなくなり、廃業されたりして数が減ったという印象がありますが、大手の建設業者様やキャッシュをしっかり持っていた事業者様はむしろ元気になっていた印象です。

相続に関しては、自分もいつ何があるかわからないというのを考えるきっかけになっていることは間違いないようで、どのように準備をしていけば良いのか?というご相談やご依頼を多く承っています。
今後もますます相続や後見のニーズは高まると私は見込んでいます。

1人法人のメリットデメリット

法人格を持っているというだけで、インボイス制度の影響を考えるとメリットにはなりえるのかなぁと思います。
ただこの論点だと、行政書士法人や1人法人である必要はないですね。

私は1人法人という選択肢は全く無かったので、1人法人を設立することのメリットを聞かれると内輪モメの可能性がないとか、何があっても自己責任の範囲だとかそういうことぐらいしか思い浮かびません。

デメリットで一番わかりやすいのは、経費が大きくなることでしょうか。
会費の2重払い、社会保険の加入、人件費の増加などが主な原因です。
わざわざ1人法人をこれから設立するのであれば見せ方にこだわるはずなので、それなりの事務所を法人で契約すると保証金も家賃も上がります。

個人事業主と違ってなんでもかんでも経費に突っ込んだりも出来ないので
それなりの売上げがなければ個人事業主の時よりも自由に使えるお金の幅は減るのではないでしょうか。

法人化して良かったこと

自分の納得できる商品が提供できるようになったこと。

志をもって資格をとった方や、これから資格取得を目指している人が、普通に働ける場を作り、提供していけること。

私に何かがあっても依頼者様にご迷惑をかけなくてすむこと。

判断に迷った時に、相談したり一緒に考えてくれる仲間がいること。

書士会の研修などに参加していたか、会務で商機は生まれるか

書士会の研修は同期に誘われて開業初年度に1つだけ参加したことがあります。
その時の内容がイマイチだったので、それ以降研修には参加していません。
オリエンテーション的な行事は1度も参加したことはないです。

当時の私は行政書士は横のつながりが大切だということが分かっていなかったので、行政書士よりも1人でも多くの事業主様と出会う事を優先していました。

所属する会によっては意味のある研修をしている会もありますし、同じエリアで素敵な先輩と出会えるチャンスにもなると今は思うので、目的を持って参加すれば商機になるかどうかは別として、得られるものは必ずあるのではないかと私は考えています。

(とはいえ、今はまだ目の前の仕事と組織作りでいっぱいいっぱいなので、私が会務に参加するのはまだまだ先になりそうです・・・)

HP・チラシポスティング以外の営業方法と割合

弊社の現状で言えば、紹介とリピートで7割を超えています。
既存顧客や他士業・同業、グループ法人や各種友人知人からの紹介です。
残りの3割はブログかTwitter経由のご依頼とJC関係者のご依頼です。

開業時はとにかく事業主さんと出会えるような場に参加しまくったり、なんでもいいから社長の知り合いを紹介してくれって言って細い糸を辿って会いに行きました。
その時の行動が積み重なって歯車となり、今のご紹介率に繋がっています。

web集客の成功談か失敗談、web集客にかかるコスト

私は名刺の延長でブログを持っているだけでwebで集客行為をしていないので成功談として話せることは特にありません。

集客できるwebサイトを作るには、知識とテクニックと最新情報の集合知が必要だと思うので、記事を書くのは自分で頑張って、運用に関してはプロに任せるのが良いと思います。

web集客に力をいれていないうちのブログでも問い合わせが来るのは、不定期ではありますが、webコンサルを受けていることも大きいと思います。

開業準備、何をしたらいい?

理念とやらないことを決めておくこと。
独立開業ということはどこかで修行をされている方なのだと思うので、まず必要なのは勤め人から経営者への意識改革だと思います。

判断することが経営者の一番の仕事になるので、判断基準を間違わないために、どういう理念で自分の事務所を運営するのか、どういうことはしないのか、ここを最初に固めておくとトラブルに巻き込まれる危険性は下がると思います。

やらなければならないことや自分がやりたいことは事前に決める人が多いのですが、やらないことに対して目を向ける人は少ないので、ぜひ一度考えてもらったらいいと思います。

ひたすら事業主さんに会う事。
専門とする業種を決めているのであれば、その業種の社長さんにたくさん話を聞いて、業界の方がどんなことを考えているのか、何に困っているのかを知ることはとても役に立ちます。

専門を決めていないのであれば、行政書士として自分はどんな業界の方に対してどんな商品を提供できるのかを、お話を伺う中で考えて探していく。
開業前であればセールス臭も薄れるので、経営者の先輩として胸を借りると思えばとてもアポを取りやすいです。

私は未だに初めての営業許可のご相談がきたとき等は、その事業を行なっている経営者の知り合いがいればまずその業界のことについてお話を聞きに行ったりしています。

異業種からの参入で、会社経験で役に立ったこと

私は行政書士開業する前はずっと新規営業の仕事をしていたのですが、
営業経験はかなり役に立っています。
当時は部下も持たせてもらっていたので、マネジメントや採用・人事、
研修や業務のフローの組み立てをしていた経験も少しは役に立っています。

会社経験というくくりで言えば、そもそも会社という組織を知っていることは、行政書士にとっては大きなアドバンテージです。
顧客対象のほとんどが法人経営者である行政書士にとって、そもそも会社組織を知らないと、経営者様と対等な話は出来ませんし、悩みの共有もできません。

私の個人的な好みでは、士業事務所でしか務めた事が無い人よりは一般企業勤務経験者を優先的に採用したいと思っています。

おススメの書籍

新人さんや開業準備中の方がまず最初に読むべき本としては『駆け出し行政書士さんのための実務の手引き許認可業務編』だと思います。

相続業務をやりたい人のための本で言うと、『身近な人が亡くなった後の手続きのすべて』がおすすめです。
実際の申請書の画像等もあり、視覚的にも非常にわかりやすいです。

行政書士では扱えない業務についてもたくさん書いてありますが、だからこそ相続業務をしたい方には読んでいただきたいなと思います。
どういった他士業の人と、どのように連携をとることが三方良しに繋がるのか、そこを意識しながら読むと相談者様の目線に立った視点が広がると思います。

コロナ禍の人脈構築、オンラインの流れは継続するか

オンラインの流れは基本路線として継続するのではないでしょうか。
逆に言えば、わざわざオフで会う必要があるのかどうか?ということに、みんな気が付いてしまったので、わざわざオフで会う価値があるものだけ、オフラインで会うという流れが既に構築されているような気がします。

つまり、相手にとってどうでもいいようなアプローチではオフラインでは会ってもらえない可能性が今までよりも格段に上がると見ています。

「その内容ならZOOMでもいいですよね?資料はデータで送ってもらえれば大丈夫です」という断り文句が通りやすいので、私も実際にこのワードを多用しています。

本当に会いたい人にだけお会いする、お会いする価値のある人やメリットのある人にだけお会いするという流れは止められないはずなので、営業する人間はそこに対して新たな工夫が必要になるのではないでしょうか。

おすすめSNS、出会いや活用法のエピソード

おすすめで言えば私は断然Twitterとnoteです。
Twitterでは共同代表にも出会いましたし、お仕事をお願いしている他士業さんや同業者、うちの仕事を手伝ってもらっている若手との出会いもありました。

補助者ちゃんも元々はTwitter経由で弊社に入社してくださっています。
Twitterで私を知って、ご依頼を決めてくださったという依頼者様も多数いらっしゃり、Twitterは本来だったら出会うはずもない多種多様な人と出会えるので、うまく付き合えば本当に良いツールだと思っています。

noteは経営や営業のことを中心に書いているのですが、そこで不定期に、大御所事務所潜入レポート的なものを書いています。
尊敬する先生やお話を聞いてみたい先生とお会い出来た時に、勉強させていただいたことや賜った金言を中心に、先生の許可を得て記録として残しています。

それを面白がってくださる先生もいらっしゃるので、noteに書きたいです!
と言ってアポをとるということも可能になっています。
目的の無い『会いたい』は相手の迷惑になるので、明確な目的を掲げるのに、noteを活用するというのは1つの手段になりえると思います。

勉強会グループを探すコツ

どんな会に参加しても、ただの無駄金にするか有意義にするかは全て自分次第ではないでしょうか。
我以外皆我が師なりの精神があれば、どこに参加しても成長出来ると思います。

とっかかりとしては自分が学びたいことをやっている会か、自分がお近づきになりたいと思っている人が主催もしくは参加している会にまずは入って見るというのがいいのではないでしょうか。

入って見て合わなければやめればいいだけなので、何も行動しないよりはあちこちに顔を出してみればよいのではないかと思います。

行政手続きのデジタル化について望むこと、予想される変化

デジタル化が推進される事は大賛成です。
当面はなんでもスムースにオンラインで、という風にはならないでしょうが、私がおばあちゃんになる頃には色んな申請が家からパソコンで出来たら嬉しいし、色んな書類が家にいて手に入る世の中になって欲しいです。

むしろ書類レスになって欲しい!そこまではまだムリでしょうけど・・・。
それにより純然たる手続き屋としての行政書士のニーズは減るかもしれませんが、一般市民にとっては絶対にその方がいいことですし、行政書士業務は行政手続きの申請代行だけに留まらない柔軟さがありますので、困りません。

相続業務においては特に、様々な手続きが絡まり合っているので、オンラインで全て対応できる世の中がきたとしても、初めて相続を体験する方がそれらを体系的に理解し、全ての期日を把握し、問題なく手続きができるか?と言われると難しいと思います。

もしかするとその時には手続き代行ではなく、一連の手続きについてディレクションして欲しいという相談業務のニーズに変わるかもしれませんね。

電子申請、押印廃止、郵送対応はどれぐらい進んでいるか?

相続業務においては電子申請も押印廃止も全く進んでいません。実印必須文化です。
郵送対応は一気に進んで、手続きのほとんどは郵送で完結は出来ます。
できるのですが、結局窓口申請した方が早いので窓口へ行きます。

死後事務の中で郵送手続きが不可なのは、思いつく限りでは携帯の解約ぐらいじゃないでしょうか。
(SIMカードは郵送不可、お近くの店舗まで持って来てと言われるのです)

行政書士のリモートワークは進んでいるか?

案件状況にもよりますが、私はわりとリモートワークしています。
子供が幼稚園と保育園なので、緊急事態宣言が出たり、コロナ感染者が出ると、どうしても家で子供を見なくてはならないので自然にそうなりました。

私が出社していなくても共同代表や、司法書士代表が事務所にいるので、
従業員さんがサボれるような環境ではなく、みんながサポートしてくれています。

同じようにお子様がいる従業員さんも、状況に応じてリモートにしています。
従業員さんの場合は自宅から事務所のパソコンに遠隔で入ってもらって作業をしてもらっています。

行政書士になって良かったと思うエピソード、印象に残る案件

最初は不安そうにご相談に来られた方が、手続きを進める中でだんだんと
雲が晴れていき、完了時には笑顔でありがとうございましたと言ってもらえた時この瞬間は本当に嬉しくて、行政書士になって良かったなと思います。

相続業務は身内が亡くなってそれでなくても辛い精神状態の時に、早くあれしろ次はこれをしろと手続きの期限が迫ってきます。

気持ちも落ち着かない中で慣れない手続きに困り果てている相談者様に、少しでも落ち着いて死を受け止める時間を作ってもらったり、その後の生活で困ることがないように万全な手続きをコーディネートすることが、行政書士の役割だと思っています。

相続業務に関しては、例え良い内容であっても個別案件についてはエピソードを話すべきではないと私は考えているので、相続業務におけるエピソードトークは話せません。

許認可だと、初めてNPO法人の設立認証と福祉関係の新規許可をまとめて
ご依頼頂いた時のことは未だに強く印象に残っています。

金額も大きいし期間も長くて、仮に失敗してスケジュールに狂いが出たら多額の損害が出てしまうことが確定しているのに、初めてだという私を信頼して任せてくださったことがたまらなく嬉しかったです。

この依頼者様はずっと継続して私にあらゆる手続きやコーディネートをお任せしてくださっており、ご自身が亡くなられた際の死後事務委任もしてくださっていて、良いお付き合いが継続しています。

フォーラムではお題に無かったので話さなかった相続業務について

相続業務というとほとんどの方が遺言書を確認し、遺産分割協議書を作成し、協議に従って財産を分配するという財産に関する手続きに目が行きがちです。

ですが、実際の死後に必要な事務というのは口座を解約して遺産を分割し、司法書士さんに家や土地の名義を変更してもらい、税理士さんに相続税の計算をしてもらうことだけではありません。

公共料金の契約名義人にはじまり、クレジットカードや携帯や車、ゴルフ会員権など各種契約名義人となっているものすべてに手続きが必要です。
車検証の申請以外のこれらの手続きは別に行政書士業務ではありません。

でも、ご家族がいつか行なわなくてはならない手続きです。
こういったことまで含めて必要な手続きを全てしっかりディレクションし、『残されたご家族がその後の生活を問題なく安心して送れるように、どんなお手伝いが出来るか?』ということにもしっかり目を向けて欲しいなと思っています。

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