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EPCOT:Horizons 永遠にたどり着けない場所

※この投稿には事実に基づくよりも、連想や妄想、イマジネーション先行の記述が多く見られますので、厳格なディズニーファンの方は流し読みしてください。

友人が、海外のディズニーパークのグッズを買うと連絡してきた。
なんと、私の誕生日プレゼントも一緒に購入してくれるとのことで、ついでだから、送料を折半して、私の欲しいものも一緒に注文してもらうことにした。
いろいろあったが、これを見つけて、即追加してもらった。

Eric Tan氏の描いた「Horizons」のプリント。

これはウォルトディズニーワールドのエプコットというテーマパークに、かつて存在したアトラクションのイメージワークである。

1983年から1999年までオープンしていたアトラクションで、私が初めてエプコットに行ったのは2000年代に入ってからのことだから、このアトラクションは見たことすらない。

Horizonsは、屋内型のアトラクションで、プリントの右手前に描かれているライドに乗って、未来の生活を垣間見るという内容だ。
私は乗ったことがないので、以下、wikiの日本語訳を引用する。

「明日を振り返る」というタイトルのセクションで始まり、ジュール・ヴェルヌとアルベール・ロビダの時代から1950年代にかけて認識された未来のビジョンを紹介しました。その後、乗り物は2つの巨大なOMNIMAXスクリーン(乗り物が構築された時点での画期的なテクノロジー)を通過し、明日の世界を構築するために使用できる最新のテクノロジーとアイデアを示しました。その後、乗り物の主要部分が登場しました。都市、砂漠、海底、さらには宇宙での未来的な生活のビジョンです。

Horizons (Epcot) From Wikipedia, the free encyclopedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Horizons_(Epcot)

実際のアトラクション内部の映像は暗くて見づらい。
イメージ映像的なものがある。
世界観を知るには、これで十分だろう。

私はこの雰囲気が好きで、この動画のサムネイル画像……
このアトラクションができた当初に飾られていた、ロバート・マッコールによる壁画『The Prologue and the Promise』をPCの壁紙にしている。
伝わる人にはこのヤバさが伝わると思う。
左手に見えるのはピラミッド、ギリシアの神殿など。
右手が未来都市だ。
進化を表している。
中心にいるのがアメリカの典型的な家族。
この家族像、とにかく20世紀のディズニー、特にテーマパークでは、頻出である。ペットは絶対犬。

先ほどのEric Tan氏のプリントも見事なレトロフューチャーぶりをスタイリッシュに描いているので買おうと思ったのだが……そもそも、乗ったこともないアトラクションのことがなぜこんなに好きなのか。

私がHorizonsを知ったのは、パークのサントラからである。
当時はまだCD全盛期で、ディズニーが好きな友人から貸してもらって聞いたのだった。

ウォルト・ディズニーが最後に手がけた未完のプロジェクトであるエプコットに対する並々ならぬ興味があった私は、そのサントラを何度も聴き込んだ。
Horizonsのテーマソング『New Horizons』は、オープニングの"If we can dream it… Yes, we can…" のコーラスは忘れがたいものがあるものの、なんだか切実なまでに明るくて、ノスタルジー漂う曲だなという印象しかなかった。
基本的に昔のエプコットのアトラクションのサントラなんてみんなそうだから、特に取り立てて注意を払うこともなく聞き流していた。
(ちなみに、当時聴き入っていたのは『Golden Dreams』という曲で、この曲はその後大学の卒論にまで影響を与える)

エプコットが開園した時の謳い文句は "Welcome to the 21st Century." という「未来志向」だったが、その未来観もすでに古めかしいものになっていた。

それから数年経って、私はエプコットに行った。
期待以上に人工的な場所で、「世界の果てはどこか」と聞かれたら「エプコットだ」と答えるまでになってしまった。
自分の存在が消え、肉体が滅び、人類の希望が残る場所。
私にとってのエプコットはそんな場所だ。

ウォルトが子ども時代の幸福の永遠を願って作ったのがディズニーランドで、彼は次に人類の幸福の永遠を願ってエプコットを作ろうとした。
特に、やっぱり、アメリカ人の。

ウォルトが作ろうとしたのは実験的未来都市(Experimental Prototype Community of Tomorrow)という、実際に人々が生活するための、一つの共同体であり、今のテーマパークとしてのエプコットではない。だが、それでもその魂というか、望みのベースみたいなものは、変わっていない。

「人はイマジネーションとコミュニケーションとテクノロジーによって幸せになろうとしてきたし、きっと幸せになる」

この世のあらゆる凄惨な現実を無視して、いや、凄惨な現実があるからこそ、あの場所では「(アメリカ人が考える)人類の幸福」のイメージを提供している。

私はエプコットのことを思うと、ここが「テーマパーク」として、つまり「非日常」として機能する限り、人々に物質的精神的幸せは訪れないのか、とか、本当にこれが人々にとっての幸せなのだろうか?みたいな、人類補完計画を目の前にした冬月教授の立場を疑似体験しているような気持ちになる。

死ぬ時は、エプコットでLCLに還りたいものだ。

エプコットは超広いし、何より、フロリダにあるのでなかなか行けない。
現在は、素敵なことにYouTubeがあるから、映像やサントラを流して気分だけでも、と思っていた。
そこに再び現れたのがHorizonsだ。

前述の通り、テーマソングは知っていたが、アトラクションの中で流れる曲はYouTubeで初めて聴いた。

上記は未来の都市での生活の場面で流れる曲。
サムネイル通りの場面が展開される。

そして、下記はwikiに書かれていた「宇宙での未来的な生活のビジョン」で流れる曲。
このシーンでは、前述のアメリカの理想的な家族が宇宙空間で過ごしており、少年やペットの犬が無重力で浮かんでいる。
宇宙で暮らしても、アメリカの理想的な家族像は決して変わらない。

なんだろう、この感じ。
壮大すぎる。
未来過ぎる。
しかし、現在がこの曲が作られた当時の未来だから、存在しない未来だ。

もちろん実際にアトラクションに乗っているとしたら、どのシーンもライドが動いて通り過ぎてしまうので、曲が聞こえるのはおそらく1分にも満たないだろう。

だがこれをYouTubeで4時間も聴いていると、なんだか頭がおかしくなってしまいそうになる。
まして、エプコットが、Horizonsが「未来への全幅の信頼」を表現していると知っていれば、尚更だ。

次は宇宙にいながらにして遠くにいるみんなとお誕生日を祝うシーン。
映像はともかく、曲を聴いて欲しい。

誕生日会に家族や友人たちとケーキをかこむ。
人との繋がりがあって、満ち足りていて、何一つ欠けることがないのに、どこか悲しい。
結局、私たちはこの境地にたどり着けないんじゃないか。
たどり着いたところで、それは本当に幸せなのだろうか。

とこんな具合に、曲から入って、アトラクション内部や、設定などを知っていくにつれ、Horizonsの虜になっていったのだった。

そもそも、アトラクションの内部の曲は、録音したものだとしたら、きれいにリマスタリングして、4時間のループにして、YouTubeにアップした熱狂的なファンがいるという点も、カルト的な人気を物語っている。

上のリンクを貼ったJ.P.L STUDIOSというアカウントは、Horizon全体のサントラもアップしてくれているし、未来的なアトラクションのサントラを大量にアップしてくれている。(ヘッダーがエプコットの時点でお察し)
こういう人たちのおかげで、クローズしたアトラクションを今でも追体験できるのだ。感謝しかない。

実際に乗った動画。。。
21世紀を迎えることができなかったアトラクションなので、画像が荒いのは仕方がない。(昔のパークを知るのに、ホームビデオのありがたさたるや!)

このアトラクションは最後に、未来の都市・砂漠・海底の3つの行き先が選べるのだが、その3つ全てが収録されている。
今見ると、泣けてくるくらい楽観的な未来像である。

↓アトラクションの成り立ちから仕組みまで分かる、気合の入ったファンメイドのムービー。
こういうのを入門とし、海外パークの歴史を学習をする。

↓ゼネラル・エレクトリックがスポンサーをしていた初期の映像。

GEのロゴが美しい。
ちょうどGEのロゴに差し掛かる時のナレーションを聞いて欲しい。
このアトラクションの通路には、プリントの右上にもあるこの言葉が記されている。
テーマ曲のコーラスにも使われていた、あの言葉だ。

"If we can dream it, we can do it."

私の好きな言葉です。

If We Can Dream It...

この言葉については、このnoteの一番最初の投稿に覚書として記した。

本件、追跡調査があったらしい。



ウォルトの最後の夢、エプコット。
きっとエプコットが本来の姿で実現した世界を、Horizonsは見せてくれているんだろう。

もう乗ることのできないアトラクション。
幸福でノスタルジックな未来。
それは永遠にたどり着けない世界。

そういうものを憶う時、今現在が、とても希薄に感じられる。
もしかして、どこか別の可能性で、私たちはエプコットが実現した世界にいられたのかもしれない。
だが実際は違う。
あり得ない分かっていても、夢見てしまう。
そんな幸福、存在しないのに。
まるで全てが、とても哀しい。

余談だが、「Horizons」のプリントは私が追加を依頼する前から、誕生日プレゼントとして、友人が選んでくれていたものだったらしい。
友人に「Horizons」の話をしたこともなかったし、当人も「Horizons」に乗った記憶はほぼないはずだから、なぜ選んでくれたのか謎だったが、「こんなん好きに決まってるでしょ、分かるよそれくらい」と言われた。

伝わるって、本当に、嬉しいな。
もったいなくて、まだどこに飾るか決められていない……。


ちなみにヘッダー画像は私物のヴィンテージEpcot Center Tシャツ。
超COOLだよね〜!


追記
そういえばディズニーブログを持っていたことを思い出しました!

本記事も、もう少し手直ししてこっちのブログに載せようと思います。
よろしくね。

あなたの感じたことって何物にも代えがたいよね、ってことを一人ひとりに伝えたい。感情をおろそかにしたくない。って気持ちでnote書いてます。感性ひろげよう。