梵真平

初めまして。梵真平です。時々短編小説や詩、あるいは詞など掲載したく思います。よろしくお…

梵真平

初めまして。梵真平です。時々短編小説や詩、あるいは詞など掲載したく思います。よろしくお願いします。

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染井の名水

            この四月一日付の単身赴任で京都勤務、他人が聞けば羨ましいような環境かもしれない。しかし五十路も越えて京都営業所長と言えば聞こえは良いが今更単身赴任とはうちの会社もきつい人事をやってのける。製薬業界では上位、東証一部上場企業で管理職には到達したが失ったものも数知れない。あまた乗り越え息子は中小とは言え優良企業の会社員となってくれた。娘も調理師学校に入って自分の道を歩み始めている。妻は保育士として職場復帰して、人手不足の中重宝されているようで京都に付いて来

    • 哲学の道

      「吉村君!例の同窓会の件だけど、どこまで進んでる?」 武田先生からの携帯電話だ。そもそもの発端はこうだ。私が京都の某小学校五~六年生の時の担任、武田正幸先生は当時二十四~五歳の熱くて優しい青年教師だった。我々も還暦を迎えようとしている訳だから先生も七十歳代半ばになっておられるはずだ。一年程前に電話があり 「同窓会を計画して貰えないか?」 と言われた。私が連絡を取れる同窓生は限られていて ――果たして自分に出来るのだろうか? とは思ったけれど、久しぶりに会ってみたいお

      • 走る化粧室

         平成中期、まだスマホではなくガラケー全盛の時代、列車内は「携帯を触る親指姫、深夜に帰宅のシンデレラ姫、化粧鏡を見つめる白雪姫(の継母)といったお姫様で一杯」などと揶揄されていた頃のお話…  その日は朝から憂鬱だったのだ。折角四方八方奔走して企画したプロジェクトが重役の鶴の一声で没! ――頭を下げて頼んで回った人達に今度は謝りに回るのか… 暗い気持ちになっても出勤しない訳には行かず上着を抱えたまま阪急高槻市駅からいつもの通勤特急に飛び乗った。  旨い具合に、駆け込んだドアの

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          梵真平と申します。趣味で時々短編小説やエッセイ、詩など書いてます。良かったら読んでみてくださいね。

        染井の名水