見出し画像

【通勤電車の詩@帰り道】解体される思い出

大学生の頃はビルの床磨きと窓ガラス拭きのバイトに明け暮れていた。
時間があればバイトをしていた。
働かなければ学費が払えない、プシッシャーがあの頃のぼくの原動力だった。

通勤電車の窓から見る景色の中に、あの頃窓と床を磨いていたビルが見える。
そんなビル、気にもしていなかった。
何百回と見てれば、通り過ぎる景色の一部に溶け込んでいた。
ある朝、そのビルが解体されていることに気付いた。

思い出のビル、そんなこと一度でも思ったことはない。
なのにその光景を見て、動いている電車が一瞬止まったように思えた。
汗だくになって床を磨いていたことを急に思い出した。
なんて言うか、青春の1ページを剥ぎ取られたような気持ちになった。

あのビル、写真に撮っておけばよかったなぁ。


通勤電車に揺られながらふと思ったこと・・・。

「通勤電車の詩」を読んでいただきありがとうございます。 サラリーマンの作家活動を応援していただけたらうれしいです。夢に一歩でも近づけるように頑張りたいです。よろしくお願いします。