見出し画像

【ありふれた日常から】井の中の蛙、人を批判する

我が家の家族は、焼き魚をうまく食べられない。
少し小さ目の魚だと、お箸で骨から身を引き剥がすには、かなりのスキルが必要だ。

彼らは悪戦苦闘するが、諦めて、身が付いたまま骨を皿の隅に追いやってしまう。
まだ食べられる身があるのに、実にもったいない。

ぼくは母が漁村育ちで、子供の頃から魚を食べることが多かったので、それほど抵抗がない。
むしろ上手い方だと思っていた。

だから偉そうに家族のみんなを、"もったいない、そんな食べ方をしているとバチに当たるぞ"と非難していた。

会社の同僚に海辺で育って、漁もしていた人がいた。
ある日の飲み会で、その同僚が焼き魚を注文して食べていた。

その様子を見てぼくは驚愕した。
身を完璧に剥がして、骨だけにしていた。
それも割り箸で。
そのスキルはぼくの比じゃなかった。

まさしく井の中の蛙ってやつだ。
偉そうに家族を非難していた自分が恥ずかしい。

「通勤電車の詩」を読んでいただきありがとうございます。 サラリーマンの作家活動を応援していただけたらうれしいです。夢に一歩でも近づけるように頑張りたいです。よろしくお願いします。