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《ショートショート集》

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傑作間違いなしのショートショート集です。たまに傑作以外も混じっています。探してみてください。
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#短編小説

【ショートショート】「冷蔵庫から見る世界」(5,624字)

 冷蔵庫は冷却機についた霜を取り除くとき、コンプレッサーがブーンという音を出します。  …

社川 荘太郎
11か月前
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【短編小説】「『おはよう』を届けるアプリ」(8,376字)

「おはよう!」  明るくはつらつとした声で私は目を覚ました。  部屋には誰もいない。私は…

14

【ショートショート】「非日常を往け!」(2,008 字)

 旅とは日常を離れることである。  ハレとケとはよく言ったもので、日常というのは仕事やワ…

11

【短編小説】「人間の檻」(8,121字)

 広い空間だった。  俺が通った小学校の体育館よりも二回りほど大きいだろう。どこかの研究…

10

【ショートショート】「静寂と喧騒の中で」(7,160字)

 やかましい。  なんとかならんのだろうか。  田中一は怒っていた。  齢四十を迎え、新築…

5

【ショートショート】「ぎゅうぎゅう地獄」(3,969字)

 地獄に落とされてしまった。何も悪いことをしていないのに。  閻魔大王にそのように抗議し…

3

【ショートショート】「海老尾駅忘れ物センターの日常と衝撃」(5,657字)

 はい、こちら海老尾駅忘れ物センターです。  はい、はい。  定期券の忘れ物ですか? そういえば、昼前に一件、そんな忘れ物が届けられていたような……。  あ、ありましたよ。名前が書かれてますね。えーと、あなた、田中一郎さんでいらっしゃいますか?  では、こちらでお預かりしていますので、お時間のあるときに取りに来てください。  そのときに、ご本人さんを確認する書類を忘れずに持ってきてください。あ、健康保険証で大丈夫ですよ。  気を付けて来られてくださいね。  それでは、失礼しま

【ショートショート】「語られなかった十二支のおはなし」(4,708字)

「大変なことになりました」 「どうしたんだ」 「神様がまた面倒なことを……」 「俺はなに…

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【ショートショート】「鬼を呼ぶ。」(3,997字)

「これだけ言っても止めないんなら、鬼に来てもらうからね!」  女性はヒステリックに言うが…

9

【ショートショート】「宇宙人襲来!!」(3,469字)

 ある晴れた日のことだった。  愛知県名古屋市の某所に一艦の宇宙船が着陸した。  はるか…

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【ショートショート】「みちあんないするカーナビ」(5,269字)

「面白いカーナビ買ったからドライブ行こうぜ」  大学の同級生である紅葉谷の誘いを受け、俺…

8

【ショートショート】「世間的に正しいお父さんロボット」(3,905字)

「ついに完成したぞ、助手よ」 「やりましたね、博士」 「私はこの発明に人生を捧げてきたと…

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【ショートショート】「彼岸に帰るのにうってつけのスピードで」(5,894字)

 彼岸を出発して例年そこそこの長旅になるところが今年はあっという間に此岸に着いた。今年は…

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【ショートショート】「ともだち条例」(5,282字)

 加賀谷町に“加賀谷町ともだち条例”が制定されたのは二〇二一年の年末のことだった。 “加賀谷町ともだち条例”とは、加賀谷町の学校に通う子どもたち全員が友達になるために、加賀谷町が独自に決まりごとを定めた条例だった。  例えば子どもたちが守るべき事項が定められた条例の第4条では、次のような調子で二十二の項が定められていた。 <加賀谷町ともだち条例> (子どもたちの責務) 第4条 加賀谷町の子どもたち(加賀谷町の小学校又は中学校において義務教育を受けるもの。以下、同じ。)は、お