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オスグッドを中心とした育成期の下肢の痛みの予防とパフォーマンスアップ

先日地域のサッカークラブでのセミナーの内容です.
サッカークラブ向けなのでサッカーに主眼を置いていますが,オスグッドを始め下肢の痛みはバスケットやバレーなど他の競技にも通じる事です.
講師料金を頂いた内容ですので,本記事については有料となります.


ですが,オスグッドで変形がひどかったり,6か月以上悩んでいる人が身近にいたりする方や,オスグッド以外での脚の痛みがある人,もっとパフォーマンスを上げたいと思う育成期の選手に関わっている人には有用な内容です.
また,オスグッドに対して柔軟性の低下が因子でストレッチが最重要と考えている人にも身体について考え直す良い機会かと思います.

オスグッドとは何か?

オスグッドとは,成長期に生じる膝の前方の痛みです.
脛骨粗面という部分が太ももの筋肉によって引っ張られる事が原因です.

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次にオスグッドの原因を考えてみます.
様々な報告がありますが,
・成長期(身長や大腿骨の伸びる時期)と関係あり
・大腿四頭筋の柔軟性と関係あり
・活発な運動が多いと発症しやすい
とされています.

ではオスグッドの頻度はどのくらいでしょうか?
・小学4年~6年生:10~20%
・小学5年生~中学3年生のサッカー部:約10%
・海外のエリートサッカー選手 13~14歳:13% 14~16歳:0%
など色々な研究がありますが,おおよそ,
『成長期の10~20%程度の率に発症する』と考えて大丈夫なようです.

原因と照らし合わせて注目したいのは,
①サッカー選手だけに特に多い訳ではない
②柔軟性との関係性は本当か?
という事です.
まず①ですが,サッカーでも他のスポーツでも発症率はほぼ変わらないという事です.
これは’サッカーで多い’と考えられがちな【グロインペイン】でも同じですが,’ボールを蹴る’と言うサッカー特有の動きが原因ではないという事です.そのため,ボールの蹴り方を変えると言うアプローチは根本的な解決にはなりません.
これはとても大事な事で,
『オスグッドに対する力学的な因子はボールを蹴る動作が主要因ではなく,走る,止まる,ジャンプ,着地などの動作による物理的不可が要因』と考えられます.

次の②です.
柔軟性と相関があるというペーパーもありますが,上に挙げたように14~16歳のサッカー選手でのオスグッド発症率が低下している事を考えてみると,単純に柔軟性が低下している事が発症要因ではないでしょう.
14~16歳になったからといって柔軟性の問題が解決されているとは考えにくいからです.

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骨は能動的に伸びますが、筋肉は受動的に伸びますので、骨の成長が早ければ早いほど筋肉による柔軟性は低下します。
成長期に発症する事と柔軟性の低下はほぼ同義と考えられます。
もちろん成長期+柔軟性の低下が影響している事もあるでしょうが,‘柔軟性の改善したら間違いなくオスグッドが寛解する’という事ではないでしょう。

整理すると、オスグッドに至る【物理的な負荷】は、ある種のスポーツ特有の動きを修正するのではなく、スポーツにおける基本的な‘走る’や‘跳ぶ’などの基本的な【動き方】を修正して、当該部位への物理的負荷を減らす必要があるという事です。
ここで‘障害予防とパフォーマンスの両立’という話になりますが、一箇所の関節へのストレスを減らすという事は、出力を制限するわけではありません.
同じパフォーマンスの動作をしても働かせる関節を複数に出来れば一箇所にかかる負荷は減る事になります。
複数の関節を使って出力をすると言う事は疲労の軽減や最大出力が増大する可能性がありパフォーマンスへとつながるのです.

負荷を軽減してパフォーマンスを上げる具体的な身体の使い方

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