病院食を美味しく食べる方法

人間は環境に順応できるのだ

切迫流産で入院して日が経って、始めのうちこそ「逃げ出したい!」と思っていた病院生活にも慣れてきました。

隣のイビキがうるさい方は退院され、他の方も明日明後日の退院の準備をされていたりして、私はこの部屋の、主になろうとしています。


お世話をしてくださる助産師さん達にも「目キラキラ」など、大体の心の呼び名をつけ終わりました。

声がちょっと大きく明るい性格で、患者にもフレンドリーで、「あらー、この位置違うじゃない、ねえ?」「あらあら、チェックしにきてないんですね、ごめんなさいね」と、

言葉の端々にさりげなく「若い子がミスしちゃって。私だったらちゃんとできてたのに」感を滲ませる40代の助産師さんの心の呼び名は、「多分独身」です。


今日は連休明けで、朝から廊下の外が騒がしいなと思っていましたら、新人の医師や助産師さん達の現場研修が始まったからのようでした。

午前中に、手術した箇所の洗浄と消毒をしてもらうのが私の日課なのですが、内診台に乗り足を広げると、カーテンを隔てた向こうで、先輩医師(男性)から新人医師(若い美女)へ「超音波入れて…」と指導が始まっているのがわかります。

「あぁ。私の下半身が、未来の優秀な医師を育てるための踏み台になっている。もしかしたら私の下半身を使ったこの研修中に、医師の二人に愛が芽生えたりするかもしれない。いろいろ役に立てて光栄だな」と思いながら、

「でも若干長い…。この子ちゃんと消毒できてる…?この男性医師、若くて可愛い後輩を怒れなくて大目に見たりしてない…?大丈夫…?」

と心配になったりもしながら、内診台の上で天井の模様を数えたり、表情筋を鍛える小顔体操をしたりして時が経つのを待ちました。

平和です。


もっと美味しく食べるには

初めは「こんなまずい豚の飯みたいなの食えっか!」とさえ思っていた病院食も、普通に食べられるようになってきました。

人間は順応するのですね。

けれどもやはり「めちゃくちゃ美味しい」と思えるまでには至りません。

一食に使われている塩分量の合計は2グラム。体に良くて健康的。でも体の健康と舌の喜びは反比例するものです。薬だと思って食べたら美味しいのかな。どうしたらもっと美味しく食べられるだろう。

と考えていたら、天才的な方法を思いついてしまったのでご紹介します。

そして私は五郎になった

『孤独のグルメ』という人気漫画があります。

主人公の井之頭五郎(いのがしら ごろう)が、仕事の合間に立ち寄った店で食事をする様を描いただけの漫画で、

ほんとに五郎がただひたすらに食事するだけなんですけれども、私はドラマ化されたのを何話か見ただけなんですけれども、とても美味しそうなのです。

画像1

画像2

画像3

画像4

私も五郎のようになって、病院食を楽しめばいいのではないかーー

早速試してみました。

今日のお昼の献立は、

画像5

です。

五郎のように自分の中でナレーションを入れながらいただいてみました。


よし、今日の献立は、と。

まずは野菜サラダ。もぐもぐ。うん、トマトがよく冷えてる。皮が硬いトマトだな、うん。

キュウリは少ししなびかけてるけど、レタスはシャキシャキだ。キューピーのサウザンアイランドドレッシングがいい味だしてる。いい感じだ。

スープはどれどれ。コンソメスープか。シンプルにクルトンだけ浮いてる。ズズゥゥ。うん。ほとんど味がしない。ぬるい白湯みたいだ。いい感じだ。

お。メインは鮭のバター焼き。これこれ、これですよ。皮までいっちゃおう。くーっ。薄い。優しい味付け。鮭をちょっとほぐして、白飯にのせて、と。ハフハフ。うん。うまい。これですよ。

デザートもあるのか。パイナップル。冷凍庫から出してきたのが溶け出してる感じだな。むしゃむしゃ。なんだこれは!中途半端に冷たくて柔らかい。うん。パインだ。


……ってナレーションつけながら食べたら、1.5割増しくらいで美味しく感じたので、これからもやっていこうと思います。

以上です。


















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?