ソラニン。

少々ネタバレを含むかも。

先程ソラニンの漫画版を読んだ。

ソラニンの曲を作ったアジカンことASIAN KUNG-FU GENERATIONが元々好きで、映画なり漫画なり、何かしらの媒体でソラニンを見たい見たいと思ってはや7年。別に引き伸ばしたのに何か特別な理由があるわけでもなく、実行に移そうとさえ思えばいつでも見れたのだが、気づいたら7年経っていた。そんななんてことの無い先延ばしの理由と見合うように、重い腰を上げて読んだのにも何か特筆する動機があったわけでもなく、書店でたまたま目について買い、家で積んであったので暇だから読んだ次第である。

正直有名な作品であるので、物語の起承転結は知っていた。なので別に読み始めは感情が激しく揺さぶられることも無いだろうと思っていた。そしてこの書き方からある程度予想がつくだろうが、見事に泣いてしまった。しかも号泣の類の。

主要キャラの感情の書き方が繊細で実際に読むことで感情移入したなどの理由もあるのだろうが、私が泣いてしまったのは恐らく自分のこれからの未来と重ねてしまったからである。

主人公は大学を卒業し就職し働いている。彼女には同棲している大学の軽音サークルで出会ったフリーターの彼氏がいて、夢を諦めて、ヒモのような生活をしている。けれども二人はそれなりに幸せに暮らしていた。そして「自分」が削られていく社会人生活が嫌になり主人公は仕事をやめた。

最初の方は仕事から開放され、自由を謳歌していたが、彼氏と顔を合わせる時間が今まで以上に多くなり、その分二人の間になんと言えない不穏が溜まっていった。やがて主人公は大学時代に楽しそうに音楽をやっていた彼氏の姿を思い出し、今でも大学のメンバーと定期的に演奏してるそんな彼に音楽の夢を改めて追いかける様に発破をかけた。

そこから色々あるが、とりあえずここまでで。というか主に私はここらへんで涙か止まらなくなった。

私は今大学一年生で軽音サークルに入っているので、途中からソラニンに出てくる主要人物が何処か自分(と同期達)の未来の姿に見えて、色々と不安が溢れてきた。

恐らく私は就活をし、大学卒業後に就職をして、予想が付く人生を歩んでいくのでしょう。追い求めたい夢もないので。そうして身も心も削られ、そこにいるのが自分である意味のない仕事をしていく、色褪せていく。

恐らく今は思う存分出来ている音楽をやれる機会もほとんどなくなっていく。どれだけ時間が無くなっていくのか分からないが、ソラニンの彼氏達のように卒業したあとも定期的に他人と演奏できる時間を作ることは難しくなっていくだろう。その事を考えるととても憂鬱になった。それはそれできっとそんな人生ならではの楽しみはある筈なのに。

それと今月末で一年目の授業が終わってしまう。「一年生」が終わるわけではないが、ひと区切りはつく。入学してから色々な出来事があったとはいえ、例え話とかではなく、今日まであっという間であった。そんな「人生の夏休み」とも言われる大学期間が一つ一つ浸る暇もなく、一方的、不可逆的に勢いの良い滝のように浴びせかけてきて流れていく。それなのに全てを掬う事が出来ず、手元に溜まったのに目をやらずに流れていったものを羨んでしまう。

果たして残り三年半、悔いを残さず終れるだろうか。これから社会へ繰り出し、揉まれてしまっても、大学で紡いだ縁はまだ続いているだろうか。人生という壮大な視線で見て、一瞬の邂逅で終わってしまっては寂しい。

そんなマイナスな考えが過ぎってしまう。

とりあえず今は滝の水を少しでも多く味わえるよう、この予想のつかない三年半の短くも濃い未来を楽しむ事に集中したい。

これから三年半、音楽に限らず思う存分皆と何かがしたい。そして出来うるなら何かを残したい。

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