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"諦めるな、全部やれ!"


忙しいとき、決まって思い出す恩師の言葉がある。


高校2年生の秋、
行きたい大学の学部が決まり、道のりの遠さに絶望したりして、
塾の先生には「もう受験生だから、土日は8時間勉強できるように生活を整えていこうね」と言われる時期のホームルームで。

「おまえら、やりたいこと全部やれよ。
受験勉強にかまけて、やりたいこと諦めて縮こまるなよ。
キャパシティは広げようと思わないと絶対に広がらないから。」


この人は鬼か、と思った。

部活の引退試合が見えてきて最後のスパートをかけたいところなのに、受験がちらついては、自分の能力の限界を感じているこの時期に。
県下に浪人率を誇るこの高校で、担任がすべきなのは"受験指導"ではないのか。

でも何だか腑に落ちるものがあって、どっちも頑張ることにした。文字通り、しにものぐるいだ。
始発に乗って朝練へ行き、授業後は日が沈むまでみっちり練習したあと図書館の閉館まで勉強した。



担任が"受験指導"をしなかったから、私は今ここにいて、
恩師の言葉を胸に、しにものぐるいで人生を楽しんでいる。

「どっちもやれ!」なんて簡単に言うことはできないけれど、
どっちもやるメンタリティを持つと決めたからキャパシティが広がった。


忙しくて力が及ばなくて、投げ出したくなる度に思い出す。

せんせい元気してるかなー。






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