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詩 その1 (9編)

※昔から、酔っぱらうと、詩を書きたくなります。
あんまり人としゃべるのが得意でないので、
よっぱらって一人になって
詩を心に浮かべているときが
一番 自分の中で正直なときなにかもと思います。
青臭くて恥ずかしいのですが、、、
もし 暇な方がおられたら試しに読んでみてください。


上海の夜に
 
黄色い河 灰色の路地
工事中の泥をさけて 歩いているよ
ネオンライトに隠れるように
ワンタンの屋台は粉雪の中です

この街で僕は ボタンを一つ
落としました
赤いボタンの掛け違い
黄色いボタンの掛け違い

どうして僕ら
明日着る服を選んでいるのだろう

この街のボタン穴は大きすぎて 僕に合いません

誰か届けてくれませんか
見つけた時でかまわないので
五角場 夢の迷いし ボタン穴
裏側にはいったいどんな世界が広がっているのかな
 
邯鄲の道をゆく僕は
歩き方も忘れて一炊の夢をさまよっているみたい
 
大の字に寝転ぶ目の前は
星一つ見えない灰色の夜空
この胸のポケットの奥
ほつれた糸だけが
まだ残っています
 
 
 
 
 
一千年後の教科書に
 
黄昏時の公園のジャングルジムの天辺で
何時か誰かと指切りをした

「明日、天気にしておくれ。」
二つ並んだブランコを漕いで
遠くへと靴を飛ばした
 
病院の薄暗い廊下
長椅子に座っている僕は
隣の女性に声を掛けられないでいる
 
何億という人類の何千という歴史の流れ
一千年後の教科書に一体誰が載っていいるのか
何億という人類の何千という歴史の河に
誰もが一瞬の刻
接点を持つ
何億という人類の何千という歴史の流れ
一千年後の教科書に私が接点を持つ瞬間
きっとそこに私の存在は無い
 
宇宙(そら)の日記帳の中
誰かの日記帳の中
ほんの一行の私の名前
 
それが私の存在
 
 
 
 
 
玄関の靴
 
玄関の靴を
揃えるように言われたら
「自分で揃えろ!」と
言いたくなる

注意をされると
心の中で
「お前には言われたくない」

それに
「この人の言葉なら素直に聞ける」と思う人は
きっと自分の靴くらい
自分でちゃんと並べるだろう

でも
きっと
「お前には言われたくない」と
思ってしまうような人からの言葉を
上手に受け止めらるようにならないと
ましかしたら
僕は成長できないんだろうな
 
 
 
 
 
 
明日この街を去る君へ
 
明日この街を去る君へ
忘れ物はありませんか
 
小さな時計
鞄に帽子
机の奥のフォトグラフ
 
もしも明日
この僕が
一人でドアと叩いても
きっと明日
この僕の
見知らぬ人が顔を出す
 
夕べ あなたの夢をみました
とっても 笑いたくなるくらい
可笑しな夢でした
 
 
 


 
午後十時
 
机上からおろした蛍光灯の隣
左耳にイヤホンをして
午後十時のテレビ番組を見ている

左手には缶ビール
右手に持った箸の先には
少々のつまみ
両足をコタツにいれて
寝ころんだ
右耳には
時折
子供たちの寝言と
家内のいびき
 
 
 
 
 
錯覚
 
毎日はきっと
錯覚の中
それほど大きな変化をもたない
世界の中で
僕の目に映る世界は
僕を中心にまわっている

僕が中心の世界なのに
大きく変化しない
この世界が
つまらないのは
どうしてだろう

きっと僕は
この世界が
僕だけの中心でなく
家族や友人や
未来や思い出や
この世界を包む神様や

とにかく
いろんなものを
 
中心にして
あっちこっちに
転がりながら
まわっていることを
願っているのかも
 
 
絶えることなく
 
神様は
きっと
世界中を
隅々まで
見ていてくださる

だから
挨拶や感動とともに発せられる
笑い声や歓声と

同時に

映画や小説や
新聞記事のような
恐怖や苦痛や絶望とともに発せられる
悲鳴や嗚咽やヒリヒリとした泣き声を

朝も昼もなく
時計の秒針が回っている間も
常に変わらず聞き続けてくださる

僕たちは
どうしたら
そんな声を聴き続けておられる
神様の心が
分かるようになるのだろう
 
 
 
 
 
 
守るべきもの
 
守るべきもののために 
きっと僕は生きている
守るべきもののために 
きっとぼくは暮らしている

だから
守るべきものを見失うと
途方に暮れる

守るべきものは
親の期待であったり
愛情であったり
受け継いだ信仰であったり
家族や親戚であったり
友達であったり
自分の時間であったり
夢や目標であったり
ペットであったり
仕事であったり
そのほかの
生き甲斐であったり

結婚してからは
家内であったり
娘であったり
家内の理想であったり
娘の将来であったり

年齢と共にかわることもある
順番をつけていたりする

何をやってんだかと
頭をかいたり
酔っぱらって忘れたいと
思ったりもする
ときには 
逃げ出したいと思う

けれども
やはり
守るべきものを
守りたいと思いながら
今日も
あたりまえのように
晩酌をしている
 
 
 
手柄山

実家の近くの山の名前
あまり高くない
丘という方が、すんなりくるだろう

日本で二番目にモノレールが走ったというその山は
いかにもへんてこだ
なにせ
そのモノレールも
数年で廃線がきまったくらいなのだから

グリム童話に出てきそうな洋風のお城は
ドアフも住めないほど小さく
お化け屋敷のように廃れている

山頂にはなぜか水族館
植物園もあったっけ
麓には市民プールに野球場
それから陸上競技場に武道館
昔は科学館に図書館もあたったっけ?
もともとは
播磨国風土記にもでてくるという
由緒のあるこの山は
箱物行政のシンボルというより
遺物に近い

けれど
この山には一つ大切なものがある

太平洋戦全国戦災都市空爆死没者慰霊塔

刀を大地に突き刺したような形をした
高さ26.75mのモニュメントは
先の大戦で、空爆などで出直された
日本中の一般市民の方々に
永久の不戦を誓っている

この国を守ろうとした英霊に
花を捧げるのもいいだろう
でも
彼らが必死で守ろうとして
守りきれなかった
大切な命に祈りを
捧げることのは
きっと
この国を守ろうとした多くの方々に
喜んでもらえるだろう

三月に入った
昭和二十年のこの月
日本中のあちらこちらで聞こえた悲しみに
祈りを捧げよう
 
 
 

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