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IT勉強会におけるアンカンファレンス方式とレクチャー方式の違い

海外の人たちのコミュニティやユーザーグループの勉強会についてのディスカッションをみてJAWS-UGのそれと比べて非常に興味深いのは「Meetup」の捉え方です。海外での勉強会を表すMeetupは unconference と呼ばれる方法が多いと聞いたことがあります。

unconference(アンカンファレンス)はウィキペディアによると、その形式は

通常、会議の開催時に参加者が議事日程表(アジェンダ)を作成する。論題(トピック)に関する話し合いをしたい人は誰でも、時間と場所を要求できる。1人が講演台で喋る形式より、オープンディスカッション形式を取ることが多い。

と書かれています。さすがにフリーディスカッションでは時間が持たないので、あらかじめアジェンダにはタイムテーブルだけがあって、その場にいる参加者によってテーマを決めて「討論会」の形式をとる場合が多いとのこと。

よって、日本国外からJAWS DAYSのイベントや勉強会に来られると、その参加人数や会場の規模もさることながら、各トラックの各セッションでユーザーが「一人で講演台でプレゼンテーションする」形式をみて驚かれます。

鹿児島

(地域支部の勉強会でもJAWS-UGの場合はレクチャー方式が多い。写真は鹿児島支部の勉強会の模様 2019年10月。たぶん日本で参加型のアンカンファレンスは逆にハードルが高い。本当はコミュニティらしいんだけど。これを補完しているのが「懇親会」だと思うんだよね。)

この海外で主流の unconference 方式の「Meetup」をオンラインにすると、勉強会運営が相当つらいなぁ、というのは想像に難くないと思います。

一方、JAWS-UGや、日本のユーザーコミュニティの勉強会はレクチャー形式(講師が講演台で講演を行って、質疑応答するスタイル)が多いです。このレクチャー形式の場合は、アンカンファレンス形式に比べるとはるかにオンライン化しやすいのです。

COVID-19の状況においてはリアルな勉強会の開催回数は「イベント自粛要請」などもあり、昨年と比べると30%~40%減という傾向ですが、イベントへの申込者数は昨年と同じかそれをわずか上回るペースになっています。申込者数に対して実際に参加していただいた人数の割合である歩留まりは50%-60%となり、以前の歩留まりの80%前後にくらべると悪くなっていますが、会場のキャパシティという物理的制限に左右されることがない(=歩留まりが悪いので、会場がスカスカになるという悪影響がない)ので、私の個人的な考えは、歩留まりが低いというのは申込みのハードルが下がっていると理解して、ハードルを下げたまま、もっと多くの人に申し込んでもらうことを進めたほうが良いと感じています。

コンテキスト中心、コンテンツ中心の勉強会はオンライン化でも参加する人たちの目的を達成するので、今後も増え、1つあたりの勉強会の規模も大きくなっていきます。専門支部であるSecurity-JAWSやコンテナ支部は勉強会で扱うトピックやテーマが明確で、オンライン勉強会で300人のお申し込みをいただく勉強会を2020年でも定期的に開催しています。

ただし、多くの人が指摘するように、そこに「ネットワーキング」や「横のつながり」さらには「新しいコミュニティヒーロー、ヒロインの発掘」はオフラインと同じようには行かない現実は理解しています。その目的に最適化された必要最小限の「オフライン」会場による勉強会や、その目的を達成することが可能な新しい「オンライン」の仕組みが必要だ、ということであって、All or nothing でオフラインが最高でオンラインはだめ、みたいな判断は避けたほうが良いと思います。

JAWS-UGは地域支部と専門支部の2つのタイプの支部から構成されており、地域支部は比較的オフラインによるネットワーキングを重視した勉強会が開催され、一方、専門支部はあるサービスやテクノロジーに特化した勉強会を開催することから「コンテキストが明確」で「コンテンツを中心」とした集まりになっていました。このような特徴から今は専門支部がオンライン化の先頭を走り、多くの参加者を集めていますが、ネットワーキングや横のつながり、アンカンファレンスが否定されているわけではなく、今後状況が許せば、または新しい仕組みによって、地域支部の強みを生かしたミートアップが開催されると期待しています。

1600文字 30分

Free-Photos による Pixabay からの画像をお借りしました

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