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自走するコミュニティを支えるボランティア社員

JAWS-UG(Japan AWS User Group)はアマゾン ウェブ サービス(AWS)のユーザーが集まり、ユーザー自身で勉強会/イベントを企画し、運営、実施する「自走するコミュニティ」としてご存じの方も多いと思います。

基本的にJAWS-UGのすべての勉強会やイベントはユーザーによって企画・運営されるのですが、まったくAWSジャパンの社員がかかわらないわけではありません。この社員のかかわり方をご紹介したいと思います。

この数年でかかわり方が変わってきた

JAWS-UGは2010年に東京で発足し、そこから全国に広がっていきました。2014年ころにはほぼ全都道府県で支部が設立されるのですが、地域支部の設立に関してはアマゾン ウェブ サービス ジャパンのエバンジェリストが全国行脚して第0回(準備会)の勉強会開催のお手伝いとセッション登壇をしています。

これらを記録した当時の会社のBlogは残念ながらサービス契約終了とともに無くなってしまったのですが、初代エバンジェリスト玉川さん退職のASCII.JPさんの記事で当時の様子を知ることができます。

さらに、それまでユーザーだったエンジニアがAWSJ(当時はADSJ)にジョインするケースも多くなります。もともと活動していたユーザーコミュニティへ引き続き参加することで、コミュニティと社員の間の垣根はあって無いようなものだったのでしょう。

しかし、全国津々浦々でJAWS-UGの新支部の設立が一段落し、上述記事の玉川さんが2015年に卒業、さらに続けてマーケティング部門を統括していた小島さんが2016年に卒業されました。

2016年以降、急激な社員の増加もあいまって、AWSJ社員のJAWS-UG勉強会への参加や関わり方は、コネクションのある人は継続してコミュニティの支援をする一方、社員になる前からJAWS-UGを知っていてもが社員になってからどうやって関わればよいかわからない(なにかお作法があるのではないか?社員は積極的に関わってはいけないのではないか?と躊躇する)人も増えてきました。

2017年に私がAWSにジョインしたときに、JAWS-UGの情報として参考にしたのは、上述のようなASCIIの記事や、なくなってしまったADSJ時代のブログであり、基本的にJAWS-UGに対する社員の支援は、すべて社員自身がその価値と必要性を判断してボランティアで実施されていたため、文書化されたプロセス、プロシージャやプログラムはAWSJ社内に存在していませんでした。ある意味、これはこれですごいことです。

JAWS Ambassadors プログラム開始

コミュニティマネージャーとして2017年にAWSJにジョインして、いくつかの指針を設定しましたが、そのうちのひとつに「社員認知プログラム」がありました。まさにAmazonカルチャーを実践している社員の皆さんはCustomer Obsessionの考えでボランティア、見方によってはプライベートな時間をJAWS-UGの参加に費やしていました。それゆえ、いったい社内のだれが、どのJAWS-UGの勉強会に、どんな役割で参加しているのかが全くわからなかったのです。

コミュニティも自走しますが、だれに言われるわけでもなく、社員も完全に自走していたのです。自分の最初の仕事は、そのような活動をしている社員を認知し、賞賛するプログラムを作ることでした。

ただし、細心の注意を払ったのは「皆さんの活動を管理をするためではありませんよ」ということを理解してもらうことでした。そして、これまでご自身の判断でJAWS-UGの勉強会に参加し、活動を支援してきた社員に対して、その活動に感謝し、継続してもらうようにすることです。これらの活動を他の社員にはAmazonカルチャーを実践する社員活動事例として紹介して、興味をもってもらい、新たに参加を促し、参加のお手伝いをすることでした。

JAWS-UGの勉強会の登壇、イベントへの参加の度合いによってJAWS Ambassadorアワードを授与しました。ジャンパーやポロシャツは社内で着ていただくことも多く、それを見て「あれ何?」と興味をもたれる社員もいました。以下は、上から2017年、2018年、2019年のアワードグッズです。

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2020年はすべてにおいてイレギュラーな年ですが、JAWS Ambassadorsによる社員活動支援プログラムは継続していきます。 

JAWS Ambassadorにお渡しするアワードグッズには「Every day is still Day One」のタグラインの刺繍を入れています。AWSJの歴史を紐解けば、AWSJの成長はユーザーコミュニティとともにありました。セミナーやカンファレンスを開いても空席が目立っていた時代に一緒に盛り上げてくれたユーザーコミュニティと次のステージに進んでも初日忘れるべからず!を大切にする意味で Every day is still Day One のタグラインをつけています。

勉強会への参加・社員登壇は自主性を尊重

社員のだれが、どのJAWS-UGの勉強会に参加しているのか、という情報の共有はしますが、上述のようにコミュニティマネージャーが承認するようなプロセスはありません。どんどん、自由に参加してください、が基本スタンスです。昨今は都合、勉強会はオンライン開催が多くなり、私自身もオンライン開催の配信支援をするときもありますが、勉強会そのものの企画と運営はJAWS-UGの各支部の皆さんが中心となり、さらにAWS社員の登壇もコミュニティマネジャーがかかわることなく決まっています。

加えて、地域支部の登壇者/コンテンツ不足解消と、AWS社員の登壇の機会をつなげる AWS Expert Online for JAWS-UG もCOVID-19以前の2019年1月から2か月に1度の割合で実施し、すでに10回を数えます。

コミュニティでの活動は、自主性を尊重する自由なものですが、AWSのルールとして、このようなパブリックの場の登壇は、スピーカーサーティフィケーションと呼ばれるテストに合格してスピーカーとして社内認定をとらなければなりません。これはユーザーコミュニティでの登壇や、ボランティアとしての活動であってもAWSの肩書きおよびAWSの内容を話すのであれば必ず必要になります。この認定をもっていれば、PR(広報部門)から都度承認をとることなく、発表資料のチェックをされることもなく、登壇することができます。

以上、AWSJの中で行われているJAWS-UGへの社員活動支援のご紹介でした。

(*) 使用しているAmazonオフィスの写真は、以下のページからをダウンロードして利用しました
https://amazon-press.jp/About-Amazon/About-Amazon.html

2779文字 100分

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