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私は偏屈w

私は偏屈者だと自覚している。

例えば・・・。

このコロナ禍でここ2ヶ月美容室に行っていない。

でも別にそれ(コロナ)が理由な訳じゃない。

「髪の毛伸びたね!」と、知り合いに言われる度に、言い訳としてそう言っているだけだ。

なぜ美容室に行っていないかと言うと、いつもカットをお願いしている美容師さんの店のスタッフが気に入らないからだ。


私のカットを担当しているのは、実はその店のオーナーだ。

オーナーなのに、従業員の女性スタッフ2名にどうも舐められている節がある。


彼は念願の自分の店を昨年オープンし、スタッフ2名を雇って順調に経営を続けているのだが、8年の付き合いになる私とはプライベートも何度か飲みに行く仲でオープン当初から店のことを何かと相談されていた。私はアパレル業だが、店を任されていて同じ女性相手の接客業という点からも、店の運営に関して彼からアドバイスを求められ、私の経験から得られたことを彼のためになると思ったことだけなるべく控えめに意見してきた。

初めてオープン当初の彼の店に行った時、店に流れているBGMがとても気になった。「ここは六本木のクラブか?」と思うような腹に響くビートの効いたうるさい音楽に頭が痛くなった。

その後彼とバーで飲んでいた時、店の印象を聞かれたので正直に答えた。

「狙っている客層と店の雰囲気が合っていないんじゃない?特にBGMが気になったんだけど。」

彼から聞いていたのは、ターゲットにしている客層は40代以上のマダム。スタイルのデザインと共に、年齢独自の悩みのケアを重要視した施術を提案していきたいということだった。客単価を上げるためにもトリートメントや上質な施術にお金を掛けられる客層を狙っていきたいと言っていたのに、あんなうるさいBGMでは大人の女性は落ち着かないしギャル相手の店じゃないんだからおかしいでしょ、と言った。

彼は納得し、例えばどんな音楽にすればいいかと聞くので、私ならボサノバかジャズが落ち着くしリラックスすると答えた。

なるほど、早速明日からそうしますと言ってその日は別れた。


1ヶ月後。

サロンに行くと、また以前と同じクラブサウンドが流れている。

うるさい。

私は内心とても機嫌が悪くなったがそこはグッと我慢して顔には出さなかった。

そして彼に尋ねた。

「ねえ、この音楽なんとかならない?頭痛くなるんだけど」

「あぁ、すみません。実は前にアドバイスいただいた通り、次の日にボサノバをかけたんです。そしたら彼女(スタッフ)たちが『これはナイわ〜!私こんなの聴きながら仕事したくない。気分が乗らない。ムリ〜〜ww』って言われて…」

「ふうん、そうなんだ。なら仕方ないね」

私は一気に冷めてしまった。

彼が私より彼女たちの意見を尊重したからではない。ターゲットにしたい客層に合わせたBGMを提案したのに、客の意見を聞かずにスタッフ個人の趣味の意見を取ったことに憤りを覚えたのだ。

そして、その日の彼女たちの態度にも驚きを隠せなかった。私に対してあからさまに『無視』を決め込んだのだ。「いらっしゃいませ」も「ありがとうございました」も言わず。先に上がる準備をして、「失礼します」もなくさっさと知らん顔して帰っていった。

何だかあまりにもスタッフ教育がなっていなくて、彼に対しても失望してしまい、それ以来行く気になれないでいる。


私は偏屈だ。自分が接客業でなかったら、こんなに腹が立つことはなかっただろう。しかし私は接客のプロだ。その立場から言わせてもらうと彼女たちの態度は言語道断だ。

しかしその店は私の店ではない。彼の店だ。だからどういう接客をしようがどういうBGMを流そうが、彼の自由だ。これ以上私がでしゃばることはない。

なので、もう二度と彼の店へは行かない。8年間彼のカットが好きでお世話になっていたけれど、あの店へは行きたくない。

私は偏屈だ。彼はきっと「なぜ来なくなったんだろう? 」と思っているだろう。

接客を舐めてはいけない。たった一度の失敗が大事なお客様を逃すこともあると分かっていなければ、この仕事はできないのだ。

1人の客を逃すことは10人、100人の客を逃すことにならないとは限らない。

失敗は許されないのではなくて、その根幹に気づけるかどうかだ。

そして二度と取り返しのつかないことに繋がる。


残念だが、私はもう二度とあの店には行かない。












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