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小説が書きたい‼️


先日、小説家 辻 仁成氏のオンライン授業「地球カレッジ」に参加した。

私は辻文学の大ファンだ。彼の書く小説はどれも好き。何が好きかというと、その情景と心理描写の細やかさと豊かで洗練された比喩表現に尽きる。そして彼の中にある繊細な女性性がいつも心に響いて共感を生む。なぜ分かる?と思うほどに彼の中には「女」がいる。いや、思いっきり男であるが故に自分とは真逆の対比を書くことを楽しんでいるのかもしれない。

2時間喋りっぱなし。還暦をすぎているとは信じられないくらいのエネルギー。途中、一口の水を飲むこともなく、一息つくこともなく、弾丸のように喋りまくる。その情熱こそ、「小説を書くことが楽しくて仕方がない」という感情の表れだった。その勢いこそが小説家に必要なことなんだと体現していた。

規約により授業の内容はここに詳細には書けないが、彼が小説家として大切にしていること、書くことに関して必要なこと、逆に一般的には常識とされているが必ずしも必要ではないこと(これには正直、驚いた。そして私も全く彼と同じ感覚で同じような手順で書いていたことにとても安堵し、嬉しかった)などを披露してくださり、一ファンとしても、書くことが好きな者同士としても、一々共感の嵐でこれまで自分が書いてきたものへの愛着と確信で思わず心の中でガッツポーズをした。

こんなふうに今現在活躍しているプロの小説家の生の声を聴く機会はなかなか無いし、現在進行形で書かれているものについて、その過程や自身の内面的な本音など、貴重すぎる声をライブで聞かせてもらえるなんて本当にすごいことだと思った。

授業の中で、前もって応募されていた参加者からの短編小説を、実際に辻さんが推敲したものが披露された。原稿に辻さんの手書きの推敲がびっちりと書かれている。そして細かくその内容を説明してくださる。もうもうもう、その推敲の素晴らしさ、これぞプロ、これぞ現役小説家。あっぱれとしか言えなかった。バシバシと厳しいことをおっしゃるのだが、その全てが的を射ていて、聴いて初めて「あぁ、そうか。なんで気がつかなかったんだろう」といった塩梅。ひたすら尊敬、ひたすら目から鱗。

2時間の熱弁トークはあっという間に過ぎてしまったが、視聴しながらタイピングしたメモ書きは私の宝物になった。アーカイブはないので一言も聞き漏らさないぞと必死だった。紙とペンで書くには辻さんは早口すぎる。熱が入るに従ってどんどん早口になる。その至宝の言葉を取りこぼすまいと、とにかく必死でキーを叩いた。終わった後で何度も読み返しながら、改めて書くことへの情熱を思い知らされ、そして自分も書きたい欲がむくむくと湧き上がってくるのを感じた。


「学ぶ」ことはこの歳の日常には格段に少ない。というか、自分から積極的に取りに行かないと、誰も目の前にはもってきてくれない。学生の頃はあんなにも強制されたのに。しかし、今だからこそ本当に自分が欲するもの、学びたいものを、意欲さえあればいつでもいくらでも得られるのだと今回改めて認識することができた。それだけでも今回は大きな収穫だった。


人生には学び続けることが必要だ。今を存分に生きるためにも、限りある時間を無駄にしない上でも。「いつでもできるからと後回しにすることはやらないことと同じ」と誰かが言っていたけれど、その言葉を本当に実感する。そして「好き」と「情熱」と「勢い」を失わないよう、常に自分の内なる欲望を自覚していたい。

書くことは面白い。書くことは自分を知ること。小説が書きたい‼️


#小説の書き方 #地球カレッジ #辻仁成 #学び #オンライン授業

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