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【落合×堀元の件】落合先生、あなたの考え方は素晴らしい!私も落合先生に続いてネットの悪人にリプを飛ばしまくるべきだと気付きました!


衒学チャンネル堀元氏のNoteに端を発したこの問題、
筑波大学教授、落合陽一先生のお考えがあまりにも素晴らしく、これこそ今の荒廃しきった日本を正すための唯一にして絶対の方法だと確信しました。
なぜみんな落合先生に続かないのか、非常に嘆かわしい!

落合陽一先生の主張をまとめると以下の通り

  1. インターネットによる悪口を換金できてしまう社会構造は問題である

  2. この営みを止めるためには、このシステムを利用している人間と関わると後味の悪い結果を残すことが必要。関係者を巻き込むことによって周りからの抑止力に繋がる

  3. この巨悪を止めるための力を最大限活用するためには、悪が「社会と接続したタイミング」まで待つことが有効。つまり影響力を持つまで泳がせて、有名になったりステークホルダーが多くなったタイミングで「後味の悪い結果」を残すことが重要

ここで、後味の悪い結果を残すための手段は具体的には提示されていないが、落合先生の行動を見る限り、SNSで「あなたは悪口を肯定する立場の人間ですか?」とSNSユーザーからリプが飛んでくるという結果が「後味が悪い」ということの一つのようだ。

何と素晴らしい覚悟だろうか、落合先生、あなたは完全に正しい。
これを実現するには相当な覚悟がいるだろうに、それをも厭わずにこれを成し遂げようとする心意気。

あなたの考え方は善なる社会を実現するための唯一の方法であり、完全なる社会正義です!
これらの行為は、正義の名の元完全に正当な行いです!

みんななぜ落合先生に続かないのだろうか、今のインターネットに正義はないのか。

もういい!ネットユーザーの動きがイマイチ良くないので俺が一人でも動き始めて、社会正義を実現してやる!なんせあの落合先生が言っているのだ、正しい行いに決まっている!

「後味を悪くするべき対象者」について

たとえば、2ch創設者のひろゆきだ。
2chと言えば、言わずと知れた「悪口の巣窟」である。今のX(旧Twitter、以降もTwitterと呼ぶ)と違い完全な匿名性が担保されていたこともあり、悪口の総量は今の比ではない。
ネットユーザーがご存じの通り、彼はこの2chに書かれた悪口の管理責任を問われ、裁判で損害賠償が命じられている。
彼は今は2chの管理人ではないが、現在もその損害賠償は支払われていない。損害賠償が支払われていない以上、悪口への補償がなされていないわけだから、彼には2chの過去の悪口の責任と問うべきだろう。
悪口は過去のものとなったが、賠償金はいまだ支払われていないため、この問題は現在進行形のものなのだ。

これは落合先生の崇高な思想に基づいて、彼とAbema共演した人間に「あなたはインターネットの匿名性に傘を着た誹謗中傷に賛同しますか?」とリプを飛ばしまくる必要がある!
そして彼の最大のステークホルダーと言えば、なんといっても彼が経営メンバーを務める「未来検索ブラジル」である。
この会社は番組製作などもしているが、関係者が多いのは最近流行りの「切り抜き動画の収益配分」だろう。
かなりのYoutube配信者がこのサービスを利用しているそうなので、落合先生の理論によればこのサービスの利用者は、「間接的に悪口を肯定している人間に対する利益の供与」に該当するだろう。
つまり、未来検索ブラジルのサービスを利用して収益配分を受け取っている配信者は、Twitter上でこのリプがネットユーザーから飛びまくることになる。
Abemaの共演者や、切り抜きの収益配分サービスの利用者ともなるとかなりの人数になるが、やむを得ない。なんせあの落合先生が主張しているのだから、これは正答な行いなのだ。

いやだが待てよ、今回は「悪口」にだけ焦点をあてているが、果たして問題は悪口だけなのだろうか。今の世の中、悪口以外の正すべき悪口は山ほどある。
より邪悪な問題と言えば、芸能界の性加害問題がその一つだ。

権力者の性加害はかねてから噂されてきたが、近年いくつかその実態が公になったことがあった。
加害者が経営している事務所のタレントは性加害者の商品そのものなので、利益を供与しないためにも関係者にその事実を周知させ、「後味を悪く」していく必要があるだろう。
つまり、そのアイドル事務所のタレントと番組で共演したことのある人間には、ネットユーザーから「あなたは性加害を肯定する立場ですか?」とリプを送っていく必要があるのだ。

しかし待てよ、なんということだろう、いくつか報道があった事務所との共演したことがある人間ならば、今のTVである程度有名な人間はほとんどあてはまるではないか!
つまり芸能人はほぼ全員、問答無用で「あなたは性加害を肯定しますか?」と問いかけていき、「後味を悪く」していかなければならない。
世も末という感じがしてきたが仕方がない、これは落合先生の思想であり、完全に正当な正義の行いなのだから。

これまでかなりの「後味の悪さ」を悪人に対して残してきたぞ!
社会正義を行使するのはなんてすがすがしいんだ。
この調子でネットの悪人に対し、間違いを突きつけ後味を悪くしていかなきゃ!

ところで、この記事を書いているのは2020年なのだが、最近気になっている方がいる。
日本の女子プロレスラーでありテラスハウス出演者の、木村花さんだ。

僕は彼女の行動に少し気になる点があった。
木村花さんの大切な試合用のコスチュームを誤って乾燥機にかけた男性に対して、花さんが強い口調で憤ったのだ。
これは、「後味の悪い結果」を残すべき対象かどうか、善悪の判断の難しいところだなぁ、、よしインターネットを見てみよう。

なんと、Twitter上では彼女に対する非難の声しかないじゃないか!これは彼女を非難する側に社会的な正義があるに違いない!よし、自分もこの避難に参加して後味の悪い結果を残さなきゃ!


いかがだっただろうか?

途中で気付いたかもしれないが、私は落合先生の一連の騒動で表明した考え方に賛同していない。
この文章は落合氏の考え方を善とし、それが社会で実行された場合何が起こるのかの思考実験のようなものだ。
落合先生の考え方に同意できない理由は2つある。
一つは、悪人の関係者が利益供与者に当たるという落合先生の主張は論理の飛躍ではないか、という点だ。
もちろん「悪口をいうのはよくないよね」というのは至極当然なことで、そこは否定しない。
だが、だからと言って関わりがあるだけの第3者を巻き込むことは正答化できないし、論理の飛躍だ。
過去の行いを知らずに関わってしまった人間が次々こんな迷惑なリプを飛ばされる社会は本当に健全なのだろうか?
たしかに、悪口の防止という目的にフォーカスすればこの方法は効果的だろう。
しかしその理屈で言えば「殺人を防止するには一族郎党皆殺し」だって効果はあるが、近現代では本人と無関係な人間に刑が及ぶことはない。言うまでもなく、倫理的に問題があるからだ。
そもそも、何を隠そう落合先生自身も、ひろゆき氏と共演したことがある。
しかしだからと言って、落合先生以外には誰も「落合陽一は2chで過去に行われた誹謗中傷に賛同し、現在も被害者に賠償金が支払われていない状況を支援している」などという論理の飛躍はしていないわけだ、僕もそんなことは思わない。

もう一点は、この社会制度を運用するのは、愚者である、という点だ
落合先生は聡明なので、「後味の悪い結果」だけで終わらせられるだろう。
今回の問題は善悪もはっきりしていた。堀元氏本人が明確に「これは悪口であり、悪いの自分である」というていでコンテンツを発信しているからだ。
ただし、世の中には賛否両論のケースはいくらでもある、木村花さんのケースも当時は彼女が自分の命を終わらせてしまうという悲劇的な結果を迎えるまではそうだった。

落合先生は今回悪口のことしか取り上げていない。木村花さんのようなケースに対して「後味を悪くしろ」なんて一言も言っていないし、それが誹謗中傷までエスカレートするのであればむしろ反対の立場をとるだろう。
しかし、社会は愚者により構成されている
自分が「歴史の正しい側に立っている」と思い込んだ人間による誹謗中傷は、その時点、彼らの視点からは「正当な批判」だということはよくある話だ。
そうなったとき、ネットの愚者は自分を客観視できない。ほとんどの人は落合先生のように聡明ではないので、これは「後味の悪い結果を残すべき」かどうかという基準を正しく運営することはできない。
そしてネットの多数意見によりその時点で正義が構成され、守るべきラインを踏み越えた愚者により悲劇的な結果が生み出されてしまうということは、これまでネット上で何度も繰り返されてきた。

このポストのように、後味の悪い結果がネットリンチに発展すること自体は落合先生も望んでいない。しかし、それがネットリンチを誘発しないという主張には疑問がある。世の中は落合先生のように聡明でない人間で構成されている。

あの時点で木村花さんに誹謗中傷していた人間に面と向かって対談することができたとして「あなたは正答な理由があれば人を誹謗中傷で死に追いやることが正しいと思いますか」なんて聞いたところで、「ハイ思います」なんて言う人間がいるだろうか?
誹謗中傷を実行していた当事者ですら、そういう聞き方をされれば「それはよくないですね」と心から思うのではないだろうか。
悪意とは集団によって作られるものであり、マジョリティにより倫理観は簡単に瓦解する。
非難しても良い大義名分を得た愚者にとって、この倫理の壁はあまりにも脆いということは、すでにインターネットで繰り返されてきた悲劇により証明されたのではないだろうか。

このような方法は問題を解決しない所か、いまよりさらに地獄のインターネットを作り出してしまうだけだと思う。

追記


本記事を書いている途中で、堀元氏と落合先生は和解されたようだ。
よって本記事は落合先生への批判を意図しておらず、落合先生のリプ欄で賛同を表明していた、それでいてあまり元ツイートの意図を理解できていないであろうネットユーザーに対して、「本当にそれがどういうことか想像できますか?」と投げかける意図で公開する。

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