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私は私を愛することができるか?(JIN①)

人はよく、「自分を愛していない人は他人を愛することはできない」と言う。
また、「ありのままの自分を愛することが大切だ」という。


そういう意味では、キムソクジンという人は、「自分を愛する」ことが得意な人なのだと思っていた。

宝石のような目を見開いてギャグを言ったり大声で突っ込んだりしてるのに、どこか育ちの良さを感じる振る舞いで、無理してる感じがしない。
朝起きて鏡で自分の顔を見たら「かっこいいな〜」と言うのだというジンくん。

かっこよくて、いかにもアイドルなのに気取ってなくて、Love myselfを地で行くジンくん。
だけど彼の自尊心って、もしかしたら無条件なものじゃないのかもしれない。

私なりに、ジンくんの自尊心の根っこを考えてみた話。


1. キムソクジンはお兄さん

ジンくんについて出来るだけ客観的に事実を書くなら、

ワールドワイドハンサムを自称する美男子。BTSの最年長メンバーにしてビジュアル・ボーカル担当。キラキラ輝く瞳と伸びのある歌声が魅力。
最年長なのに年下のメンバーに弄られるような可愛い性格の人。料理が好き(作るのも食べるのも)で、釣りが趣味。

みたいな記述になるだろうか。

私はDynamiteから入ったド新規なのだが、ジンくんのはじめの印象は「サビのところ歌ってる目がキラキラで声がよく伸びる人」だった。テテやジミンくんのような言いようのない"美”を感じたわけじゃないけど、ものすごくかっこよくて感じのいい人だなと思った。私の勝手にイメージするKPOPアイドルの姿に一番近かった気がする。

Run BTS!のようなバラエティではMC力も抜群、たまに年下たちに絡みに行って少しだけめんどくさそうな反応をされる。他のメンバーはジンくんのテンションが高い時にはやれやれ半分みたいな顔をしてるくせに、そのくせ何かあるとジンくんのそばにふわふわと寄ってきてはちょっかいをかける。

私はヒョン(年上)ラインであるJIN、SUGA、J-HOPE、RMのことがすごく好きだけど、勝手な印象として、会いたくなるタイミングがそれぞれ違いそうだなと思っている。

ぶっきらぼうだけどツンデレで優しく、曲作りの才能にも溢れたシュガには、自分が何かをできるようになった時や自分が成長した時に報告に行きたい。
楽しくて優しいのに圧倒的にリアリストな感じのするホビくん(J-HOPE)には、新しいことを始めたいけど、誰かに背中を押して欲しい時に会いたい。
BTSのリーダー、聡明で情緒的なナムくん(RM)には、何となくモヤモヤしてたり悩んでいる時に会って、まとまりのない話を聞いて欲しい(し、その解像度の高い言葉でモヤモヤを整理して欲しい)。


そしてジンくんは、
どういう時に会いたいかというシチュエーションは特にない。目的も理由も意図もないけど、何かの瞬間に軽率に会いたくなる人。それが私の中のジンくんという人だ。

分からないけとりあえず「ジーーーン!(よくメンバーがからかう時に出す低めの声で)」って呼びたいし、用事もないし返事も特に必要としていないけど、隣に座ってどうでもいい話をしたい。
何をするわけでもないし、理由もよく分からないけど、ここに自分以外に誰かいたらいいのにな、という感情になった時、真っ先に思い浮かぶのがジンくん。そんなイメージだ。

ジョングクはみんなが認めるかわいい黄金マンネだけど、ジンくんに対する扱いがまさにそれだ。
急に近づいて行き、無意味にお尻を蹴る。そのまま蹴り合いに発展することもあるのに、全然喧嘩にならないので思わず笑ってしまう。

会いたい理由も話したいこともないけど、無意味な行動に巻き込んで一緒に笑って欲しい人。弟たちがみんなジンくんにフワフワ寄っていくのは、ジンくんがそういう人だからだと思っている。
なんとなく余裕があるし、よほどのことがない限りは受け入れてくれるでしょう?そんな気がしてしまう。

だからジンくんは防弾の中で、やっぱり一番お兄さんなのだと思う。


2. 孤高の人

弟たちは明確な意図もなくジンくんに寄っていくけど、一方でジンくん自身は、落ち込んで悩んで誰かに悩みを打ち明けたり、誰かメンバーに話を聞いてもらったりするのだろうか。

ボンボヤシリーズなどで、ジンくんが自分の考えをメンバーに話すところはたまに見るけど、ジンくんが自ら自分の弱みを晒したり、誰かに相談をしているところは、ほとんど見たことがない気がする。

In the SOOPの時にユンギが、ジンくんと釣りに行くことについて、「別に釣りが特別好きなわけじゃないけど、一緒に行けばジンさんが喜ぶから」と言っていた。
エピソードが可愛いなと思いつつも、多分ジンくんは、仮にユンギが一緒に釣りに来てくれなくても、普通に一人で釣りに行くだろうな、と思う。それは別にユンギと仲が悪いとかではなくて、ジンくんは、一人の楽しみ方を知ってる。
実際、In the SOOPで、他の誰が一緒にいなくても、ジンくんは楽しそうに一人で釣りをしていたし、みんながテーマ曲の作曲しているあの素敵な場面でも、ジンくんは部屋の外で一人絵を描いていた。

ジンくんの中では、「どうしても誰かと一緒じゃないとダメなこと」ってそれほど多くないんじゃないかなと思う。自分一人でも自分の好きなことをするし、楽しみ方を知っているように見える。


多くのARMYが(言うまでもなく私も)好きであろうジンくんの言葉に、BTSのメンバーが旅行する『BON VOYAGE』シーズン2ハワイ編での言葉がある。

「僕は自分が幸せになるために他人を利用するんだ。人を笑わせて自分が幸せになるんだ。」

この時一緒に食事をしていたナムさんは、この言葉にとても驚いていたようだった。その後、ジンくんの発想を引用する形で、ARMYに向けて「BTSを利用して幸せになって欲しい」というコメントをしている。

また、ジンくんはこんなことを言う。

「僕の努力は僕だけが知っていればいい。」


キムソクジンという人は、もしかすると徹底的に自分本位で孤高の人なのではないかと思う。
自分本位というと聞こえは悪いが、決して単にわがままな人という意味ではない。
自分が楽しむ事はもちろん、他人を楽しませることも、自分が努力することも、「(誰か)の為に」という考えが薄い。ジンくんは、楽しいことも必要な努力も、全部全部「自分の話」にしてしまう。

自分の行動次第で状況を好転させられるし、周囲を幸福にすることもできることをちゃんと知ってる。だから自分をきちんと褒めるし、自分のいいところもちゃんと分かる。
ジンくんは、多分本質的には誰から認められなくても自分を認めることができる人なんじゃないだろうか。

ジンくんは努力家だ。彼の自己肯定感は、彼自身の積み重ねてきた努力によって裏付けされている。そこには、他人がほとんど動機として介入する余地がないように見える。

私は当初、ジンくんは、理由なく自分を愛せる人なのだと思っていた。
けれどよくよく見れば、誰かに「可愛い」「かっこいい」なんて言われても恥ずかしそうにしているし、決して元から無条件に自信のある人ではないことが分かる。
私は新規も新規のファンだし、音楽に関してはど素人だけど、昔のアルバムやライブ音源を聴いていると、ジンくんの歌声がどんどん伸びやかになっていることは分かる。

いつかジミンくんがジンくんのことを「一貫してる人だ」と言ったけど、それはジンくんが常に自分の努力で、自分の生き方と自信を掴み取ってきたからではないかと思う。

キムソクジンは、孤高な大人の男で、自分の努力ゆえに自分を認めてあげることのできる人なのだと思う。
だからそれは、多分、「ありのままの自分を愛する」とは、ほんの少し違うのだと思う。


2. ありのままの自分を愛することができるか



新アルバムBEのビハインド動画のジンくんは、まだまだ新規ファンの私でも気づくくらいなんだか元気がなかった。


たくさん寝てるしあまりご飯も食べていないのだと、ジョングクに語ったジンくんは少しだけ無理に笑っているように見えて、いろんなARMYの方が心配していたし、私もジンくん大丈夫かなと思った。

2020年のどうしようもない状況の中で、世の中のたくさんの人と同じように、BTSのメンバーは必死に自分を保ってきたのだと思う。BTSのお兄さんで孤高の努力家であるジンくんは、そういう時一番強そうなイメージなのに、こんなに弱ってるのは何故だろうと考えた。


ジンくんは努力の人だ。身の回りの課題を自分の行動でもって解決してきた人だ。だからこそ自分を認めて愛することができる。
けれど、もしかしてそれって、努力するとか頑張るとかの「自分の行動」以外の変動要因にとても弱いってことなのではないかと思う。

自分の頑張りで身の回りの問題を解決した人は、努力の如何に関わらずうまくいかないことが起こった時の対処が苦手なんじゃないだろうか。
自分が少しそういうところがあるのだけど、壁にぶつかっても課題を見つけて自分の努力で解決してきた、そういう自意識のある人は、明確な理由なんかないけどどうにもならないことが起こった時、何が原因で上手くいかないのか、自分は何をすればいいのか分からないのだ。

かつて自分自身も味わった「どうしようもないこと」への困惑と無力感を、ジンくんも感じていたのではないかと、私は勝手に思っている。


12月にお誕生日を迎えたジンくんが、珍しくも見せてくれた心の内である『Abyss』は、ジンくんが、自分に向き合った曲だと思う。
心に迫るような歌い方と少し悲しげなメロディーで綴るのは、どうにもならない状況の中でジンくんが向き合った「自分自信」への思いなのではないだろうか。

Abyssは、深淵という意味を持つ言葉だが、歌詞やジャケットのイメージも相まって、深海みたいな意味合いであるように感じる。深い深い自己との対話の中で、ジンくんは何かを見つけただろうか。
あるいはそれは、何もかもままならない状況の中でも、何もしてなくても、努力をしようにもできない状況でも、そういうの全部ひっくるめて、「ありのままの自分を愛する」ための何かだろうか。


けれど実際問題「ありのままの自分を愛する」ことができる人ってどれくらいいるんだろう。
ものすごく狭量な私は、それはもしかしたら、怠惰と紙一重なのではないか、と未だに思ってしまうのだ。

だから、もしジンくんが2020年に言いようのないやるせなさを感じていたとしたら、努力でどうにもならない状況に苦しんでいたとしたら、それは全然間違ってないし弱くもないよと言ってあげたいし、
もしかしたら茨の道かもしれなくても、今の時代の「仕方なさ」に、孤高の努力家であるあなたが無理して馴染む必要もないんだよと言いたい。


そしてもしも可能なら、自分を愛するための価値基準に、あとほんの少し誰かの声を入れて欲しい。
きっとメンバーのことはめちゃくちゃ信用してると思うけど、それ以上にジンくんはとんでもなくストイックな努力家だと思う。世界の端っこで少しだけ頑張る私にすら感動を与えてくれた人だから。

「ありのまま」じゃなくていい。
努力して、信念を貫いて作り出した、キムソクジンを愛する人は世界中にたくさんいる。
あなたを見てると私も、自分の好きな自分でいるために努力しようと思えるから。


だからどうか、誰かの何かの世界においてアイドルでいる自分を愛して。

キムソクジンと、日々それなりに努力している私自信へ。

2021.01.20


(※これは私個人の思考を整理したもので、特定の個人の人格を決めつけて記載したものではありません)

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