人類みんなニート向き
目の端に闇を感じて、文字を追っていた瞼を持ち上げた。違和感の方に目をやると、窓の外は夜の海で満ちていた。おかしいな…ついさっきカーテンに触れたとき、外は確かに茜色だったはずのに。時刻を見ると20時を過ぎている。今日は朝8時くらいから活動していたはずだから、どうやら12時間も経ったらしい。
驚くことに今日の私がしたことは三つだけだ。1.アニメを見る 2.本を読む 3.ご飯を食べる。インフルエンザという名目で予定を全潰しして得た有難い休日たちは、ベッドの上で物語を溶かすだけであっという間に消えていく。暖かいご飯の上に載せたバターみたいに、みるみるうちに溶けていく。
私を''私''と認識する人類に、誰にも会わない、基本家にいるだけの24時間。そんな今日みたいな1日がもう4回も続いていた。それなのに、早く活動したいと微塵も思ってもいない自分がいてひどく驚いた。
いやはや、1人時間の過ごし方が上手すぎる。家にいることが楽しくて、全然飽きないから、何ヶ月だって引き込もれそうだ。
どうしよう…。
困った事実だけど。
私、ニートに向いているのかもしれない。
私ったら
もしかして
ニートの才能があるんだろうか。
そこまで言葉が浮かんだけど、いや、やっぱりちがうか、と考え直した。私に特別才能があるんじゃなくて、この世の中がニートに優しくなっているのだ。そう、豊富なコンテンツで溢れているこの世界がこそが、快適さの原因なのだ。
私はアニメと本が好きだから、引き込もれ!と言われたら、それを主食にした物語摂取系ニートになりがちだ。けれど、もしゲームが好きな人だったら、色んなゲームをやり込むようなゲーマーニートになるだろう。YouTubeもTikTokもNetflixも見ていいし、外出だってしてもいいといわれたら、誰だってニートになるのは容易なのではないか。
そう、2024年、もはやこの世に生きる全人類、ニートに向いているのだ!
いやはや、ニート問題が騒がれるのも仕方ない。無限に広がる時間つぶしの選択肢から、好きなものを自由に選んで楽しめばいいのだ。この快適さ、、、少なくとも3ヶ月くらいはこんな生活が出来そうな気がする。ニートの気持ちがよく分かるよ。
じゃ、私が特別悪いんじゃないね。
そしたら困ることないか。
そうやって芽生えそうだったニートの才能はなかったことにし、皆こんなもんなのだと肯定して、私はぬくぬくのおふとんに戻ることにした。まぁ、私には部屋を与えてくれる両親も石油王の旦那もいないんだから、どうしたって私の疑似ニートライフの終了は近いのだ。つかの間の休息、堪能してもバチは当たらないだろう。
うーん、いつだっておふとんはきもちいい。
このふわふわ素材、最高だぁ。
甘やかし人生、万歳。
つかの間のニート、バンザイ。
そうして、もう一度、温い布団にくるまって、栞に手をやり、文字の上に影を落とした。
↑同じようなエッセイ。個人的にはこの青いやつの方が好き。
↑今日、頑張って読んでる。(積読より新しいのの方がうんと読みたくなるのはなぜ)
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