防災意識

かえるちゃんには防災意識はないんです。
時々地震とかJアラートですか？
で避難指示みたいのが出るけど、かえるちゃんは歩けないので避難しても足手まといになるかなと思うので、おとなしく消えて行きたいと思っています。

だから防災用品とかは準備していません。

まぁねー。
だけど東日本大震災の時はディズニーランドに行くって、ディズニーの入り口の前のモノレールの駅構内で地震にあったんです。
この頃はまだかえるちゃん歩けたんです。

千葉でも震度５くらいあったみたいで壁がぐにゃぐにゃに収縮して見えて、まっすぐ立っていられませんでした。

改札口を逆走して外に出たら、地震のあとで即閉園となったディズニーのお客さんが近くの運動公園に避難誘導されている長い行列を見ました。

この行列について行ったらいつ帰宅できるかわからない、といっしょだった元カレが言いました。

元カレはその頃ビデオボックスの従業員で、こんなすごい地震があったと言うのに、翌日の仕事には行くって言い切るんです。
いや、こんな時くらい会社も休めよ。
と思ったんですけどね。
ビデオボックスって抜きに来るところなのに、そこまでして射精したいヤツおるんか？と思いましたが元カレは本気です。

会社に連絡すると言って、あの時携帯も繋がらなかったので、舞浜駅の公衆電話が1.５時間待ちなんですけど、並んで会社に状況を説明して、翌日は午前中を休みにしてもらえたみたいでした。

舞浜駅からディズニーのウェルカムセンターみたいな建物に移動したんですけど、そこも床に座っている人で満席。
わたしも一人分の隙間を見つけて座りましたが元カレは入り口で外の様子を観察していました。

すごいなと思ったのは中国人観光客です。
コンビニまでかなり遠いはずなのに行くんですよ。
それで食べるものをゲットしてくるんです。
日本人は地震の衝撃が強すぎて食欲なんてない様子でした。

23時過ぎまでそこに座ってて、臨時バスが出るからと元カレに呼ばれて乗車しました。
とりあえずは舞浜脱出です。
臨時バスは妙典と言う駅までの運行でした。

妙典駅に着いたのは午前１時過ぎでした。
駅前のタクシー乗り場には100人くらい並んでいるように見えましたがタクシーが来ている様子はなくて、とりあえずわたしたちは駅にあったマクドナルドに行ったんです。

夕飯はディズニーで食べようと思っていたのでお昼からなにも食べていなかったんです。
マクドナルドの店内にもぎっしり人が並んでいて、ちょっとお酒入ってる感じのおじさんが女性の店員さんを怒鳴りつけたり、すごく殺気立っていたんです。

その中でひとり悠然と座って読書をしているおばさんがいました。
みんなそそくさと食べてから次のお客さんに席を譲っているのに、このおばさんは読書しながら旦那さんの迎えを待っているみたいで、時々携帯であれこれ言いながらコーヒーだけで粘っているんです。
そのおばさんの横で、わたしたちは立ったままでハンバーガーを食べ終わり、移動しようとした時に元カレがトレイをひっくり返しておばさんの頭上にコーヒーをぶちまけたんです。

おばさんは当然怒りに震えていて、元カレも汚れた本を弁償しますとか言ってたけど、そんな必要はない、いつまでも席を占拠している人が悪い。とわたしが言ってそのままお店を出ました。
今でも覚えている唯一の元カレのグッジョブです。

次は西船橋を目指すことになりました。
ここからの移動は徒歩です。
かなりの大人数が徒歩移動をしていました。
わたしは千葉に土地勘がないから、どのくらい歩くのか見当もつかず、途中でもう歩けないと言って、元カレが公衆電話からタクシー会社をに10件以上問い合わせましたが、この日は営業しているタクシー会社はなかったようです。

３時過ぎにようやく西船橋に着いて、駅の階段でもぎっしり人が座って寝てるし、タクシー乗り場の行列もすごいし、コンビニの前を通ったら床でぎっしり人が寝てるしで、どうすればいいのか途方に暮れかけた時、コンビニの店員さんがお客さんを裏通りの居酒屋さんに誘導していたので、いっしょに中に入りました。

居酒屋さんはボランティアでお店を開けて、休憩所にしているとのことでした。
相席ではありましたが座ることができて、元カレは明日の仕事に備えて仮眠をとっていました。

翌朝９時に西船橋から電車が出るとのことで、それまで居酒屋さんで座っていました。
寒くなかったし、お茶まで出してもらえてありがたかったです。

満員電車にあまり乗ったことがなくて、降りる人の勢いに押されて何度かホームに落とされたんですけど、なんとか目的地の千葉駅に着いたのは12時過ぎでした。
ゆっくり歩いて元カレのアパートに帰れたのは午後１時ごろでした。

この日は疲れてすぐに寝たんですけど、翌日近くのコンビニに行ったら食べられるものがなに一つないんです。

みんな行動早いな、と納得して、前週行った香港でお土産用に買った甘栗と、唯一売っていた缶チューハイで飢えを凌いでいました。

元カレは普通通り仕事をしていて、帰りに菓子パンやお弁当を探して買ってきてくれたので１日1食はちゃんと食べられました。

15日に沖縄に戻る予定でしたが、計画停電が始まる日だったみたいで、18日に延期しました。

おとなしくおうちにいたら地震に遭うことはなかったかと思うんですが、もうあれから13年です。
無いものはないんだからかえるちゃんは今後も防災意識がなく暮らすんだと思います。