腹黒お金英才教育

100円玉を手にした僕は、息子に向かってこう言った。

「お前、お小遣いをもっともらう方法が分かるか?」

不思議そうな顔で、息子はこう答えた。
「はたらけばいい?」

「違う、それはパパがする」
「おてつだい?」
「違う、そんなの当たり前のことだ」
「うーん」

ラチがあかないので、僕は答えを教えてあげることにした。
お小遣いをもっと簡単にもらう、その方法をだ。

「あのな、お小遣いをもらったら嬉しいよな?」
「うん、うれちい」
息子は、まだ『さ行』をうまく発音できない。

「それでな、嬉しかったら、いつもよりもっともーっと嬉い感じになってみろ。うわー嬉しいーーーーって」
「うん」
「超嬉しそうな子にはな、お小遣いをあげたこっちも嬉しくなるんだ。だからお前は、嬉しいーーーー!って言うだけで、もっとお小遣いをもらえるようになるぞ」
「うん」
「ほれ、今この100円を渡すから、嬉しいーーーーってやってみろ」
「うわーー!うれちいーーーーー!」
「わざとらしい!!もっと素直な嬉しい気持ちを感じるんだ!」
「うれちいーーーーーーーーー!」
「おおー!いいぞ!いいぞ!よしそのままパパに抱きついてこい!」


ムギュウウウウウウウウウウウ


作家でコンサルタントの本田晃一さんが、かつて日本一の大投資家、故・竹田和平さんから高級な金貨をもらったことがあった。そこで本田さんは何かお礼をしようと考えた。本田さんは、特別な贈り物をお返しする代わりに、友達30人ぐらいに1人1人会いに言って、その金貨を持って友達と満面の笑みで写っている写真を撮り溜めた。そしてその溜まった30枚ほどの写真を、和平さんにお礼として贈った。

すると、ミラクルが起こった。

和平さんから本田さん宛てに手紙が届き、そこにはこう書かれていた。
「今まで何人もの人に金貨を贈りましたが、こんなに喜んでくれたのはあなたが初めてです。あなたこそ、わたしが探し求めていた後継者に違いありません。わたしの後継者になってください」
こうして、本田さんは和平さんから莫大な資産を継承することになった。


ここで大切なことは、
とにかく大喜びしたら大きな見返りがくるってことももちろんだが(笑)、
誰かを喜ばせようとしてくれた事に対して、心から喜ぶと、また喜びの連鎖が起きるということだ。和平さんは、きっと本田さんが金貨をもらって嬉しかったことを知って、超嬉しくなったに違いない。


僕は幼い頃、『肩たたき株式会社』という会社をつくった。
母の肩を叩き収益を上げる(つまりお小遣いをもらう)その事業は、いい感じに軌道に乗り、売り上げは順調に推移していった。

ある日、僕はその蓄えたお金で母を喜ばせようと思った。
僕は母にささやかなプレゼントを贈ることを決めた。それは、母が水仕事をしている時に袖口が下がらないうように留めるちょっとした雑貨で、数百円のものだった。当時、神戸の阪神御影にあったデパート『長崎屋』に母と弟達と僕で出かけた際に、僕はわざと母と弟達からはぐれ、その雑貨を買いに走った。
僕は「肩たたき株式会社」で得た収益から、その雑貨への支払いを済ませ、母と弟が待つであろう長崎屋の3階の踊り場に向かった。
はぐれた僕を心配していた母は、僕の顔を見て安堵した。そして僕が差し出したプレゼントを見て、大層驚き、そしてとても喜んでくれた。
僕は母の喜ぶ顔が見れて、とれも嬉しかった。そして、自分がしたことがとても誇らしかった。


人を喜ばせたくて何かをした時、
相手が喜んでくれたら、すごく嬉しい。
だから、僕も誰かが何かをしてくれた時、もっと喜びを味わおうと思う。

だから息子よ、
お前もうんと喜びなさい。

ああ、そうだ、この100円をあげるのを忘れていたね。
本当に欲しいものがあった時に使うんだよ。
昔のパパみたいに、欲しくもないものに使ったらダメだぞ。













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