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勝手に10選〜素晴らしきカバー曲 洋楽編Part.2(後編)〜

(前記)
それでは、張り切って後編に移る。

・Champs Elysées by NOFX
原曲は1969年にジョー・ダッサンにより発表された"Les Champs-Élysées"である。

そう、お馴染みの"オー・シャンゼリゼ"である。

今やパリのシャンゼリゼ通りのアイコンの様な曲であるが、元々の原曲は1968年にイギリスのバンドであるジェイソン・クレストが"Waterloo Road"という題で発表された曲であり、ロンドンのウォータールー通りの事を歌っていたのだ。

その原曲にフランス語の歌詞をつけ、フランス在住のジョー・ダッサンが発表したのだ。
恥ずかしながら、筆者はこの曲をフランスのトラディションな曲だと思い込んでいた。

このNOFXによるカバーであるが、ハードなパンクで幕を開け、最初のパートに入る際にテンポダウンし、軽やかかつ抑え気味でタイトな演奏となり、サビに入ると軽やかさを保ちながら重厚感を増し、ホーンも実にイカしたスパイスとなる。
後半はテンポアップし、パンクと原曲が見事に融合する。

こういったトラディション的な曲も色んな解釈でカバーをする事によって、とても痛快な曲にもなる事を見せつける見事なカバーなのだ。

・(I Can’tHelp)Falling In Love With You
by UB40

原曲はエルビス・プレスリーによるバラードの大名曲であるが、元々はジャン・ポール・マルティーニが作曲した"Plaisir d'Amour"というクラシックの曲をアレンジした曲だ。

原曲は実にメロディアスかつシンプルなバラードで、エルビスのボーカリストとしての魅力を満喫出来る曲だ。

カバーであるが、打ち込みを多様したレゲエとなっている。
原曲と比較すると、暖かいレゲエのリズムにホーンのアレンジも素晴らしく、軽やかに暖かく素朴な印象のボーカルが融合して、実にレゲエとして軽やかに、そして何か暖かいものに包まれる様な素晴らしいアレンジとなっているのだ。

・Sunshine of Your Love by Orianthi
原曲はエリック・クラプトン率いるクリームによる名曲だ。

名ギターリフを多用した60年代を代表する骨太ロックの大定番である。
ジミ・ヘンドリックスによるカバーも有名だ。

オリアンティであるが、ギタリストとしてサンタナ、プリンスなどと共演を果たしながら、2009年に開催予定であったマイケル・ジャクソンの幻のツアー"THIS IS IT"でリードギタリストを務めるはずだった。

そんなオリアンティによるカバーであるが見事なハウスロック、テクノロックだ。
テンポがあがり疾走感に溢れる4つ打ちが実に気持ちよく、ギターのリフも見事に融合し、オリアンティのボーカルも透明感を持ちつつ突き抜け、素晴らしいオリアンティによる新しい解釈であり、時代に属してソフィスティケートされつつ、この名曲を違うバージョンを単純に楽しめる実にイカした名カバーである。 

・The Loco-Motion by Grand Funk Railroad
原曲はキャロル・キングが曲を手掛けて、自身が雇っていた鼻歌の上手いベビーシッターに歌わせたら大ヒットした、という逸話を持ち、そのベビーシッターこそがリトル・エヴァだった訳だ。

もはやオールディーズの時代の曲を語る上で欠かせなく曲だ。

カバーであるが、軽やかな手拍子を感じさせるパーカッションから、Aメロに入り、コーラスも素晴らしい。
が、一転して楽器が加わると一気に軽やかを踏まえながら重厚感を増す。
歪んだギター、ベースが絡み合いながら、ハードロック的なアプローチだが、元来原曲の持つキャッチーな明るい雰囲気を見事に自分達の音で表現しているのだ。

軽やかなテンポとパーカッションのバランスにより、ボーカル、コーラスの良い意味での軽さが引き出され、実にバランスのとれたゴキゲンなロックチューンとなっているのだ。

・They’re Red Hot by Eric Clapton
原曲はロバート・ジョンソンの楽曲だ。

さて、エリック・クラプトンにとって、もはや神的存在であるロバート・ジョンソンのコピーである。

この曲はロバート・ジョンソンが残した楽曲の中でも軽やかなテンポでキャッチーなメロディラインを持った曲であり、クラプトンがどの様にカバーするのか、非常に興味深かった。

実に素晴らしいカバーだ。

筆者はてっきりアンプラグド的にギターをメインにブルージーにカバーする、と思い込んでいた。見事に良い意味で裏切られたのだ。

カバーであるが、原曲の持つ軽やかさ、キャッチーさを生かして、もはやブギやディキシーを感じさせる、華やかで軽やかで実に楽しい雰囲気に仕立て上げたのだ。

華やかに弾む様に奏でられるピアノが前にでて、ドラムも軽やかでゴキゲンなリズムを醸し出し、クラプトンも実に楽しんで歌っているのが伝わり、ギターに関しては伴奏に徹しており、クラプトンによるものではないがスライドギターも実にイカしている。

クラプトンのロバート・ジョンソンへの敬意を大いに感じさせると同時に、実に華やかかつ軽やかで愉快な、痛快な素晴らしい名カバーなのだ。

(後記)
楽曲をカバーする事により、カバーされた曲は歌い継がれる事となり、カバーをしたアーティストは自身の曲にもなる。

そして、楽曲は先の世代に受け継がれる。

また、無名の曲でもカバーが秀逸する事により原曲も息を吹き返し、歌い継がれる。

なんとも素晴らしい相関関係なのだ。

これからも素晴らしいカバー曲を記していく。

読んでくださった方々へ
ありがとうございました。

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