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勝手に10選〜80年代 イカしたROCK 邦楽編(後編)〜

(前記)

張り切って後半に移る。


・B.BLUE

1986年にBOOWYによってアルバム"BEAT EMOTION"からの先行シングルとして発表された。

作詞は氷室京介さん、作曲は布袋寅泰さんが手掛けている。

イカしたドラムから始まる、実にBOOWYらしいビートの効いた爽快感と疾走感と重厚感をバランスよく兼ね備えた素晴らしいロックだ。

Aメロの出だしのフレーズ、乾いた風にかき消されて、は実に名フレーズであり、よく氷室京介さんのモノマネをする方(残念ながら似ている方を見た事がない)が多用するフレーズだ。

曲の構成はAメロ、Bメロ、サビとシンプルな王道であり、Aメロでは男女の別れの瞬間を男目線で情景、心情に強がりを交え、実にカッコよく表現して、メロディライン、疾走感、共に大変気持ちが良い。

疾走感をそのままにBメロでは少し過去を振り返る内容でメロディ的にもサビへの見事な架け橋となっている。

サビに入ると、疾走感に切なさがトッピングされ、コールアンドレスポンスに似た形でメロディラインが進行し、歌詞は、もう1度飛ぶのさ、もう1度笑ってよ、と前向きなフレーズとなる名サビなのだ。

そして、サビの最後が、TO THE BOYS & GIRLS、となるのだが、この1行によって、それサビ以前は伏線であり、この曲は詰まるところ、失恋した者に対する応援メッセージとなる。
実に素晴らしいテクニックだ。

この曲は、BOOWYのラストライブのオープニングを飾り、氷室京介さんのラストライブにおける最終日のラストソングとなったのだ。


・I’m A Loser

1988年に発表されたユニコーンのアルバム"PANIC ATTACK"のオープニングを飾る曲だ。

作詞作曲は奥田民生さんによる。

実に緩急をうまく使い、激しくも切ないロックだ。

曲は奥田民生さんによる、素晴らしいメロディラインである、サビの独唱から始まる。
実に力強く、ボーカリストとしてのスキルの高さを見せつけてくれる。
サビの後半から演奏が加わるが、実に激しさと疾走感に溢れている。

歌詞についてであるが、これは筆者独自の解釈である。

曲の構成はサビ→Aメロ→Bメロ→サビ、と展開する。
先ず最初のサビにおけるフレーズの、届かない、一人きり、早すぎるピリオド、などのフレーズから、誰かが亡くなってしまった印象を受ける。

そして、1題目のAメロでは演奏も穏やかになり、Bメロは更に少しおとなしい演奏となり、一目惚れした女性に主人公が億劫になってしまっている様子が伺える。
そして2回目のサビに入るが、Aメロ、Bメロと実に緩急がついて、更に激しく疾走感が際立ち、歌詞はイントロと同様で、その女性が亡くなったのでは、と思ってしまう。

そして、2題目のAメロでは、散々逃した主役、最後の出番、すくむ足、いつもの様に、などのフレーズは、結局その女性の恋人にはなれなかったが、最後に出番がやってくる、となり、お通夜かお葬式ではないだろうか。
いつもの様に足がすくんでいるが、緊張では無く悲しみからではなかろうか。

Bメロの、苛立ちの夜ばかり重ね、組み立てたプロセス、は女性の事を夜な夜な考えていた事
で、そう何一つ始めない、虚ろな笑顔は、結局残された遺影を感じさせる。

3回目のサビは前半が変わり、遠くなる、姿も笑い声も俺の目の前で、ねじれてく、もやはり亡くなった事を感じさせる。

歌詞の解釈は聴く側により異なり、各々の中に異なるイメージ、メッセージとなるものだ。

筆者がこの曲のサビを聴くと、愛する人を失った激情を感じてしまうのだ。


・紅

1989年に発表されたX(現X JAPAN)のメジャーデビューを飾るシングルだ。

作詞作曲はYOSHIKIさんである。

実に壮大なる素晴らしいロックの世界だ。

美しいギターのアルペジオから曲が幕を開け、TOSHIさんの英語によるバラードが始まる。

歌詞を簡単に記すと、(あなた)が私の元を去ってしまい、大変落ち込み、壁に幻影を見るまでになり、真夜中を突っ走る。私の記憶の中で(あなた)は輝き続ける。と、なる。
実に1分半、このバラードはつづく。

そして一転して、これぞXという怒涛のヘヴィ・メタルの幕があける。

曲の構成であるが実に興味深く、唯一無二の素晴らしい構成である。

主にAメロ、Bメロ、サビのパートから成るが、AメロとBメロを繰り返した後、壮大なる間奏が入る。
ギターソロのハーモニーや、ギターソロ、ドラムソロと、歌詞なき演奏が実にXの素晴らしいテクニックが、これでもかと堪能でき、まさに圧巻である。

その後がサビだ。
間奏以降は、Bメロが一回入るがほぼサビで成り立ち、曲は終焉を迎える。
要は曲として、簡略化するとAメロ→Bメロ→間奏→サビ、をストレートに1題目しかないのである。

歌詞であるが、Aメロ、Bメロを簡略化すると、何かに追われるようにお前は走り出す、俺が見えないのか?すぐそばにいるのに、お前の思い出は全て心の中にあるのに、愛の1人舞台はもう耐えきれない、となる。

最初のバラードの歌詞と比較すると、走り出す事をキーにして考えると、Iとyouが入れ替わっている印象だ。
しかも、バラードの部分では相手が去ってしまって、やるせなさから真夜中を走るが、本題では、走るお前には俺が見えないのか、すぐそばにいるのに、となる。

筆者のあくまで個人的な推測であるが、本題の主人公は亡くなってしまった人であり、バラードのパートは愛する人を失った側ではなかろうか。
なので、魂みたいな形ですぐそばにいるのに、失った側は見えないのだ。

そしてサビの部分は、亡くなってしまい、紅に染まった主人公の孤独と、相手に対して2度と届かない思いが綴られているのだろう。

あくまでも憶測だが、そんな実に悲しくて寂しい、やるせない状況、感情を激しい演奏に叩きつけている様な曲なのだ。



・BE MY BABY

1989年にCOMPLEXのデビューシングルとして発表された曲だ。

吉川晃司さんはデビュー当時、事務所の方針によりアイドル路線であったが、元々はバリバリのロッカーでミュージシャン志望であり、その後は地道にシンガーソングライターとして自身を高め、超一流のロックシンガーというイメージを確立した。

布袋寅泰さんは言わずと知れた伝説のロックバンドBOOWYの元ギタリストであり、BOOWY解散後もソロとして活躍していた。

そんな2人がCOMPLEXというユニットを結成する、というニュースは、当時リアルタイムで筆者も経験したが、当時は大変に世間を賑わせたものだ。

しかし、この2人は元々、吉川さんがBOOWYの楽曲"1994 -LABEL OF COMPLEX-"で氷室京介さんとツインボーカルを披露したり、布袋さんが吉川さんのアルバムに参加するなど、仲が良かったのだ。

曲であるが、今でこそこの曲の代名詞である、BE MY BABY、の連呼から始まり、それがリズム隊の役割を果たし前奏が始まる。
このイントロからの前奏には当時度肝を抜かれたものだ。唯一無二の素晴らしい発想である。

曲が打ち込みが主軸となっており、前奏のギターもタイトでシンプルなリフとなっている。

曲の構成は、シンプルにAメロ、Bメロ、サビ、で1箇所ミドルエイトが入る。

Aメロでは、実にビート感が気持ちよく、吉川さんのボーカルが冴え、Bメロがサビへの見事な橋渡しとなり、サビはシンプルかつ実に高揚感があって気持ちが良い。

全てのパートがシンプルに、そしてメロディラインも含め、ミニマムにそれぞれの役割を遺憾無く発揮しており、また、歌詞もストレートかつキャッチーで、サビもシンプルにまとめ、実に聴いていてポジティブな気分になる気持ち良いロックだ。


・ANGEL

1988年に氷室京介さんのソロデビューシングルとして発表された曲だ。

作詞作曲は氷室京介さんによる。

1988年4月5日に、日本のロック史に燦然と輝くバンドであるBOOWYが解散した。
そしてその4か月後にこのシングルにて、ボーカルであった氷室京介さんがソロデビューを飾る事となる。

実に爽快かつ疾走感とビートの効いた素晴らしいロックだ。

ギターとドラムによるイントロから、最初のサビが入るのが、これが実にカッコいい。
のっけから、心を見事に掴まれる。

曲の構成であるが、冒頭のサビ、Aメロ、サビ、Bメロで進行する。この構成がこの曲の素晴らしさのマテリアルである。

疾走感のあるAメロからサビに入り、サビで最高潮の盛り上がりを遺憾無く発揮し、更にBメロで突き上がる高揚感が堪らなく気持ちがよい。

歌詞の内容は散文的、抽象的ではあるが、BOOWYというバンドの解散後にソロアーティストとして邁進する意思表明している様に思える。
1つ1つのワードだったりフレーズの各々がイカしており、それらが融合して、実に前向きにポジティブで、何かから解き放たれた様な勢いを感じさせる。

勢いがあり、前向きな歌詞が実に楽曲と見事に融合した、ソロアーティスト氷室京介さんの始まりを告げる、名刺がわりの最高にイカしたロックとなっているのだ。

この曲は氷室京介さんのキャリアを通じて、ライブのラストに歌われる事が多かった曲だが、詳細に違いがあるが、氷室さんが曲初めに、

俺の1番大切にしている8ビートのロックを送ります、ANGEL!!

と氷室さんが曲紹介するのが恒例であり、ライブが最高に盛り上がる瞬間でもあったのだ。


(後記)

少年から少しずつ大人への階段を登っていた1980年代だ。

多感な時期にリアルタイムで聴いていた曲達であり、実に懐かしい…と、言いたいところだが、ちっとも懐かしくない。 

筆者の性格上、気にいった曲は定期的に聴いているのだ。

もう40年前の曲なのに、ちっとも自身の中で薄れて行く事はないのだ。

まだまだ1980年代も掘り下げていきたい。

読んでくださった方々へ
ありがとうございました。

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