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勝手に10選〜イカす90年代 女性邦楽編(前編)〜

(前記)
時代が昭和から平成へ移行し、自身も多感な時代を過ごした90年代。

1900年代最後の10年間、世紀末における日本で、どんなイカした女性ボーカリストを生み出されていたのか。

今回はそんな90年における日本のイカした女性ボーカリストを経験だったり、思い出に乗せて、前編、後編に分け、勝手に10選する。

・今すぐKiss Me
1990年に発表されたリンドバーグのシングル曲だ。

元々はアイドルであった渡瀬麻希さんであるが、バックミュージシャンと共に1998年にリンドバーグを結成し、名前も渡瀬マキさんとなる。

1989年にシングル"ROUTE 246"とアルバム"LINDBERG I"メジャーデビューを果たす。

本曲はリンドバーグのセカンドシングルとなり、大ブレイクを果たす事になる。

イントロはドラムから実に明るい疾走感に溢れ、ギターのリフの融合さも素晴らしい。
Aメロは疾走感をそのままに実にイカしたメロディラインでブレイクも良いスパイスとなっている。
Bメロは短く、緩急もありつつ、ブレイクが効いてはサビ向かう盛り上げ役として、役を全うしている。

サビは、疾走感に重厚感も加わり、とにかくメロディラインが素晴らしく実に明るい歌詞と融合して、ブレイクもしっかりスパイスになる実に素晴らしいサビだ。

しかし、渡瀬マキさんのボーカルと歌詞が実に力強く、突き抜けて心地よく、オケとの融合が素晴らしい。

実に明るく疾走感のある名曲なのだ。


・夏祭り
1990年にたジッタリンジンのシングルとして発表された曲だ。

ジッタリンジンは1986年に奈良県にて結成された。
1989年にイカ天に出場し、6代目のキングとなる。

同年にシングル"エヴリデイ"にてメジャーデビューを果たし、いきなりオリコンチャートて9位、同年に発表されたミニアルバム"DOKI DOKI"は同チャートで5位と華々しいデビューとなった。

そんなジッタリンジンは1990年に"プレゼント"、"にちようび"、そして本曲の3曲で大ブレイクを果たした。

実にタイトなロックンロールだ。
クリーンなギター、ミニマルなドラム、ベース、ビブラートの無いストレートなボーカルから成るスカ、ロカビリー、ロックンロールの良いところを実にミニマムに凝縮しているのだ。

曲の構成はAメロ、サビと、これまたシンプルだが、ブレイクにおけるギターとドラムの名リフ、間奏のドラムソロ、ミニマムなギターソロも実にイカしている。

友達以上恋人未満と思われるカップルの夏祭りにおける切ない歌詞を、実に素晴らしいオケとメロディラインで表現している大名曲なのだ。

・無敵のビーナス
1990年にゴーバンズのシングルとして発表された曲だ。

ゴーバンズは1983年に北海道の札幌市にて、森若香織さんを中心に中学校の同級生と共に結成されたガールズバンドだ。

その後、札幌市を中心に活動していたが、森若さんの家族が転勤によってバンドは活動停止となってしまう。

実に音楽の神様は面白いというか、たまたまRCサクセションの忌野清志郎さんが、札幌市に残されていたゴーバンズのテープを聴いて"いいじゃん!"と絶賛し、東京行き他のメンバーも上京を決意し、清志郎さんが東京に呼び寄せる形となった。

その後は忌野清志郎さんを始めRCサクセションのメンバーが親身にアドバイスをし、デモテープを録音をし、清志郎さんが"これで、どこのレコード会社に持ち込んでもOKだぜ!"とお墨付きを貰うのだ。

その後、インディーズでのライブ活動、楽曲の発表を地道に行い、1988年にシングル"ざまぁカンカン娘ガール"でメジャーデビューを果たし、1989年に発表した"あいにきて I・NEED・YOU!"で大ブレイクを果たしたのだ。

そんなゴーバンズの5枚目のシングルがこの曲だ。

実に2拍子的なスカも香るテンポが心地よいドラムとベース、キーボードから曲は始まる。

曲の構成はシンプルにAメロ、Bメロ、サビから成るが、この曲の凄いところは終始ドラムパターンが変化しないのだ。

メロディラインの変化と他の楽器の微妙な変化により、緩急をつけながらも、しっかりとパートが独立し、サビの盛り上がりも素晴らしい。

歌詞も振られた女性をここまで明るく前向きに表現しているのが圧巻であり、終始明るくイカしたオケと融合して、実に聴いていて気持ちの良い曲なのだ。

・Hello,Again〜昔からある場所〜
1995年に発表されたMy Little Loverのシングルだ。

1980年代にキーボーディスト、プロデューサーとして、桑田佳祐さん、サザンオールスターズ、Mr.Children、などのアーティストの編曲、楽曲提供で名を馳せていた小林武史さんが、かつてからミスチル経由で繋がりのあったギタリストの藤井賢二さんと、国立の音大を卒業したが進路に悩んでいる、と知人に紹介されたボーカルのakkoさんをユニットとしてプロデュースする事でMy Little Loverが誕生した。

1995年にシングル"Man & Woman"でデビューを飾り、同年の3か月後に発表されたのがこの曲だ。

ミドルテンポのバラードの大傑作である。

実に美しく切ない前奏、少しハスキーで透き通ったakkoさんのボーカルが伸びやかに奏でられるAメロ、そして少しマイナーなBメロを架け橋に素晴らしいサビへと移行する。

先に歌詞の話になるが、歌い手は恋人と別れたか、失ってしまった男性目線である。
やや抽象的で、聴き手によって解釈が別れると思うが、サビの最初の名フレーズ

"記憶の中で ずっと 2人は生きていける"

と、なると筆者的には亡くなってしまった恋人か、と思う。
しかも、深掘りかも知れないが、曲の主人公を男性にする事で、ボーカルが女性なので、このフレーズのみが別れた女性の声となり、実に胸に突き刺さるのだ。
実に美しく切ない、素晴らしいメロディラインにakkoさんのとても素敵なボーカルが融合したサビだ。

終始、この曲の持つ独特な世界観、未練、思い出、決意、前向きさ、切なさ、明日への光が融合した、大名曲なのだ。

・Over Drive
1995年にJUDY AND MARY(以下ジュディマリ)のシングルとして発表された曲だ。

1991年、既に別のバンドでデビューを果たしていたベースの恩田快人さんが北海道で映画撮影に参加して際に、エキストラをしていたYUKIさんと出会った。
YUKIさんがバンドのボーカル志望だと知り、デモテープでYUKIさんのボーカルを聴い恩田さんが感銘を受け、YUKIさんをボーカルに1992年にジュディマリは産声をあげた。
その後インディーズにてアルバムを発表し、ライブを行うも一旦は自然消滅的な形となってしまう。

しかし、一転して恩田さんが思い立ち、ジュディマリとしてのメジャーデビューを目指し、YUKIさん、ドラムの五十嵐さんが再結集し、そして1993年にTAKUYAさんが加入し、同年9月にシングル”POWER OF LOVE"でメジャーデビューを果たす。

そして徐々に頭角を表し、1994年にアルバム”ORANGE SUNSHINE"にて本格的にブレイクし、シングルとしてブレイクしたのがこの曲なのだ。

イントロは錯綜するエレキギターとアコースティックギターの絡み合い、ベースでリズムの輪郭が現れ、ドラムが加わり、まとまった瞬間にビートの効いたAメロが始まる。

曲の構成はシンプルにAメロ、Bメロ、サビである。
Aメロは実にシンプルだが、TAKUYAさんのカッティングは実に自由気ままな感じに聴こえるが、曲を乱さず、むしろ盛り上げるテクニックは素晴らしいのだ。
Bメロは控えめに緩急をつけ、見事にサビへの橋渡しとなる。

そして、サビは実に突き抜ける、実に爽快で気持ちが良く自然と高揚する。
YUKIさんの散文的、抽象的だが、破天荒で前向きな女の子を連想させる歌詞もポジティブなワードも曲と見事に融合して、曲と歌詞が互いを高め合う。

YUKIさんのキュートなボーカルの魅力も遺憾無く発揮され、明るい空気を一瞬で作ってくれる名曲なのだ。

(後記)
後半へ続きます。

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