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存続が問われる『朝課外』

『ゆとり教育』のことを取り上げたばかりですが、『ゆとり』とは真逆の『朝課外』が、九州ではちょっとした話題になっています。

正規の授業が始まる前に行われる課外授業で、7時頃から始まります。最初は塾などがあまりない地方の子どもたちの学力を補おうと始まりました。おそらく40年以上は続いてきた朝課外の見直しの動きが出てきたことで、九州ではちょっとした話題となった一方で、この制度が九州固有のものだけに、九州以外の人たちからは、奇異の目で見られているようです。

私の高校時代、約40年前も朝課外はありました。ですが、私は野球部に所属していて、朝課外ならぬ『朝練』があっていたので、そちらを優先し受けることはありませんでした。朝課外はあくまでも任意であり、ある意味、それが許される時代でもありました。現在はPTA主催となっていて、学校側に依頼する形をとり、希望者のみで実施されているのですが、実態は、強制とまではいかなくてもほぼ全員参加。教科書が使われる場合もあり、朝課外に出ないと授業についていけなくなるといった問題点が指摘されることもありました。そうなると完全に授業の一環であり、『任意とは名ばかり』—それが実態のようです。

実は、今から25年ほど前ですが、私の高校時代と比べて強制できましたであることを問題視し、県議会でこの問題を取り上げたことがありました。当時の教育長の答弁は、指摘の通りであれば問題であり確認する。その後、アンケート調査なども実施されましたが、結果として、あくまでも任意であり、教科書を使っているのであればそこは指導するといった程度。結果的に温存されることになりました。

長年続いた仕組みを変えるのは本当に難しいもの。保護者にとっては、学校側が勉強する機会を提供してくれることはありがたい。しかも、塾に比べて安価で学校なら安心。学校にとっても、生徒の学力が向上すれば学校の評価も高まる。生徒たちにとっても、成績を上げて志望校に入りたいとの願いはある。その3者の願いが一致した中で長年続いている仕組みであり、ましてや他校がやっているのに自分だけ止めるのはとても勇気のいること。

ただ、もうそろそろ立ち止まって、環境の変化に加え、実際に成果は上がっているのか、客観的に見直す時期を迎えているのだと思います。早朝からみんなそろって勉強することで「本当に学力が身についているのか」「自主性を損なう結果になっていないか」「もっと効果的なやり方があるのではないか」「任意と言いながらも同調圧力も含めた強制ではないか」など、真剣に考える時期なのでしょうね。

熊本県や佐賀県などでは見直しを表明されました。ただ、あくまでも学校の個別判断。朝課外はなくなるのか、形を変えて続くのか、これまでがそうであったようにそのままなのか、我が母校も含めて注目しておきたいと思います。自主性、主体性、考える力……目標と現実とのギャップを埋めるため、見直すことはまだまだたくさんありそうです。

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