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ウクライナ侵攻~住民投票の行方

終わりが見えないどころか、ますます混迷を深めてきたロシアによる『ウクライナ侵攻』。苦戦を強いられているロシアのプーチン大統領は、兵力不足を補おうと部分的な動員令を発動し、反対する市民によりロシア全土でデモが起きていることが報じられていました。

その動員令とともに、ウクライナ東部と南部の4つの州で「ロシア編入」を問う住民投票が行われることが親ロシア派より宣言されました。ロシアは関与を否定していますが、2014年にクリミア半島行われた住民投票の例もあるだけに、その言葉を信じている人はまずいないでしょう。

ソ連時代にウクライナに移管されたクリミアを2014年2月27日に制圧、3月16日にロシア編入の是非を問う住民投票を実施。ロシアは侵攻から1カ月も経たない3月21日にクリミアを正式に編入しています。ロシアはあくまでも正式な手続に則ったとの主張ですが、住民投票をという民主主義の象徴的な手段を使って、力による支配を正当化しようとするものだと思っています。何より残念なのは、住民投票がこんな使われ方をしてしまうと、そのこと自体が胡散臭いもののように思われてしまうこと。
住民投票は民主主義を担保する有力な手段だと信じるからです。

熊本市では、市町村合併の方向性を決める際、合併町で何度も実施されました。賛否に分かれ、激しい議論になりました。いずれも投票結果に従っています。日本国内では、それほど事例が多いわけではありませんが、沖縄の基地問題では何度か実施されてもいます。法的拘束力がないことから、反対多数であっても事業が止まることはありません。ある意味では、住民投票の限界を表しているようでもあり、住民投票に叶うのはどういった事業なのか、結果をどこまで反映させるべきなのか、住民投票が無理なのであれば他に住民の意思を反映させる術はあるのか、沖縄の状況を見ていると考えさせらます。

住民投票が万能とまでは言わないものの、民主主義を機能させる上で大事にしなければならない手段の一つ。なぜなら、代議員制、間接民主主義が機能しているならば、直接民主制の手段である住民投票に頼る必要はないのでしょうが、現在のような選挙の低投票率で、大きな支持母体を押さえてさえいれば、有権者の一部の支持でも当選し続けるような現状です。現在の政治家が、有権者の声を反映しているとは言えず、憲法改正だけでなく、住民投票によって判断を仰ぐような局面も必要だと思っています。

もちろん、情報統制やプロパガンダに左右されることのない、判断材料となる正しい情報を得る艦橋にあるかが前提ではありますが。既に23日から始まっているウクライナ4州での住民投票はすぐに結果が出るようです。投票結果だけでなく、その後の動向も含め、色んな意味で気になるところです。

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