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真の共生社会を目指して~富田宇宙さんの新たな一歩

東京パラリンピック2020水泳競技のメダリスト、富田宇宙さんと約7カ月ぶりに再会しました。再会と言っても、前回はリモートで挨拶した程度なので、実際にお会いするのは初めて。今日7月3日は地元熊本で、恩師や同級生、富田さんのパラアスリートとしての活動をサポートしてきた人たちによる祝賀会が催され、私は7カ月前のリモート講演会を企画した縁で出席させてもらうことになりました。
https://note.com/s_kohyama/n/n300fa3703e6c

彼からの案内のメールには、祝賀会というよりも「みなさんを繋いで熊本をより良くしていくためのアクションのキックオフにしたいと企んでいます」とあり、その『企み』に興味を抱き参加することにしたものです。冒頭の挨拶で彼が語ったその『企み』とは、「『フルインクルーシブ教育』を普及させ『共生社会』を実現すること」。その中でも得意の水泳・スポーツを中心に展開する考えを披歴されました。出席者の顔ぶれをみると、水泳競技団体だけでなく、既に障がい者スポーツに携わっておられるたくさんの方々を見かけました。

インクルーシブ教育とは、2006年の国連総会で採択された『障害者の権利に関する条約』で示されたもので、障がいの有無に関わらず、共に教育を受けることで『共生社会』の実現を目指しています。子どもたちの多様性を尊重し、障がいのある子どもが精神的にも、身体的にも最大限まで発達できるよう、また、社会に他の子どもと変わらず参加できるように支援していく教育方針です。

確かに障がい者スポーツは現状でもインクルーシブな世界だと思います。例えば陸上競技のパラアスリートの伴走者や、スタッフ、ボランティアなど多くの健常者が関わっています。富田さんは、それからさらに一歩進めて、障がい者と健常者とが同じスポーツに汗を流せるような環境づくりを目指そうとされています。教育現場でも特別支援学校や特別支援学級はあるものの、同じ教室で同じ内容の教育を受ける機会は徐々に整備されつつあり、幼い頃からのそのような経験は、偏見や差別なく障がいを受け入れることのできる、もっとも効果的な取り組みであることを実感してきました。

高校途中までは健常者として過ごし、その後難病を患い次第に視力を失っていく中、社会の中に張り巡らされた数々のバリアを身を以て感じ、それらを乗り越えてきた富田さんならではの、とても素晴らしい『企み』をうかがい知ることができました。『共生社会の実現』という壮大な『企み』に、私も『加担』するつもりです。

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