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富田宇宙が魅せる その生き方と強さ

「他者を惹き付ける力を持った方だ」――パラリンピックメダリストの富田宇宙氏の講演を聴いて、そう思いました。

11月26日の投稿でも紹介しましたが、彼は高校時代に難病を発症。徐々に視力を失い、宇宙飛行士になる夢を諦めて、大学進学後に一般企業へ就職しました。やがて大学生から始めた社交ダンスにも影響が出るようになり、自分にできること、自分しかできないことを考えた末に、仕事もダンスも辞めて、高校時代に培った水球経験を活かし、水泳のパラアスリートの道を選びました。

簡単にまとめてしまいましたが、この間にたくさんの葛藤や挫折も繰り返し、現在の心境に達したとのこと。その経験を穏やかな口調で語られました。

言葉をいくつか拾ってみると

「一度死んだことにして、新たな人生を歩もう」
「障害は乗り越えるものではなく、つきあっていくもの」
「僕はぼく」
「障害は特徴の一つであり、枠にはまらない」
「パラリンピックはその枠のイメージを壊すチャンス」

パラリンピックに臨むにあたり
「笑顔で大会を楽しむ」
「諦めない」
「結果は気にしない」
「メダルの色ではなく成長した自分を見てほしい」
「だから目標は常に自己ベスト」

強く自分らしくあるためには
「自分の傾向を把握する」
「強みを自覚する」
「今、ここ、自分に集中する」
「感謝の意味を理解する」
「いつも笑顔でいる」

話の途中に「自分は特別な存在ではない」ということを繰り返し言われていました。メダリストとなったことで周囲の扱いが変わったことも。自分自身と向き合い続けてきただけに、周囲の環境が変わろうと、決して浮き足立つことのない芯の強さを感じました。僭越ですが、その変わらない姿勢が彼の魅力であり、淡々とした語り口でも十分に説得力を持つ根幹だと思いました。

一旦諦めたはずの宇宙飛行士になる夢ですが、現在はパラアスリートとしての活動とともに宇宙ビジネスの仕事にも携わっているとのこと。大分県に宇宙の港をつくり、3月には無重力飛行にもチャレンジするそう。東京大会では銀と銅のメダルだったことから、「次は金メダルですね」と言われても、「申し訳ないけどそんなことはどうでもいい」。

今後も生き方として、自己ベストを目指し続けるのでしょう。簡単ではないけれど、見習いたいものだと思いました。

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