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【ライブ感】42 杉本通信~講演会~

こんにちは

講演会次第

こんにちは、よろずです。
本日、7月31日に瑞巌寺で展覧会「東北の画人たち」の講演会がありました。講演会は以下の内容で行われました。

第1回 
講演「広瀬蒙斎と白河藩の画人たち」
講師: 大野 真実(福島県須賀川市文化振興課 学芸員)

第2回
講演「秋田藩の御絵師たち」
講師: 菅沼 楓(新潟市美術館 学芸員)

第3回
講演「東北の画人たち―山形諸藩を中心に―」
講師: 杉本 欣久(東北大学文学研究科 准教授・本展覧会監修者)

座談会「東北画人研究の今後」

展覧会についてはこちら↓

今回の話題

私はこれまで、展覧会の企画として開かれる講演会に足を運んだことがありませんでした。今回は初めて講演会を観客として経験して、私なりに考えたことをお伝えしていこうと思います。

わかりやすさ

たくさんのお客様にお集まりいただきました!

今回の講演会で特に勉強になったのは、講演会の「わかりやすさ」の重要性です。講演会というのは、そもそも専門家ではない一般の観客に向けて行われるものです。そこで、講演する側は極力専門用語を使わず、より伝わりやすくするため、例や比喩を用いる必要があります。

今回の講師の方それぞれのお話の中で、江戸時代における武士の立場を「公務員」と表現したり、人物名を上げる際には必ずその人物についての説明を加えたり、、と工夫が見られました。

学会では説明無しに使われる言葉を講演会では説明しなければならない場合もあるでしょう。学芸員(研究者)は研究を社会に還元する義務がある立場です。社会=一般の人にも研究内容が伝わるような表現の工夫をする必要があります。

「ライブ」

杉本の講演の様子

杉本は講演について「ライブ」感を大切にしています。

講演…というものは、手を抜くのは簡単だ。誰とは言わないが、関係する論文をいくつか適当に読み、それをまとめてン十万円稼いでいる人もある。この業界、有名な人でもそういう専門家が少なくない。
 聞き手の多くも講演とはそういうものだ…と思っているのだろう。知識を得る場というのはお堅く、専門用語を中心に淡々と話が進んでいく…と。
 けれども、こちらは梅原前所長(梅原郁、黒川古文化研究所元所長、東洋史学者)の「ライブ」というものを見てしまった…。
 「場の支配…」「知的興奮…」、難しい話でもそういうことが可能なのだ…と。講演もいわば「ライブ」であり、落語や演劇、コンサートなどと同じなのである。
 そもそも、なぜ対面して話を聞く必要があるのか。本でわかる話なら、そちらを読んだ方が早い。時間だって節約できる。やしきたかじんも言っていた…「ベストな歌を聴きたいのであれば、CDを買えばよい…」と。「ライブ」にはライブの、別の意義が存在するのである。
 講演は大学の授業とは違い、最低限の条件が整っている。それは何かと言えば、基本、話を聞きたい人がわざわざ集まって来ている…ということだ。
 お客さんに「乗る気」がある以上、「ライブ」としての講演を成功させる条件は話す本人自身が乗っていなければならない。そうであってこそ、「場の空気」が可能となるのである。それはすなわち聴衆を「惹きつける…」ということだ。
 だから自分を冷めさせてはならない。「今日の話は自信がないな…」とか「こんな話、面白くないだろうな」などと、思ってしまうと確実に冷める。そうならないよう、自分の脳を興奮状態に…ホットに置いておく必要がある。
 だから私の場合、論文が書けるくらい徹底的に調べ、自分が面白いと感じる状況に持っていく。となれば当然、仕事としてはヘビーになるわけですな…。

杉本通信(47)3月15日号

はじめて杉本の講義を受けたときに、「落語、もしくは漫才みたいな話し方だなあ」と思ったことを覚えています。杉本の話はとにかく途切れることがありません。(個人的に関西人は「よく話す」というイメージがあります。)次から次へと話題が飛んできますが、こちらも話に興味があるので聞き漏らさないように集中して聞いています。

ライブは演者と観客が時間と空間を共有しているものです。ここでライブの空気感をコントロールする者は誰か?と考えるとそれは演者であると考えられます。

例えば、落語家さんであったり芸人さんであったりが、寄席もしくはライブでネタを飛ばしてトークを中断する。すると会場全体でどこか冷めた空気が共有されてしまう、、、といったことが実際にあると思います。反対に、面白いトークが次から次へと繰り広げられる。そうして会場全体が興奮と熱狂に包まれる、、、ということあると思います。

このようにライブ会場の空気感を左右するのは、演者のそぶりです。

講演会というのは、講師(演者)と観客が空気感を共にしている点で、ここで例にあげた「ライブ」と同じだと思います。

そうであれば、場の支配者である講師が会場を盛り上げるトークを工夫することで、「楽しい、大興奮の」講演となると言えそうです。

ありがとうございました

ここまでご覧いただきありがとうございました!今回は「東北の画人たち」展講演会で感じた講演の工夫の仕方についてお伝えしました。来週はナカモリさんの担当です。次回もお楽しみに!

【参考】

展覧会特設サイト:杉本監修の展覧会「東北の画人たちⅠ~秋田・山形・福島編~」についてはこちらからどうぞ!
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