『決めつけ』の危険性

今回は『決めつけ』について整理・考察してみようと思う。具体的には、『決めつけ』のメリットとデメリットから付き合い方を考えていく。

なお、ここでの『決めつけ』とは、「一方的にそうと断定すること」をいいます(明鏡国語辞典より)。

では本題。
メリットとデメリットを検討していきたいと思います。


1.『決めつけ』のメリット

『決めつけ』のメリットは、迅速な意思決定が可能になる点にある。

ある問題が生じたときに『決めつけ』が働くと、その問題についてとりあえずの答えを出す事が可能となり、それ以上その問題について考える事が無くなる。

つまり、問題に対する答えを出すまでの時間が短くて済むのである。

例えば、あなたの目の前に前科のある人がいるとしよう。そして、あなたが「前科のある人=関わるべきでない悪人」という『決めつけ』を行ったとする。
そうすると、あなたは目の前の前科のある人から距離を取る、といった意思決定を迅速に行うだろう。

この迅速さは「実は目の前の人は良い人なのではないか」「前科があっても更生しているのではないか」「前科のある人でも関われば良い事があるかもしれない」といった『他の可能性』について検討する時間を要さない事から得られるものである。

そしてこのような迅速な意思決定は、人間に限らず全ての生物において、特に緊急状況下においては、生存に必要不可欠なものである。

例えば、あなたに向かってナイフを振りかざしながら体格の良い知らない大男が襲い掛かって来たとする。

このときあなたには闘うか逃げるかといった迅速な意思決定が要求される。

あなたには「目の前の男は冗談で遊んでいるだけではないのか」「そのナイフはオモチャではないのか」といった『他の可能性』を考慮している時間は無いのである。

要するに、「目の前の男は自分への脅威である」との『決めつけ』が、あなたの迅速な意思決定を促し、あなたの生命を救うのである。


2.『決めつけ』のデメリット

上述の例とかからして何となくわかった人もいるだろうが、『決めつけ』のデメリットは意思決定の不正確性である。

『決めつけ』は『他の可能性』に対する考慮の時間を削って迅速な意思決定を可能としている。

すなわち、『他の可能性』の中に真実があった場合には意思決定を誤ることとなる。

もちろん『他の可能性』について考慮した上で意思決定をしたとしても、それが間違っていることもあり得る。

しかし、『他の可能性』を軽視する『決めつけ』に基づく意思決定の不正確性が問題となる事は明白だろう。

メリットの所でも考えた前科のある人の例をもとに考えてみよう。

前述の通りの意思決定を行うと、あなたは前科のある人から距離を取ることになるだろう。
しかし、その前科のある人が更生したすごく良い人だったとしたらどうなるだろうか。

あなたは貴重な出会いを前科という1つの情報のみによって逃してしまうのだ。
『他の可能性』に考えを巡らせていればチャンスを活かせたかも知れないのに。

また、この前科のある人の例からわかるように、『決めつけ』の持つ意思決定の不正確性には、差別等に繋がってしまう危険もあると考えられる。


3.まとめ

ここまで考えてきたように、『決めつけ』にはメリットとデメリットの両方がある。
ただ、メリットが上手く機能するのは、意思決定に十分な時間が与えられない緊急状況下というような極めて限定的な場合に限られると考えられる(※)。

したがって、原則的には『決めつけ』は行わず、より多くの『他の可能性』を考えた上で意思決定を行うべきだろう。

(※)ここまで考えてきた『決めつけ』は認知バイアス(人が情報を処理するときに起こる思考の歪みの事。誰にでも起こりうる。)の一例だと考えられる。
このことは、認知バイアスが生物として緊急の危機に迅速に対応するためのものであることからもわかるだろう。



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