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マンション終いのはじめ時

みなさんのお住いのマンションは、築何年ですか?

 国交省が出した報告書によると、築50年超えの分譲マンションは2020年末の統計で約15万8千戸存在している。
※「戸」は部屋数のことだが、ピンとこないので1棟のマンションの平均戸数70とすると、2,257棟となる。

 少なくとも2,000棟以上のマンションが築50年を超過していることになる。

そして、2025年にはこの数が7000棟以上と激増し、2030年にはなんと14,000棟に膨れ上る。



 築50年を過ぎると、次の大きな修繕が間近に迫っている。それは、4度目の大規模修繕工事であり、2度目のエレベーター更新および配管等の更生だ。

これをするのかしないのか、あと何年マンションを持たせるのか、そもそも積立金が残っているのか。

 要は、築50年を過ぎて、“次の30年のためのお金が十分にあるのか問題”から目を背けられない時期に突入している

 この“次の30年のための改修”が行えない、もしくは行わないのならあと何年この建物を維持するのかという話し合いにメドがついていなければならないのが、築50年越えだ。

※マンションの財政問題についての記事はこちら

 わたしが、管理会社のフロント職であったとき、居住者の方から
「築50年まで生きていない」
という発言を頻繁に聞いた。

 確かに、35歳の時に新築マンションを購入して住み続けた人が、築50年を迎える頃には85歳を迎えているだろう。現在の日本人平均寿命とほぼ同じである。

 “そこまで生きていない説”は正しいかもしれない。

 しかし、築50年で先が全く見えなくなったマンションを誰が相続するのだろう。

 先の見えなくなった築50年のマンションは、相当人気の地域でいない限り、売却が非常に困難になっていると考えられる。売却できず、管理費・修繕積立金だけが相続人にのしかかる。

 こうなると、相続放棄されるマンションも相当数出てくるだろう。

 “所有者不明”マンションほど、どうにもできないものはない。

 放置すれば、今後10年以内に路頭に迷うマンションが爆発的に増えるということだ。

 管理組合はどうすべきか。

 わたしが考える一つの案は、築40年ごろから「マンションの終い方」について話し合いを開始し、築60年頃には修繕積立金と土地の売却で取り壊し費用を賄う、「プラマイゼロで終わらせるプラン」を模索することだ。

自分の葬儀費用を積み立てることに似ている

 土地価格が高く、その価格を維持できる地域なら修繕積立金は少なくて済むだろうし、土地価格が安い地域なら取り壊すための積立金を十分に用意しなければならない。

 「取り壊すためにお金を積み立てる」とは、後ろ向きな話に聞こえるかもしれないが、10年後には当然の考え方となっているはずだ。

 選択肢の一つとして、話し合いを今から開始すべきではないかと思う。


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