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大規模修繕工事と理事長 ①

管理会社でマンション担当者として働いていた時から、わたしの職業をきくと強い興味を示される方々がいた。

それは、分譲マンションの理事長経験者で、大規模修繕工事の際に理事長を経験された方からは、ほぼ間違いなくマンション管理について意見を求められた。

管理会社に管理を完全丸投げしている組合でも、大規模修繕工事を発注する際の理事長は相当苦労されることに間違いはない。

特に、3回目の大規模修繕工事発注となると、理事長が受ける苦労は計り知れない。管理組合の修繕積立金会計は、経年すればするだけ財政難になっていることが圧倒的に多いからだ。

その一方で、管理会社にとって大規模修繕工事は最大のビジネスチャンスである。

管理組合が財政難だからといって修繕積立金の範囲内で工事を終わらせる考えはない。

積立金不足の管理組合に対して、管理会社が提案するのは不足分の借金である。

銀行は管理組合にお金を貸してくれるのだ。

しかし、借金をして工事をすれば、当然、返済が始まるから修繕積立金の値上げは借金分を上乗せすることになり、大規模修繕工事開始と同時に、修繕積立金の大幅値上げを余儀なくされる。

管理会社のもう一つの提案は、「一時徴収」だ。

大規模修繕工事不足額を所有者で割って一括徴収するものである。

これは、組合にもよるが1戸数十万~百万円程度の徴収になることが多い。

思いがけない高額な費用を各戸から徴収するのだから、総会が荒れることは想像に難くない。一時徴収金が支払えない所有者は、マンションの売却を余儀なくされることもある。

要するに、一括か分割かの違いだが、所有者の納得を得るためにはどちらにしても相当な労力を要する。こと大規模修繕工事となると、今まで管理組合に無関心であった所有者がいきなりご意見番として登場したりもする。

こうして、理事長は、不足額をどう工面するか、或いは、修繕積立金の値上げをどう実現するかに始まり、実情にそぐわない工事をごり押しする管理会社への不信や所有者さん達からの突き上げ等、様々な苦労に直面する。 

その②に続く

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