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Freedom Shield 24

3月4日からアメリカと韓国の合同軍事演習"Freedom Shield (自由の盾)24"が実施されます。期間は3月14日まで。

今年2024年の"24"という数字が名称についていることから分かるように、この演習は定例のもので、通常は春と夏の2回行われます。

ですが、今年は果たして「通常の」演習として滞りなく進むのか、えも言えぬ緊張があります。

というのも、今回の米韓合同軍事演習は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が「もう南北との統一はない」「韓国は交戦中の敵国」などと韓国への姿勢を抜本的に転換させてから初めての実施となるためです。

「有事となれば韓国を平定する」とまで威嚇の度合いを強めている金正恩氏が、米韓演習に対抗して何か動くのでしょうか。


野外機動が倍増へ

今回の演習では、爆撃や実弾射撃など48回にのぼる野外機動訓練が行われる予定で、これは昨年の同じ演習の約2倍とのこと。北朝鮮が好戦的な姿勢をエスカレートさせていること、それを力で抑える方針が明確な韓国・尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の姿勢が相まっての結果といえるでしょう。

また、在韓米軍の発表文↓を読むと、演習では陸・海・空という伝統的な戦場を想定した訓練だけでなく、サイバー空間や宇宙の「アセット(assets)」をも動員するとしています。

この「アセット」という言葉、一般的には「資産」や「財産」という意味です。軍事の話にもしばしば登場して、そこでは「戦略資産」という翻訳が多いでしょうか。
戦車や戦闘機、兵士たちだけでなく、サイバーや宇宙の「戦略資産」も現代の有事では重要なことが分かります。

そして、演習全体としての一つの重点も明示されています。

emphasis on counter nuclear operations and non-kinetic effects

https://www.usfk.mil/Media/Press-Products/Press-Releases/Article/3688893/freedom-shield-24-set-to-begin/

核兵器と、「non-kinetic=非動的」な手段の影響への対抗を重視するとしています。
前者は誰でも納得です。後者は北朝鮮によるサイバー攻撃や宣伝戦を想定しているのでしょう。戦場のドンパチ(という表現も古いですが)だけを軍が考えればいい時代ではないのですね。

ちなみに、在韓米軍の発表文には北朝鮮という国名は一切登場しません。これは、演習があくまで防衛目的であると強調し、無用に北朝鮮を刺激しないためのささやかな配慮でしょう。

参加国は米韓以外に11も

もう一つ、あまり伝えられてはいませんが、アメリカと共に国連軍の一員として朝鮮戦争を戦った国々の一部である11か国も、今回の演習に参加することが明らかにされています。具体的には、オーストラリア、ベルギー、カナダ、コロンビア、フランス、イギリス、ギリシャ、イタリア、ニュージーランド、フィリピン、タイ。

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